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いざ、手術室へ!〔卵巣腫瘍+開腹手術 道々の記⑳〕

病棟での初めての朝

起床時間は午前6時ですが、慣れない入院と手術前の緊張からか、5時半ごろには目が覚めてしまいました。6時になると洗面台が混んじゃうかな…と気になって、そうっと起きて、廊下に出ると、部分的に灯りが点いているので歩くには困りません。音を立てないようにトイレに行って、洗面を済ませ、そうっと戻り、自分のブースの窓から外を眺めたり、ベッドに戻って横たわっているうちに、起床時間になり、灯りがついて、看護師さんの巡回の足音がパタパタし始めました。

普通は7時に朝食だそうですが、手術当日の朝は、何も食べてはいけないのです。でも、私の手術は正午からの予定なので、8時まではOS-1を飲んでいいことになっており、前夜からちびりちびりと飲んで、3本目の2/3 くらいまで飲みました。8時を過ぎると、もう何も飲んではいけないので、喉が乾いたら、水を含んだティッシュで唇を潤す、など…しばらくは我慢です。

入院して、病棟での1日の過ごし方にも慣れないうちに、翌日いきなり手術というのは、なかなか辛いものがありますが、これは院内での新型コロナ感染拡大を抑えるための一つの方策だそう。(入院前にいただいたクリティカルパスには、平常時の手術の3日前に入院する、入院してから退院するまでの患者用の日程表が記載されていました。)

手術室へ向かう準備 

私の手術は12時からの予定で、夫は付き添いのために11時には来てくれることになっています。手術後の夜は、集中治療室に泊まり、翌日この病室に戻ってくる予定なので、午前中は病室の荷物やベッド周りの小物を整理したりして過ごしました。

そのうち看護師さんが来られて、手術着への着替えを手伝ってくれて、上からガウンを羽織ります。それが終わると、手術中〜術後の肺塞栓症予防のための弾性ストッキングを履かせてくれました。

OS-1がどれくらい残っているかも確認され、「おお、だいぶ飲まれましたね!1300mlくらいかな… 麻酔がよく効きそうですね!」と励ましてくださいました。残りは、居室で保管しておいて、術後にまた飲んでもいいのですよ〜、とのことで、さっそく冷蔵庫にしまいました。

11時少し前に、また別の看護師さんが来られて「午前中の手術が少し長引いているので、みちさんの手術の開始は予定の12時より少し後になりそうです。手術室に移動できることになったら、お声をかけますね!」と言われました。夫もまだ来ないし、、少しドギマギ宙ぶらりんな気持ちを持て余し、何度もトイレに行ってみたり、ベッド脇の窓際で、いよいよこれから手術に臨む自分の顔を、スマホの自撮りで撮ってみたり、しました。

しばらくすると、看護師さんとともに夫が現れ、いよいよ一緒に手術室まで移動です。「遅かったね…」と夫に話しかけると「11時には来ていたんだよ。前の手術が遅れているから、と言われて、共有スペースで待っていたんだよ」とのことでした。確かに、病室は相部屋だし、一回の面会は15分だけだから、付き添いの家族を病室で待たせる訳にはいかなかったのでしょう。それでも付き添ってもらえるだけでも本当にありがたいことですね。

いよいよ手術室へ

普段は通らない扉や通路を案内されて、やや暗めの空間に大きなドアのあるところまできました。すると、病棟から一緒に歩いてきた看護師さんが立ち止まり、「私がご案内するのはここまでで、ここでご主人と一緒に失礼します。この先は、手術室の看護師がご案内いたします」と言われました。

それと同時に、手術室へと続くドアが開いて、もう一人の看護師さんが立っておられました。私一人でドアを超えて向こう側へ入り、振り返ると、これまで一緒に歩いてきてくださった病棟の看護師さんが深くお辞儀をされ、夫とともに、今きた通路を戻って行かれました。

二人の後ろ姿を見送って、新しい手術室の看護師さんにご挨拶をし、手術室の前室のような廊下を歩きながら、天井が高く、ガランと広く殺風景な雰囲気の空間を見渡すと…内側の開け放たれたドアの前に、小柄な年齢不詳の女性と、スラリとした若い男性が立ってこちらを見ています。若い男性は、腕にノートパソコンを抱えて、私の方を向いて名前を確認されましたので、てっきりこの方が麻酔の先生かと思いきや…隣の小柄な女性の方が麻酔科のドクターで、若い男性は助手だと紹介されました。ドクターは、なんだか不思議な、語弊を畏れずに言えば、慈愛深い魔女のような雰囲気の方でした。意表をつかれて、慌ててご挨拶をして、お二人に導かれるように、手術室の中央にあるベッドの方へ向かいます。

麻酔を受ける

手術室は、大きな機械がいくつもあり、ベッドは思いのほか幅が狭く、ビカビカに明るい大きな照明が燦燦と輝いていました。
室内にいらしたのは、麻酔科のドクターと助手のお二人、私を案内してくださった看護師さんとそのほかに2〜3人いらしたようでしたが、執刀してくださるB先生のお姿は、まだ見えませんでした。

ベッドに上がる一歩手前で「ところで、硬膜外麻酔は…」と問いかけられ、即座に「お願いします!」と答えると、一瞬スタッフ間に動揺が走ったような間があり、「わかりました!今からすぐ準備します」と慌ただしく動き始められました。

私の方は、看護師さんの誘導に従って、ベッドに上がって横たわり、、そこから先は、まさに「まな板の上の鯉」状態です。先ほど着替えた手術着は、ベルクロテープで身頃や袖を剥がせるような作りになっていて、あれよあれよという間に、私の体には様々な機器が繋がれました。

「右側を下にして、海老のように背中を丸めていてください。」「痛み止めの注射をします」「(カテーテルの)管を入れます」と声をかけられるがまま…ほとんど痛みも感じることなく、硬膜外麻酔が進んでいきます。

麻酔の処置中、私の不安や緊張をほぐすためか、麻酔科のドクターが、温もりのある柔らかい声で、問診票に書いて提出した過去の局所麻酔を用いた手術歴について、「その手術は初めて聞きました。どんな内容の手術だったんですか?」などと問いかけてくださり、一生懸命、集中してその質問に答えているうちに、今度は仰向きに体勢を整えられて、いよいよ「鼻と口にマスクをあてます。酸素をゆっくり吸ってくださいね」と声がかかります。2〜3回、深呼吸したと思ったら、すうっと意識が遠のきました…


麻酔について

…ともかく、これを書いている1年経った今となっては、細かなことはすっかり忘れてしまったので(汗)… でも、初めて全身麻酔や硬膜外麻酔を受ける方には、不安なことも多いと思いますので(私もそうでした)、、せめてものご参考になれば…と、日本麻酔科学会のWEBサイトに掲載されている一般の方向けの記事の一部をご紹介いたします。(イラスト入りで、イメージしやすいかなと思いました)
よかったら、ご覧になってみてください。


↓ベッドに横たわって麻酔の導入準備の様子


全身麻酔の様子


↓区域麻酔について:硬膜外麻酔についても記載があります


麻酔科医の役割



手術室では、鼻と口をマスクで覆われ、2〜3回深呼吸を心がけたところから、、 記憶が一切ありません。

この後は、手術が終わって目覚めるところへ、つづく…



この日は、巷ではクリスマス・イブでした。
そんな日にも、いつもと変わらず入院患者を支え、手術を担当してくださった先生方、看護師さん病院での業務に関わった全てのスタッフの皆様、そして付き添ってくれた夫に
心よりの感謝を捧げます

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