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二次性高血圧の詳細

二次性高血圧の種類

二次性高血圧の場合は、まず原因となる特定の疾患が存在します。そして、その疾患によって引き起こされた高血圧のことを指します。その割合はというと、高血圧と診断された人の中の5~10%とされています。

高血圧を引き起こす原因として、内分泌系のトラブルによるもの、腎臓に関するもの、それ以外の理由によるものといった分け方が出来ますが、内分泌関連の場合はさらに細かく分けることが出来ます。これは、どの臓器がどのようなホルモンによって血圧上昇を招くかといった考え方になり、副腎に関係するものや甲状腺に関係するものなどが含まれてきます。

腎性高血圧

腎臓に関わる高血圧ですが、二次性高血圧全体の約4分の3ほどを占めています。そして、腎血管性高血圧を含む場合と腎炎のような腎実質障害のみを指す場合とがありますが、一般的には腎血管性高血圧を指します。腎臓ではレニンという酵素を作って分泌しています。このレニンはタンパク質の一種で血管を収縮させる働きがあります。また、レニンを含む血圧を上昇させる一連の反応が動き出すことによっても、血圧を上昇させます。

腎血管性高血圧
腎臓に入る血液は腎動脈由来ですが、腎血管性高血圧ではこの腎動脈の一部が狭くなって、腎臓に流れる血液の量が少なくなったことで引き起こされます。動脈の一部が狭くためですが、その理由は若い人では血管壁の一部で過形成と呼ばれる状態が起きることが多いためです。

腎臓内へ入る血液量が不足すると、レニンが余分に分泌されます。血流量が減ったことで血圧が低下しているとカン違いするためでしょうか、血圧を上昇させるためのより強力な物質を作らせようとして、高血圧を起こします。

血液中には「アンギオテンシノ―ゲン(以下、アンギオ~ではなくアンジオ~と表現する場合もあります)」という物質が流れていますが、レニンはこれを「アンギオテンシンⅠ」という物質に変えます。この物質はそのあとACE(アンギオテンシン変換酵素)によって「アンギオテンシンⅡ」という物質に変わります。このアンギオテンシンⅡは全身の動脈を収縮させ、副腎皮質からアルドステロンを分泌させます。このアルドステロンはナトリウムを体内に溜めようとする働きがあって、このナトリウムによって水分が血管に集まり、循環血液量を増加させて心拍出量と末梢血管抵抗を増加させます。これによって血圧が上昇しますが、血圧上昇後にはレニンの分泌は抑えられるというフィードバックの機能が働きます。この一連の流れを「レニン-アンギオテンシン‐アルドステロン系」と呼びます。

内分泌系のトラブル

原発性アルドステロン症
上に出てきたアルドステロンは副腎から分泌されます。これが自律的に過剰分泌された状態を原発性アルドステロン症と呼びます。

普段はレニンによってコントロールされていて、塩分を溜めることで血圧を維持する働きがあることは上に書いた通りです。このレニンによるコントロールから離れて過剰分泌されている状態を指します。レニンは塩分摂取過剰で血圧が上昇すると分泌が抑制されますので、普通であれば塩分過剰状態ではアルドステロンは低値を示すはずです。言い換えると、原発性アルドステロン症とは、塩分を過剰に摂取した状態であっても副腎からのアルドステロンが過剰分泌されている状態ということになります。

クッシング症候群またはクッシング病
副腎から分泌されるコルチゾールも、過剰に分泌されると二次性の高血圧を引き起こします。最近では、コルチゾールはストレスホルモンとして広く知られるようになりましたが、ストレスがかかることで血圧が上昇します。

もともと、ストレスとは自分の生命の危機に立ち向かうか逃げるかと選択を迫られた時に、どちらを選んでも生き延びる確率を高くするための体の反応として起きるものです。コルチゾールはそのために血圧を上昇させて血液が全身に行き渡らせる働きがあるのですが、過剰分泌されてしまうと、ストレスを感じていなくても血圧が上昇してしまいます。

褐色細胞腫
こちらは副腎の腫瘍によるもので、比較的稀とされています。クッシングと違って「カテコールアミン(カテコラミン)」が原因です。カテコールアミンは心臓の働きや汗などをコントロールしていますが、過剰分泌によって動悸や発汗、顔の紅潮といった特有の症状が発作的に起きてきます。こうなると血圧も上昇してしまいます。

甲状腺疾患
甲状腺が原因の場合は、甲状腺の機能が亢進しても低下しても、高血圧が引き起こされることがあります。いずれも自己抗体が出来てしまうことが原因とされています。

亢進した場合は頻脈、発汗、手指の震え、疲れやすさ、体重減少などが良くある自覚症状が出てきますが、高血圧も見られます。エネルギー代謝が活発になるので、食べても食べてもなかなか太らないという(良い?)面も出てきます。褐色細胞腫の症状と似ていますが、褐色細胞腫の症状は発作性であることが多く、甲状腺機能亢進症の症状は持続的です。

薬による副作用

体の疾患ばかりでなく、それ以外の原因によっても高血圧は引き起こされます。その例が薬剤性によるもの。どの成分が血圧を上昇させる原因になるかについては副反応として説明されていますので、そちらを参考にしてください。

その他にも二次性高血圧を引き起こす疾患などはたくさん存在しています。主なところでは、妊娠によって一時的に高血圧状態にある場合や、睡眠時無呼吸症候群で血圧が上昇するといった例などがあります。

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