見出し画像

地方に住み、自治体と働くということ⑥ ~そのクラウドファンディング、必要ですか?(2)

前回は、クラウドファンディングの種類やサービスを提供しているサイトについて、ご紹介しました。

今回の記事では、地方起業でクラウドファンディングがどのように使われているのか、各サイトの特徴は何か、という点を見ていきたいと思います。


1.地方起業で使えるクラウドファンディングとは?

各サイトの取り扱いプロジェクトに、以下の特徴があるかどうか見てみるとよいでしょう。
・地方創生に特化したテーマがある
・SDGsに力を入れている
・ガバメントクラウドファンドを扱っている

以下、クラウドファンディングの紹介サイトの中から、「地方起業」に使えそうなものをピックアップしてみましたので、参考にしてください。

※サイトの紹介文はBAMP(https://bamp.media/knowledge/1003.html)より転載、加筆しています。
※各サイトで掲載されているプロジェクト例は、2020年9月19日時点でプロジェクト成立しているものからピックアップしました

2.購入型クラウドファンディング

①CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
https://camp-fire.jp/
購入型国内クラウドファンディング年間支援プロジェクト成立件数No.1(株式会社矢野経済研究所調べ2018年11月現在)の日本最大級のクラウドファンディング・プラットフォーム。
手数料12%+決済手数料5%(=17%)

●アップサイクル愛媛 廃材を活用した商品を販売開始!! ➡226万円(84人支援)
●英語を諦めたくない人へ、外国人が集まる宿で留学体験を届けたい! ➡78万円(86人支援)
※規模の大小様々なプロジェクトがあり、テーマ特化型のサイトもある。


②飲食クラウドファンディング3rdTable(サードテーブル)
https://camp-fire.jp/channels/3rdtable
飲食の新しいチャレンジを支援するクラウドファンディングサイト。「飲食業界を切り拓く新たな挑戦」「お店やオーナーの熱い想いが込められている」などを基準にプロジェクト掲載を行う。CAMPFIREと同じ会社が運営しており、掲載ページも共有されている。
手数料12%+決済手数料5%(=17%)

●ビール醸造家が店頭に立つブルーパブが、一生涯1日1杯サービスになる特別会員を募集 ➡220万円(183人支援)
●コーヒーとお茶のお店を信州諏訪に。一杯のカップで豊かさについて考えるきっかけを。 ➡161万円(199人支援)
※飲食ビジネスに強み有。面白い取り組みがたくさん。


③Makuake(マクアケ)
https://www.makuake.com/
株式会社サイバーエージェントのグループ企業である株式会社マクアケが運営するクラウドファンディングサイト。独自の市場分析ツールやメディア掲載数5,000件以上の実績が強み。ふるさと納税型のMakuakeガバメントもある。
手数料は20%(決済手数料5%を含む)。

●トゥクトゥクで高知を元気にしたい! ➡211万円(71人支援)
●日本初!大学構内の日本酒蔵。上川大雪酒造が北海道十勝の国立帯広畜産大学に創設 ➡2,967万円(2,810人支援)
※ガジェット系クラウドファンディングで有名だが、ふるさと納税と連携した大規模資金調達も。


④Kibidango(きびだんご)
https://kibidango.com/
スタッフやクリエーター陣でメディア「かわら版」を運営。手数料は10%と業界最安値(楽天ペイ利⽤時は14%)。世界最大級の購入型クラウドファンディングサイト「Kickstarter」からKickstarter Expertに認定されており、Kickstarterへの挑戦を成功させるアドバイスを受けることができる。

●最先端のICT環境を備えたオルタナティブスクール「スタディプレイス」を作りたい! ➡107万円(142人支援)
●おばあちゃんの料理を【レシピ遺産〜秋冬編〜】としてコロナに負けずに出版したい! ➡50万円(24人支援)
※ITを活用したプロジェクトが多い印象。


⑤GREEN FUNDING(グリーンファンディング)
https://greenfunding.jp/
出版・CD・DVD・ガジェットなどのプロダクトの購入が主流のクラウドファンディングサイト。TSUTAYAグループの店舗と提携し、リアル店舗での展示や販売、体験会を行うほか、メディアと連携したプロモーションなど、資金調達以外のマーケティング支援も期待できる。
「担当キュレータープラン」はフルサポート・決済手数料込みで運営手数料20%。

●構想から6ヶ月で現代アート美術館をオープンする32歳の挑戦 ➡424万円(162人支援)
●障がいを持つ方の一人一人にあった作業工具を揃えてものづくりをする楽しさを伝えたい! ➡120万円(29人支援)
※商品開発や出版・アート系が中心。


⑥MotionGallery(モーションギャラリー)
https://motion-gallery.net/
アート、音楽、写真、ゲーム、映画、書籍などの創作活動の実現を支援するクラウドファンディングサイト。MotionGalleryを通じて、世界最大級のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」内で日米同時にクラウドファンディングが可能。
手数料5%+決済代行手数料5%(=10%)

●「続けコミティア」自主制作漫画誌展示即売会継続支援プロジェクト ➡1億2,550万円(10,548人)
●ほめないしからない認める教育「トエック」が子育てや暮らしのヒントをネットラジオで配信 ➡222万円(170人)
※アートビジネスに強みがあり、大型のプロジェクトの規模では他を圧倒。


⑦sandwich(サンドイッチ)
https://sandwichcrowd.com/
大分発・大分のためのクラウドファンディングサイト。大分合同新聞社がプロジェクトのPRを、大分銀行が資金調達等をサポート。
手数料は20%。

