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☆本#564-5「トッカン 徴収ロワイヤル」「富久丸百貨店外商部其の三 上流階級」高殿円著を読んで

「トッカン」はシリーズ4作目で初の短編集。「富久丸百貨店外商部」はシリーズ3作目。どちらも続編が出ていたので読んでみた。

「トッカン4」
短編6作。国税調査官のぐー子が主な語り手。
「人生オークション」では、ぐー子は明石町に住む72歳の女性をひとりで担当することになる。相続税の取り立てで、家を売るしかないがうまく進まない。やっと進展があったかと思うと、とんでもない展開が待っていて、してやられるぐー子。
「五年目の鮭」では、専科研修に参加することになったぐー子は周りから「出会いのチャンス」と言われ、期待するも…。
「対馬ロワイヤル」では、ぐー子とトッカンの鏡が滞納者を対馬まで追っかけ、追い詰め…。

「富久丸百貨店外商部 其の三」
富久丸百貨店外商部で唯一の女性外商員の鮫島静緒39歳が顧客のために、休日も返上して大奮闘。
同居中(上下フロアで)の同僚でゲイの枡谷とは、不思議な関係性が生まれているが、母と共に暮らすため、ローンで家を買おうと検討中。そんな中、ヘッドハンティングの話もあり…。
今回の彼女の主な顧客は、投資家の女性、子供が中学受験の女性、人気イラストレータなど。

静緒は元上司と共に、病気で余命幾ばくも無い70代の女性顧客のため、「エステートセール」(遺品オークション)を手伝う。顧客は、これをもって「お別れ会」として、通夜も葬式も行わない意向。葬式等の冠婚葬祭は女性が食事等の用意担当で忙しいわりに、男性はなにもしない風習なので、顧客は娘たちにそのような負担をかけたくなく。

購入予定の家を顧客のひとりに購入されてしまった静緒。けれど、大切なことに気付く。


エステートセールをもってお別れ会とするのは、生前葬よりも響きがポジティブというか。恋愛はないけど、居心地の良い静緒と桝谷の関係性は、ハウスメイトの展開系か。



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