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映画「突然炎のごとく ジュールとジム」を観て

フランソワ・トリュフォー監督作品。
以前、「大人は判ってくれない」という作品を観て、これがどこか考えさせられるところのある映画で、それで監督の作品に興味を持ち、この作品もいつか観たいと思っていた。で、ついに観た。
原作があり、割とそれに忠実らしい。

1900年代戦争前にパリで知り合ったフランス人のジムとオーストリア人のジュール。彼らは気が合い、親友となり、ある日訪れた場所の女神像の表情に共に惹かれる。その後、それに似た女性カトリーヌと出会う。もともと結婚願望のあったジュールは、彼女に求婚し、結婚する。

ジュールとジムは、戦後再会する。ジュールとカトリーヌの間には6歳の娘がいる。
ジュールはカトリーヌを失いたくないと思っているけど、彼女の心はもう彼にはなく、愛人がいた。それでもカトリーヌに出て行ってほしくないジュールは、ジムにカトリーヌと付き合うよう相談。そうすれば、彼女と離れることはないと。
ジムにはパリに恋人がいて、彼女にもカトリーヌのことは話していた。で、ジムはカトリーヌを選び、同居するけど、いろいろあって、遠距離の間すれ違い、結局別れる。カトリーヌはまた愛人の元へ行く。

映画館で久々に再開した3人は、車ででかける。行先でティーブレイクしていたところ、カトリーヌがジムに車に乗るよう声をかけ、ジムが乗り、車が出発する。穏やかだけどなにか企んでいそうな笑みを浮かべるカトリーヌ。その先は橋が途絶えていて、車ごと落下する。

二人は亡くなり、ジュールは位牌を墓の安置所のロッカーの上下に入れて扉を閉め、墓を去る。

ということがスピーディにスタイリッシュに描かれる。

カトリーヌがジュールから心が離れたのは、ジュールの母親からの仕打ちの影響があったようだけど、映画では深堀りしていない。
カトリーヌは、突発的な行動をとる傾向があって、例えば、川に突然飛び降りたりする。ふたりの男性はそういう面も含めて彼女に魅了され、振り回される。白黒のせいか、スピード感のせいか、淡々としている感じ。

観終わって思ったのは、邦題が微妙。
勝手に邦題から想起した印象が、ちょっと違っていたから。おそらく集客目的と、カトリーヌのインパクトが強いからそういうタイトルになったのだろうけど。かと言って、男二人の名前だとわからなすぎるか…。
監督も主役はジュールとジムと指摘したらしいが。

戦争前のジムはひげを生やしていて、後のジムはそっていて見た目の印象がずいぶん違う。ここも映画の前半と後半の分岐点な気がする。

この作品は、公開当時カトリーヌが新タイプの女性として注目を集めたらしい。
ジャンヌ・モローの顔は、プライドを併せ持つ感じが良くて、今回片親がイギリス人というのを知り、意外な気もしつつ、なんか納得。
共感はなかったけれど、いろいろ想像の翼を羽ばたかせてくれる作品。


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