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☆本#432 ヒトの普遍的な傾向「バカと無知」橘玲著を読んで

著者は、参考文献や研究データをベースにしていて、テーマがそれぞれ興味深かった。例えば、シンプルな脳の仕組み、人間の本性、「下方比較では報酬、上方比較では損失」、「バカは自分が無知であることに気付いていない、バカだから」、「賢い人は過小評価、バカは過大評価。結果、彼らが集まるとバカに引きずられる」とか。

男女では脳の大きさが違い、構造もわずかに違う。男性は空間的知能が発達し、女性は言語的知能が発達。それゆえかヘッジファンドのマネージャーやシリコンバレーの起業家は男性が多い。男女はホルモンの影響で体にも差がある。思春期の男性の脳の方が女性より多くテストステロンに曝されていて、これが男性の攻撃性・暴力性を高め、犯罪件数や刑務所の収監率の性差につながる、というのは確かに。区別は必要。

偏見については、ジェンダーIAT(潜在連合テスト)というのがあり、以下サイトでどのようなステレオタイプを持っているか調べられるとか。これは日本語版。新バージョンの英語版のリンクあり。
https://implicit.harvard.edu/implicit/japan

「記憶が、パソコンのハードディスクに保存されているようなものではなく、流動的でつねに書き換え可能」「脳はビデオカメラのように、起きたことを正確に記録し、いつでも再生できるようにしているわけではない。(中略)そのつど記憶が新たに想起され、再構成される」らしい。

ベトナム戦争でPTSDを発症したのは戦闘地区ではなく、支援要員だったという、トラウマの話も興味深かったけど、(「新しい記憶を形成する能力を遮断する」効果を持つ)ロヒプノールを「手術前に投与すると、手術中はもちろん、手術直後の医師」らとの「会話も思い出せない」「脳内に電極を挿入したり、脳の特定部位にレーザー光線や超音波を当てる研究が進められ」ていて、将来的にこれで「記憶を自由に書き換えできるようになるかもしれない」というのはなんかショッキング。

ところで、著者は中国へ行くと外国人向けではなく中国人向けのツアーに参加するとか。そのほうがショッピング時間より、観光地を効率的に回ってくれるらしく、中国語がわからなくても、ガイドは英語がたいてい話せるし、ツアー客がグループ化されると助けてくれるらしい。なんだかそっちのほうがよさそう。


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