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じわじわと深刻、映画「フロリダプロジェクト 真夏の魔法」を観て

2017年アメリカ制作。

6歳のムーニーは、フロリダ州ディズニーワールド側の安モーテルにシングルマザーのヘイリーと暮らしている。ヘイリーは20代前半なので、二人は一見年の離れた姉妹のよう。下の階にはヘイリーの友人アシュリーとその息子スクーティが暮らしていて、いつもスクーティといっしょに遊ぶ。

この安モーテルには、リーマンショックによるサブプライムローン問題で家を失った人が多数暮らしている。郊外なので収入の良い仕事にはつけず、そのため家を借りるためのまとまった資金ができず、この安モーテルに暮している。

管理人のボビーは、住人に規則を守らせるよう促しつつ、目配りしている。

ムーニーとスクーティともう一人はある日、車の上に唾をとばす遊びをしていたら、車の持ち主ステイシーに見つかり、激怒したステイシーはモーテルの事務所へ。ボビーが家までやってきて、結局ヘイリーは子供たちに車の窓ふきをさせる。そこで、ステイシーの孫娘ジャンシーと友達になる。(もう一人の友達は、父親にばれ、出禁になり、その後父親の仕事で引っ越す)

3人の子供たちは近くのアイスクリーム店へ行く。そこでちょうど子供にアイスを買ってあげた母親がいて、彼女にお金を恵んでもらい、アイスを1つ買い、3人で食べる。

ある日、モーテルに新婚と思われるカップルが来る。どうやらディズニーワールドのホテルと間違って予約してしまったらしい。女性のほうはここでの滞在を嫌がっている。これを目撃した子供たち。ムーニーは彼女がもうすぐ泣くという。大人が泣くときがわかると。

スクーティがライターをムーニーとジャンシーに見せる。外をぶらついていた3人は、近くの廃墟と化した住宅街に入る。中には既に落書きがたくさんあり、内装も壊されている。
暖炉を見つけて、そこに燃えそうなものを入れて、スクーティが火をつける。それが、火事となり、3人は逃げかえる。
火事なのに興味をしめさない息子を不信に思ったアシュリーは息子を問いただす。これがきっかけで、アシュリーは、ヘイリー家族と縁を切る。

この辺までは子供目線。日々何かを見つけてそれを使って遊んでいる様子。空は高く青くて、道路沿いから外れると芝生がずーっと広がっている。

なぜアシュリーに嫌われたのか分からないヘイリー。
元々は(おそらくバーの)ダンサーだったヘイリーは、性的サービスを断ると店をクビになる。仕事を探しに行くも、見つからない。アシュリーが働くパンケーキ屋で食べ物を横流ししてもらっていたけど、それももらえなくなった。
そこで、卸売店で香水を買って、ムーニーを連れて、近くのホテルで観光客向けに売るも、そこのセキュリティに見つかって、もう売りに行けない。

ついに家賃を払う金がなくなり、ヘイリーはネットに広告を出し、売春する。その間、ムーニーは音楽を大きくかけて入浴。なにが起こっているのか知らない。

ある日、ヘイリーはディズニーワールドの入場券機能付きマジックバンドを旅行者に安く売る。束の間お金ができて、ショッピングに行くヘイリーとムーニー。
部屋にいるとき、来客。マジックバンドを返せという。売春で来た男だった。無視するヘイリー。ボビーが間に入り、売春を家族に隠したい男は泣き寝入りする。が、売春に気付いていたボビーから、人を入れる際受付を通すよう言われる。猛抗議するヘイリーだけど、聞き入れてもらえない。

ヘイリーはお金が底をつきどうしようもなくなり、アシュリーを頼るも、売春のことを指摘され、頭にきて、彼女の顔をぼこぼこになぐる。ヘイリーの派手なタトューが目印となって、周囲にはもうバレバレだったのだ。

その後、スーツを着た女性らが訪ねてくる。児童保護で、ムーニーを保護しに来たと。いったん帰し、部屋を掃除するヘイリーとムーニー。
でも、翌日また警官を伴い現れ、ムーニーは別の家に保護されることになる。
いつも強気だったムーニーも、ヘイリーと引き離される現実に直面し、逃げる。で、ジャンシーの住まいに向かう。泣きながら別れの言葉が言えないというムーニー。何か察したジャンシーはムーニーの手を取り、ディズニーワールドに向かう。中に入ったふたりは、シンデレラ城を目指す。(撮影はスマホ。無許可らしい…)

最後のテロップ中はなんと無音。
これでなんだか作品自体をじわじわ考えさせられていく…。


タイトルから何か奇跡が起きるのかと思っていたら、そんなこと起きず(もしかしてディズニーワールドに無料で入れたこと?)。
子供時代の教育環境って大事。

先日、2014年のアメリカ映画「8月の家族たち」を観た。メリル・ストリープの演技が際立つ作品だったけど、いやな母親の影響で自身も子供に攻撃的な母親になり、結局バッドエンドを迎える。
ここでは、教育よりどういう人によって育てられたか、がポイントだったけど。


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