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『ジョン・レノン――レジェンド』ノート

ジェームズ・ヘンケ著 野中邦子訳
河出書房新社
2021年4月4日

 この本は幅25.2㎜、縦27.2㎜、厚さ28㎜の函入りの稀覯本である。
 ジョン・レノンの6歳の時の写真からクオリーバンク・グラマー・スクール時代の集合写真、ロックバンドのザ・クオリーメン結成時の17歳の時、リンゴ・スターが加入する前のザ・ビートルズ(シルヴァー・ビートルズと名乗っていた時代もあった)、最盛期から解散間近のザ・ビートルズ4人の写真、そしてオノ・ヨーコとの最晩年の写真まで,ビートルズマニアの私も見たこともないような写真が、ジョンの伝記とともに掲げられている。

 そしてそれよりも何よりも、ジョン・レノン作詞作曲の『IN MY LIFE』や『DAY TRIPPER』、『imagine』などの歌詞を書き付けた紙切れ(もちろんジョン自身の筆跡)、クオリーバンク・グラマー・スクールの成績表、クオリーメンのビジネスカード(名刺みたいなもの)、ジョンのインスタント写真、演奏会のプログラム、ザ・ビートルズとなってからのファンクラブのバッジ・会員証、演奏会の契約書、ジョンとオノ・ヨーコが出会ったヨーコの『未完の絵画とオブジェ展』で配られていたオノ・ヨーコの自筆で〝breathe〟(息をしなさい)と〝y.o‘66〟とだけ書かれたカードやジョンが書いたイラスト数枚……などなど全て複製なのだが、折れ目や古ぼけた感じまで忠実にコピーされたものが、ジョンの生涯が書かれているページのあちこちに印刷されているのではなく、ポケットが付けられてそこに納められている。だからそこから取り出して手に取ることができるのだ。
 
 著者のジェームズ・ヘンケは編集者でライター、そしてキュレーターを職業としていた。こんな本を作るのはキュレーターならではだろう。
 ジョン・レノンの生涯を慈しみに満ちた文章で立体的に、そう本当に立体的に描いた本である。
 ジョン・レノンがファンに拳銃で暗殺されたのはもう40年以上も前だ。殺されずに長生きしていたらどんな曲を作ってくれたのだろうと思うことがある。
 
 10数年前だが、軽井沢に行ったときに、ジョン・レノン夫妻が子連れでよくパンを買いに来ていたという店をたまたま見つけ、軽井沢に来た時は常宿にしていたという万平ホテルにお茶を飲みに行った。彼らが泊まっていたアルプス館と呼ばれる本館の128号室はまだ残されており、泊まることもできる。

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