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08、感染するとは

感染の基礎の話

感染という問題が発生する時には、必ず「あるもの」が関係するって、ご存じでしたか?
今回はウイルスの話を取り上げていますので「ウイルス性疾患の予防」としての話になりますが、感染という問題全般で考えるなら細菌が対象だったとしても同じことなんです。

先に「あるもの」と書きましたが、感染が成立するためには必要な要素が3つ存在している、そんな表現の方が分かりやすいかもしれません。

その3つとは、①病原体、②感染経路、③宿主、この3つです。当たり前じゃんと思われるかもしれませんが、これが全部つながってしまっているから感染が起きるんです。反対に言えば、どこかで遮断することが出来れば、感染の問題は防ぐことが出来るんです。順に見ていきましょう。

①病原体

言わずと知れた諸悪の根源、これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、感染源になるものです。病原性がある微生物が対象になりますので、全てではないにしても細菌やウイルスなどが該当します。これらは目に見えるサイズではありません。だからついつい忘れがちになってしまいます。でも、忘れてしまうからこそ感染が起きてしまうんです。

こういった微生物は病原性のあるなしに関わらず、身近な存在です。普段は別に悪さをするわけではなく、ただそこに存在しているという状態です。それが何かの拍子に身体の中に入って、しかも増殖することで病原性を発揮するんです。普段はヒトの免疫力の方が上回っていますので、特に何かが起きるということは有りません。ですから、免疫力が低下している人がいる場合は要注意ですね。

②感染経路

①の病原体がどんなルートを通ってヒトの身体に入るかという経路の事です。身近な例で言うと、昨今流行の感染症ではマスクをしなさいということで、多くの人が顔にマスクをしています。呼吸器系の感染症の場合に用いる手段ですね。これは自分の呼吸器の前にフィルターを一枚設置するという事に当たります。

マスクがあることで空気の出入りはできますが、飛沫などは防ぐことが出来ます。血液を介しての感染症の場合なら、まずは鋭利なもので自分の身に傷がつかないようにすることが大切ですし、それを保管したり使用後の廃棄をしたりする場合にケガをしないように配慮することも大事なことです。これらも、感染経路を遮断することになりますので、有効な対策と言うことができます。

マスクの話題が出たので一言。口はマスクで覆っているけれども鼻は出している、そんなマスクの仕方では意味がありません。息が出入りする場所でマスクがフィルターの役割をしているのですから、いくら鼻が詰まっていたとしても鼻も覆いましょう。また、フィルターですからスキマが開いていては効果がありません。鼻の両側などにも注意しましょう。

③宿主

この場合は「しゅくしゅ」と読みます、決して「やどぬし」ではありません。感染した側のヒトのことですね。ウイルスや細菌が体の中に入ってしまったという事になるのですが、その後に増殖をしなかったとか、多少は増殖したけれども収まったという場合があります。いずれも、宿主側の免疫力が上回ったために感染を免れたということです。

感染という場合は宿主の体内で増殖するところまでを含みます。体内には入ったが増殖はしなかったという場合はただそこに居るだけ、存在しているだけということですから、感染とは言いません。

いくら病原性があっても、ただそこに存在しているだけでは感染したことにはなりません。でも、ちょっとイヤですね。


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