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なぜ陸上競技でスタジアムが埋まらないのか

はじめに

どうも、ゆーすけです。
昨年、2025年の世界陸上が東京・国立競技場で開催されることが決まり、陸上トラックは少なくともそれまでは維持されることとなりました。
しかし、それに対しサッカーファンを中心に反発があります。
まあ確かにサッカーを見るスタジアムとしては客席の傾斜が緩いですし、ピッチまでの距離も遠いですからね。
ある程度は理解できます。

しかしながら、陸上トラックを撤廃し球技専用としても正直あまり変わらないのではないかと私は思っています。
なぜなら、トラックを撤廃しても客席(特に1階席)の傾斜のゆるさは変わらないからです。

同じ国立競技場開催でも、サッカーやラグビーは満員となる一方で、陸上競技は空席が目立ちます。
なぜなのか。
理由は「コスパが悪いから」です。
私は、陸上競技のコスパが悪くなっている要因は2つあると考えています。
一つは複数種目の同時進行、もう一つは迷惑撮影(盗撮)によるイメージの悪さです。

この記事では1つ目の、種目の同時進行について分析し、改善策を提案していきます。

要因:複数種目の同時進行

複数種目が同時進行することにより観客の没入体験ができなくなります。
例えば、サッカーでは、1つのピッチで行われる試合はもちろん1試合です。
しかし、陸上競技では違います。

陸上競技はトラック競技(走る競技)とフィールド競技(跳ぶ・投げる競技)に大別されて、少なくとも2つが同時進行していきます。
実際に、2022年の日本選手権の最終日では女子走高跳、男子走幅跳、男子やり投、男子砲丸投が14:50から16:00の間に開始され、トラック競技と合わせて最大5種目が同時進行しています。

観客は少なからず「お目当ての種目」というものがあるはずです。しかしそれだけではなく、あまり興味がない種目も見せられてしまいます。
「トラック競技の進行中に跳躍選手から手拍子を求められる」なんていうことはよくあることです。
1つ1つの種目の印象が薄くなってしまい、没入感や満足度の低下の原因となります。

余談
フィールド競技は「最後の跳躍・投擲が最も良い記録とは限らない」という弱点があります。※走り高跳びと棒高跳びを除く
むしろ、終盤になるほど順位が決まっている場合が多いです。

もちろん、世界陸上オレゴンの女子やり投や男子棒高跳のように終盤に盛り上がることはあります。
毎回そうなればいいのですが、それはあまり多くないです。

チャントが生まれない

これだけの競技が同時進行すると、チャントができない、生まれないという事態が起こります。
理由としては

  • 他競技の邪魔になる

  • 観客の意識が複数の種目に移動していくので、1つの種目に継続して声援を送ることがしづらい

ということが挙げられます。
また、陸上競技が個人戦であるため、声援が選手に与える影響が団体競技と比べて限定的と思われることも一因と見られます。

良い席、悪い席の差が大きい

日本においてはフィールド競技よりもトラック競技の人気が高いのが現状です。
トラック競技のゴール地点は距離に関わらず一緒です。
つまり、その付近が特等席にあたります。
セイコーゴールデングランプリの座席表がその一例です。

セイコーゴールデングランプリの座席表

しかしながら競技場には1周分の座席があります。
トラックの反対側からゴール地点を見ると、距離が遠く、誰が早くフィニッシュしたのかすら認識することは困難です。
だから、下手な場所で見るより配信や中継を見た方がいいのです。
それが陸上が観客をあまり入れられない理由の一つかもしれません。

それに対してサッカーはどうでしょうか。

キリンチャレンジカップ(ウルグアイ戦)の座席表

メインスタンドとバックスタンドに価値の高い席があることがわかります。
当たり前ですが、そこからは両サイドのプレーが見渡せます。

改善策

エンタメ化の推進

一体感を得るために、エンターテインメント的な演出が必要だと思います。
その演出が陸上競技では全くないかといえばそうではありません。
MARCH対抗戦やANGのようにやっている競技会はあります。
日本陸連にそんな資金があるかどうかは正直怪しいですが、
試してみるのも一手かと思います。
こんなふうにド派手にやってみたりしてみればいいのではないでしょうか。

種目別競技会の開催

複数種目なのが良くないのなら、種目ごとに別々に開いてしまおうというわけです。
正直大きな競技場を使う大会だとコスト的に厳しいです。
しかし、地区大会などをやる競技場ならやってみる価値はあります。
特にスタジアムの端っこに追いやられている跳躍競技は、恩恵を受けられそうに思います。

席移動を価値としてみる

これは日本陸連のマーケティング担当をしている方が実際に実行に移したものです。
詳細はその方の記事に任せます。

種目が同時進行していくということは、間近で見るためには席移動が必要だということです。
それをいっそのこと公認してしまおうという考えです。
セイコーゴールデングランプリのチケットご購入はこちらから。

エキシビションマッチとしてのリレーの実施

日本人は団体競技好きです。
陸上競技は見ないけどリレーは見るという人は意外と多いように思います。
しかしながら、6月の日本選手権ではリレーの実施はなく、リレーの日本選手権は現在秋開催です。
しかも「リレフェス」というライト層向けイベントと併催です。
したがって、そこを動かすわけにはいきません。

エキシビションマッチとしてのリレーを実施すればいいのではないでしょうか。
例えば子どもたちとのリレーの対決です。
選手には多少の負担となりますが、リレー合宿後なら協力を得やすいのではないでしょうか。
(※日本選手権の結果によってリレーチームが編成されるため、日本選手権後には必ずリレー合宿がある)
「裾野を広げるために」と言えば協力してくれるはずです。

おわりに

今年は日本選手権のタイムテーブル変更だったり、座席販売の変更だったりと
日本陸連はかなりアグレッシブに取り組んでいます。
その成果が出ますように。


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