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24、グルカゴンと糖尿病の関係

前回は、グルカゴンには血糖値を上げる働きがある事を書きました。今回はグルカゴンが糖尿病にも影響を及ぼしていることが分かったという話です。

従来、血糖値に対してインスリンは「下げる働き」、グルカゴンは「上げる働き」と、明確に区別してきました。もちろん、それで間違いはありません。しかし、どうやらそんな簡単な関係でもないらしいんです。

なぜならインスリンは血糖値を下げるのではなくて、インスリンが働くことで結果として血糖値が下がるということでした。インスリンは血管内の糖を全身の細胞や骨格筋の細胞などが取り込むことを促して、消費させることで血糖値を下げるというのが本来の働きです。そしてグルカゴンはグリコーゲンを分解するなどして血糖値を上げようとする働きです。

例えば低血糖状態の時にはグルカゴンが頑張って血糖値を上げて、それをインスリンが細胞に取り込ませるように働きかけるという、両者にはそんな関係がある事も分かってきたんです。これはシーソーのような関係ではなくて、互いに協調しながら血糖値を調節していたんですね。そのためでしょうか、両者の血液中の濃度もずいぶんと違うんです。

1970年代あたりから、糖尿病ではグルカゴンの分泌がなんかヘンだという報告が出てきたりします。どのようにヘンなのかというと、グルカゴンの分泌が過剰になったり不足したりという分泌状態なんだそうです。つまり多過ぎるか少なすぎるかということで、それが食後に起きるから厄介なんです。

食後は糖尿病でなくても、健常人でも血糖値は上昇します。そしてインスリンが分泌されて筋肉などの細胞に取り込ませます。その時、グルカゴンは分泌が抑制されます。糖尿病でない人はこのような分泌によって血糖値が短時間で基準値内に戻るのですが、糖尿病の場合はインスリンがうまく働かない、加えてグルカゴンも分泌の抑制がうまく出来ずに分泌の量が対して減らないことで、高血糖状態を維持してしまったりします。

あるいは低血糖状態になった時、健常人ならインスリンはもちろん分泌量が減ります。糖尿病の人がインスリン注射などを使用していて量を多く打ったりすると、低血糖状態になりますが、本来ならグルカゴンがちゃんと反応して血糖値を上げようとするのですが、糖尿病でグルカゴンの反応が悪くて低血糖状態のままになってしまう、そんな事例も分かってきました。

どうやら、インスリンは食後などの高血糖時に分泌されますが、その場所である膵臓のランゲルハンス島の中でインスリンが直接グルカゴンに対して働きかけて、分泌にブレーキをかけていたんです。でも、これは健常人の場合です。糖尿病だった場合はインスリンの作用が全く不足しますから、グルカゴンに対するブレーキ自体も減退してしまうらしいんです。その結果、グルカゴンは分泌に抑制がかからないので血糖値が上昇するという訳です。


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