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はじめての…で、感じた優しさについて②

手持無沙汰に待つこと五分だったか十分だったか。緊張しているときは時間の流れがやけに長く感じるもので。

ロシアのおうちの狭い水回りのリフォームに奮闘するテレビの向こうのタレントさんを見るともなしに見ていると、腰にバスタオルを巻いた、いや…、清潔そうなボクサーブリーフ姿だったか…?いやいや、そんな半裸姿じゃなしに、バスローブを羽織ってはいなかったか…??と、最早記憶が曖昧で定かではないが、とにかく、殿方がお風呂から出てきた。

ドキドキと葛藤のピーク!

「こういう番組好きなんですか?」
と、お風呂上がりもふんわり雑談。
「そうなんです、面白いですよね」
と、ドキドキを悟らせぬよう、ふんわり返答。
「そうですよね~」
ふんわり雑談が続くのかと思いきや…
三ターン目くらい、だったでしょうか。

「そろそろ始めましょうか」
と。

と、

と!!!!!!!

もうこうなったらいくっきゃない!
(いや、それをしに来たんだろ!!!)
静かに覚悟を決め、凹凸のないリアクションを無意識に心がけ、「はい、」と、あくまでこちらも淡々と返答し、テレビを消す。

「うつ伏せになってください」と言われたので、体をベッドにうつ伏せる。確かこのタイミングで私はバスローブは脱いだような。そして、その脱いだバスローブを、うつ伏せになった私の上半身に、殿方がそっと、かけたような。どうだったっけか、、(うろ覚えです…)とにかく脱ごうが脱ぎまいが、その時に殿方は、私にこれ以上の変な緊張を与えず、むしろ、本編に入る前の、このオーバチャーの終わりのような一瞬さえも、安心感や信頼感を与える一つのチャンスであるかのように、私の体のオモテ面は見ないよう、分かりやすく目をそらしていたと思います。
これは確実にそうでした!
多分マニュアルなのだと思います。

そして殿方は、ベッドボードの調光つまみを慎重に回し、ただでさえ暗めだった部屋の灯りを、ほぼ真っ暗に。常夜灯以下の、暗さ。

そして、マッサージが始まっていく。先ずは足先から、ゆっくりと、ほぐされていく。初心者はパウダーよりオイルの方が安心して楽しめるとのことなので、そのアドバイスを聞いてオイルを選んだ。私の足をそっと押す殿方の指から、こちらを伺うような気配が伝わる。気遣いの中にどことなくこちらの緊張をはかってまだ踏み込まないようにしているような。どことなく遠慮が感じられる、でも気持ちのよい柔らかな圧で、足の裏、ふくらはぎ、太ももをオイルを介して滑らかになった指が滑っていく。

「ふくらはぎ、柔らかいですね」
「昼間、ホットヨガにいってきたから、流れがよくなってるのかもですね」


なんて、ここでもふんわりと雑談。まだ、セクシャルなものは何も匂わない。
両の足を同じように、丁寧に指が少しの圧を加えながら滑り行く。単純にほぐされていることに気持ちよさを覚えていると

と、、

足先から、馴染みのない感覚が這ってくる。柔らかく湿り気のあるものの接地が、リズムを持って、さっきのマッサージみたいにふくらはぎ、膝、太ももと上ってくる。それが唇の感触だと分かったのは、三回ほど、その湿り気の柔らかいスタンプを押されてから。過去の性行為で足の指を舐められたことはあったけれど(ちなみにその行為にはまったく興奮しませんでした)、この感覚は初めて。
くすぐったいのと恥ずかしいのとで少しパニックになり、そして何だか申し訳なくなり「オイルついてるのに大丈夫なんですか~??笑」と言うも、もう、ふんわり雑談のラリーは、なし。
言葉はなく、殿方は、次のマッサージへ移っていく。

緊張のドキドキが、別の種類のドキドキに、変わって行く。

つづく

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