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映画「恋する惑星 Chungking Express」を観て

1994年公開、ウォン・カーウェイの香港が舞台の映画。前半が警官223番で、後半が633番の話。
223番は5年付き合った彼女にエイプリルフールに振られ、忘れらず落ち込んでいる。5月1日の自分の誕生日まで、その日が期限切れのパイナップルを買い続けることにする。それと同時進行するのが、金髪のかつらをかぶった女性の麻薬密輸活動。しかし裏切られる。223番が失恋記念にパイナップルの缶詰30個を食べた後で出会いを求めて行ったバーでふたりは偶然出会う。が、別れる。

223番がよく行くファストフード店(カウンターのみ)に、新入りのフェイが働き始める。彼女はいとこの店主に頼まれた。で、633番に出逢う。彼にはフライトアテンダントの彼女がいたけど振られる。ある日、その女性が633番とすれ違いで会えず、別れの手紙(彼の部屋の鍵入り)を、フェイに渡し、彼に渡すよう頼む。フェイは、彼が店に来た際、手紙を渡そうとするけど、嫌な予感がして読みたくない彼は、あとで取りに来るといい去る。店の全員がこっそりその手紙を読み、633番に同情する。

633番は元カノの不在が悲しくて、部屋のモノも擬人化して、絞りがゆるかったぼろぼろのタオルから水滴が落ちると、それを涙だという。部屋まで嘆き悲しんでいると。
フェイは、彼が不在時に勝手に鍵を使い部屋に入り、掃除を始める。何度も。でも、彼は気付かない。
店の電気代を払うというのを口実に、633番の部屋に行って金魚の水槽を掃除したり、缶詰のラベルを貼り替えたりして、ある日偶然633番と部屋の前で鉢合わせる。
633がさすがになんとなく気付いて、フェイをデートに誘う。が、時間になっても彼女は来ず。いとこが代わりにきて彼女の手紙を渡し、彼女がアメリカに行くと伝える。633はまた読まずに雨が降りそそぐごみ置き場に捨てる。でも戻ってきて読もうとするけど、文字が雨で滲んで読めない。
1年後、フライトアテンダント姿のフェイが半分開いてたファストフード店のシャッターを開ける。店は改装中で、中にいたのは633番だった。いとこはカラオケ店を開き、この店を633番に売っていたのだ。始まりの予感。

以前見たときは、麻薬とか不法侵入とか汚い部屋とか興味を引かない要素が強くてイマイチに感じたけど、今回観ていてユーモアや擬人化やくせのある登場人物らの世界観がむしろよかった。

フェイが電話代を払いに行っていなかったため店が停電になったとき、いとこは怒って切れることなく、スタッフと共にロウソクで対応しているのとか、フェイの、何度も不法侵入してものほほ〜んとしてるキャラがよかった。

タイトルは、邦題のほうが奥行きがある感じ。英語名のはたぶん店名か?
トニーレオンはこの頃からあまり変化してない感じで、金城武は洗練される前で、フェイ(役名と同じ)は本職が歌手なので、この作品ではきれいな歌声を披露している。

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