十兎くらいの兎を追って得れたこと、見えた世界

二兎追うものは一兎も得ず。そんな諺とは相反し、副業、パラレルワーク、ワークライフバランス…といった言葉たちを引き連れて社会は変化を求めています。

僕自身、藤原和博著「藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方」の考え方に触れ、35の歳で10年勤めた会社を退職し、「英語」を新たなキャリアの柱とすべく同年に留学。帰国後も長年培ってきたデザインのキャリアは置いておいて、観光案内や日本の文化発信と言ったグローバルを対象とした仕事をしてきました。

キャリア再構築の模索から3年が経ち、今はデザイン、Web、コワーキングスペース、シェアスペース、メディア、地域イベント、ローカル、アート…といった要素が、自分の仕事を形成しています。

結局ここに「英語」や「グローバル」が入らず、「ローカル」へと逆行していることが我ながらにも興味深いところではありますが、「グローバル」な視点を持ったときに、今まで気が付けなかった「ローカル」の大切さや魅力に気が付くことができました。(「グローバル」も捨てたわけではなく「ローカル」という確固たる地盤がないと、魅力ある発信が世界に対しできないと感ずる次第。来るタイミングでまた「グローバル」も取り入れたいと考えています。)

さておき、模索期において。「英語」を軸に置いていたものの、やはりそれだけで食べていくには乏しく、また、これまでの地域とのお付き合いもある中で、自分が"向かいたい先"と"求められること"の狭間で、あらゆることに手を出しては自分のキャリアを定めることがなかなかできず、自分が何者であるかを人にうまく説明できない時期が続きました。

『一つのキャリアに縛られない生き方』が提唱されるも、それを実現させることの難しさを痛感した時期です。忙しさだけが増し、なかなかお金にならなず。個人の力で稼ぐことの難しさも併せて味わいました。

二兎追うものは一兎も得ず…か。と、再就職か派遣社員も考え、面接にも行き始めた矢先にやってきたのはコロナです。

世の中が喪失感に溢れる中、自分が持っているもので目の前の人やお世話になった方の「困った」に応えられないか?と、地域特化のデリバリーサービスを立ち上げたり、お店が開いているのか休業なのかを知るための情報サイト(阿佐谷百貨店の前身)を作ったり…

自分が食うための金もないのにも関わらず、またそんなことを始めてしまいました。

しかし、この『目の前の人の「困った」に応える』という気持ちが生まれたとき、とっ散らかっていた自分を形成する別々の要素たちが全て一本の線として繋がりました。

本当にいろんなことに手を出してきて、十兎くらいの兎を追っているような感覚でしたが、最終的にはそれらが束となり、今ではいろんな側面を持つ大きな一兎を追い求めているように思います。

デザインもやります。商店街のフラッグの取り替え、ゴミ拾いもやります。施設のネット環境を整えます。ホームページ作ります。地域イベント、芸術に関する公演もやります。小学校の先生の授業のお手伝いもします。コワーキングスペースを運営します。

やっていることはまるでバラバラですが、それらは弊社ネイバーズグッドの一つの理念の下での行動となっています。

正解なき時代。また、「個」としてのオリジナルのキャリアの形成を試みようとしたとき、"自分がやるべきでないこと"の線は自分で引かない方がいいかなと感じます。

あらゆる兎をすべて本気で追ってみる。

"自分がやるべきでないこと"、もしくは"自分にはできないこと"は勝手に向こうからいなくなります。自分の意思で追える兎はどんな兎でも追った方がいい。

一兎一兎の兎たちは、誰でも追うことができる兎です。

が、それぞれを追い詰め、一つとなった大きな兎は自分にしか追えないユニークとなります。

そんな風に、自分のキャリア再形成を振り返ってみたときに、英語の勉強のシャドーイングで題材として何度も聴いていた「Connecting The Dots」の演説を思い出します。

Stay hungry, stay foolish.

先が見えず不安な時代ではありますが、目の前の必要なこと、興味あることにとにかく懸命に取り組むこと。そこに無駄はないのかなと思います。

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