噴水のある公園で出会った素敵な女性の話
約1年前、噴水のある公園で出会った女性との話である。
ちょうど季節は初夏、天気は良く、日向ぼっこには最適な日だった。
昼食を食べ終わった私と妻は近くの公園に散歩に出かけた。
その公園には噴水があり、水遊びをしている子供たちも見受けられた。
そこで私達も小休止することにした。
2人で噴水を眺めているといつもの睡魔が襲ってきた。
私は食後に必ずと言っていいほど睡魔が襲ってくる。おそらく休日だからと言って糖質を多めに摂取してしまったのが原因だろう。
睡魔に耐えきれず、妻に少しうたた寝することを伝えると、噴水を眺めてるから寝てていいよと返事が返ってきた。
そうして私は噴水わきの石段に横になり、夢の中へと入り込んでいった。
肌をほんのりあたためてくれる日差しが心地よかった。
しかし傍から見たら成人男性が公園で日向ぼっこをしてるヤバい画である。近くに妻がいなかったら事案モノだ。だが周囲の目など気にせず、熟睡していた。
15分ぐらい経っただろうか。
妻が誰かと話している声が耳に入ってきた。
子供の声もする。
ふと目を開けるとそこには妻と、見知らぬ30歳過ぎぐらいの女性とそのお子さんらしき男の子(2歳ぐらい)がおしゃべりをしていた。よく見るとその女性はスッピンでスポーツウェアというラフな姿をしていた。スッピンではあるがよく見ると美形な顔立ちが伺えた。男の子もまたかわいい。その女性は子供を公園で遊ばせるついでに自分を瞑想をやりに来たと言っていた。なんとも気さくな女性であった。話していくうちに妻とその女性は意気投合したらしく、初対面にも関わらず、赤裸々に身の上話をしてくれた。一方、男の子は枝拾いに夢中のようであった。人見知りせず私に拾った枝をプレゼントしてくれた。私が男の子と遊んでいる間、妻と女性の会話も盛り上がっているようだった。
そして20分程度話をして、女性と男の子に別れを告げた
後から妻に詳しくその女性の話を聞いた。
もともとその女性は東京で働いていたとのこと。
旦那さんと運命的な出会いをして、結婚を機に今の地に引っ越してきたそうだ。
なぜ、スッピンでスポーツウェア姿なのか。それは旦那さんに、自然のままの方が素敵だよと言われたからだそうだ。その言葉を受けてその女性自身、大きなしこりが取れた気分になったと言う。東京で働いた頃は、服や容姿にもそれなりにお金をかけていたけど、でもそれって本当の自分ではないということに気付いたのだと言っていた。確かに腑に落ちた。
それ以来、スッピンでスポーツウェアで過ごしているそうだ。子育てするのにスポーツウェアだと動きやすいから便利だよって笑顔で言っていたのを思い出す。
ふらっと立ち寄った噴水のある公園で素敵な出会いがあった。それ以来、私にも影響を与えた。
人間の深みってやっぱりその人の内側にしか存在しない。いくら着飾っても中身が伴っていなければ周りからは尊敬されない。だからこそ自分の経験や知恵に繋がることに投資したいと自分自身感じる。
あの女性が石段で昼寝している私の寝姿を見て、自由な彼氏さんだねって言っていたことを後から妻に教えてもらい、私は少し赤面した。
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