見出し画像

8、脂質の話

今回取り上げるのは「脂質」です。脂質と聞くとあまりいいイメージが湧かないかもしれませんが、三大栄養素の一つでカロリー計算の対象になるものですから、人間にとっては絶対に欠かすことが出来ません。そして意外なことに、知っているようで知らない事もたくさんあるものでもあるんです。思いついたことをちょっと書いていきます。


脂質と脂肪

まず脂質とか脂肪とか、早い話が「油分」なのですが、表現する言葉がいろいろありますよね。日本語の場合、言葉が違えば意味が微妙に違ってくるので使い方にも気を付けないいといけないのですが、この機会に整理してみましょう。

脂・・・・常温で固体のあぶら
油・・・・常温で液体のあぶら
脂質・・・生物から取れる、水に溶けない物質の総称
     キチンとした定義はない
脂肪・・・栄養素の一つで栄養学的には脂質と同じ
     キチンとした定義はない
油脂・・・脂と油をまとめた表現

こうやって眺めてみると、けっこういい加減(?)な気がしませんか。しっかりとした定義が無ければ示す意味が曖昧になってきます。脂質と脂肪では混同してしまったとしても仕方がないのかもしれませんね。因みに私は「脂質とは生体の油分に含まれるそれぞれの成分をまとめて表現する言葉として用いて、脂肪といった場合は生体に関わる油分の全体を指す言葉として」用いる傾向があります。

こうすると、脂質といった場合は中性脂肪やコレステロールなどを含む全体的なものを指し、脂肪といった時は皮下脂肪や内臓脂肪といったものを指す表現となります。といっても元の言葉自体が曖昧ですから、厳密に区別しなくてもよさそうですね。

オメガの意味

脂質に関わる話題で最近よく聞く言葉の一つに「オメガ〇(ω〇)」というものがあります。どれがいいとかいった表現で用いられることが多いようですが、そもそもオメガってどんな意味でしょうか。

脂質成分の一つである脂肪酸という物質は大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類になります。また変な言葉が出て来ました。「飽和とか不飽和とか、いったい何だ?」という声が聞こえて来そうですが、これは脂肪酸の構造で見た分け方です。化学式(C、O、H等が出て来る奴)を見た時に、構造の中に二重結合があるものが不飽和脂肪酸、無いものが飽和脂肪酸、そう呼んで分けています。

深掘りはせずに次に行きますが、この不飽和脂肪酸を更に細かく分けた分類として「オメガ~」という表現が出て来ます。オメガの後に続くのは数字、3,6,9の三つがあります。違いについて簡単に書くと、

・オメガ3・・・体の中で作ることが出来ない
        中性脂肪の血中濃度を減らして血栓の予防に効果がある
        生活習慣病予防に効果があるとされる
        不足すると集中力低下や皮膚炎などが起こりやすくなる
・オメガ6・・・体の中で作ることが出来ない
        悪玉コレステロールや善玉コレステロールを減少させる
        働きがある
        摂りすぎによって、アトピーなどのアレルギー疾患の悪化
        取り過ぎでは動脈硬化のリスクがあるとも言われている
・オメガ9・・・体の中で作ることが出来る
        悪玉と呼ばれるLDLコレステロールだけを下げる
        働きがある
        動脈硬化や高血圧の予防に良いとされる
        腸の働きを活発にして便秘の予防にも効果があるとされる

こうしてみると、オメガ3とオメガ6の脂肪酸は食事から摂らなければなりませんが、摂る量には注意が必要なようですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?