●厚物帆布の加工に長けた創業68年の歴史を持つ大分県の老舗テント屋が、新たな素材「超高密度織8号帆布」を使用した高性能トートバッグの開発に挑戦! ➡179万円(154人支援)
●別府の街を“巡る”入り口として!大分の地酒と全国・世界の銘酒が楽しめる“ Sake Stand ”がついにOPENします! ➡150万円(160人支援)
※大分に特化しており、イベント系プロジェクトが多め。


⑧未来ショッピング
https://shopping.nikkei.co.jp/
「企業にイノベーションを。地方に活力を。」がコンセプトのチケット購入型クラウドファンディングサイト。日本経済新聞社が運営。日経読者や会員などに予約購入形式で事前に資金の調達が可能。後述のENjiNE(エンジン)への同時掲載も可。
手数料(成功報酬)は20%。

●特別なボラの卵巣だけを使った幻の「からすみ」づくりを完全復活させる ➡60万円(16人支援)
※地域起業の案件は少なめ。商品開発が中心。


⑨WonderFLY(ワンダーフライ)
https://wonderfly.ana.co.jp/
ANAが運営するクラウドファンディングサイト。通常のクラウドファンディングに加え、テーマに対してアイデアや技術を競うクリエイティブアワード(コンテスト)を開催しており、事前にアイデアや可能性を試すことができる。達成したプロジェクト商品は「WonderFLY ONLINE SHOP」もしくはANAショッピング「A-style」で販売することができる。
手数料は20%(決済手数料・税込み)

●熱海の温泉水で造った無添加の石鹸を通して、人と自然に優しい環境作りを推進したい ➡67万円(154人支援)
●小豆島産の生ハムに挑戦!潮風と醤油麹菌で「日本版ハモンセラーノ」を製造 ➡148万円(149人支援)
※ANAグループのブランド力を総動員し、非常に魅力的なプロジェクトが掲載されています。


3.寄付型・購入型クラウドファンディング

①READYFOR(レディーフォー)
https://readyfor.jp/
日本初・国内最大級のクラウドファンディングサイト。寄付型に特化したReadyfor Charityや、ふるさと納税を対象にしたReadyforふるさと納税、国際協力活動応援プログラムのReadyfor VOYAGEのほか、Readyfor 緊急災害支援プログラム、大学向けクラウドファンディングのReadyforCollege、社会的養護を必要とするこどもを支援するReadyforこどもギフトを展開している。
調達側の手数料は、シンプルプラン手数料7%+決済手数料5%(=12%)、フルサポートプランはサポート手数料12%+決済手数料5%(=17%)。

●下関を世界有数の港町に!複合施設ウズハウスで町を元気にする【個人プロジェクト】 ➡4,439万円(425人支援)
●元薬草園を改修して日本初のボタニカルブランデー蒸留所を作る! ➡1,692万円(685人支援)
※実に幅広いプロジェクトがあります。数が多すぎて埋もれてしまう可能性も。

②GoodMorning(グッドモーニング)
https://camp-fire.jp/goodmorning
「社会問題と向き合う人のクラウドファンディング」がコンセプト。2019年4月にCAMPFIREより分社化。
手数料は9%+決済手数料5%(=14%)

●一千年続く日本一の侍・馬事文化「相馬野馬追」を守りたい! ➡1,128万円(424人支援)
●猫と触れ合える旅館「新玉(あらたま)旅館」の保護猫たちの命を守りたい ➡854万円(1,417人支援)
※金額規模は幅広く、様々な事業があります。


③FAAVO by CAMPFIRE
https://camp-fire.jp/faavo
「まちでいちばん身近なクラウドファンディング」として地域を盛り上げるプロジェクトに特化したサイト。利用可能年齢は20歳以上。
「寄付型」「購入型」ともに、手数料はサポート内容によって異なる。

●食品ロスをリサイクルで解決!子供も大人も楽しめる【ジャガイモねんど】を商品化‼ ➡70万円(71人支援)
●日本の農家や山村の安全を守る!害獣対策とジビエ料理を知ってほしい。 ➡48万円(100人支援)
※イベント系プロジェクトが多い印象です。金額も比較的小さめ。

④A-port(エーポート)
https://a-port.asahi.com/
朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト。新聞社独自の情報発信力・リサーチ力・編集力のノウハウが強み。寄付型に特化したA-Port寄付型のサイトもある。
手数料15%+決済手数料5%(=20%)。オンラインサロン開設サービスあり。

●天草の食材のベーグル&マフィンで地域活性化!天草の高齢者と日本を元気にしたい ➡61万円(76人支援)
●失われた幻の染め物・400年の歴史を持つ「高砂染」を復刻し、世界へ! ➡176万円(56人支援)
※報道や思想に関するプロジェクトが多いのが特徴です。

⑤KAIKA(かいか)
https://kaika-crowdfunding.jp/
山口県を中心に広島・福岡の若者や女性を主なプロジェクトオーナーとするクラウドファンディングサイト。地域活性化やビジネス創生、店舗展開を支援を主目的とする。ふるさと納税サイトも運営。

●学生や地元の人たちとYamaguchiを盛り上げたい!~ボーカリストLinoが高校生などと三密に配慮した屋外ライブを開催し、CDを作成 ➡178万円(158人支援)
●車海老への情熱がとまらない! 一人の男が本気で車海老の養殖に立ち上がる! ➡109万円(65人支援)
※地域のイベント系プロジェクトが多い印象です。


4.投資・融資型クラウドファンディング

①セキュリテ
https://www.securite.jp/
社会に価値を生み出すことをコンセプトにしたインパクト投資プラットフォーム。金銭的なリターンを得られる「ファンド」のほか、物やサービスを得られる購入型のプロジェクトや寄付型のクラウドファンディングも展開し、日本各地の地域の問題を支援する。ファンドの審査において、SDGsを評価軸の一つとして採用。運用にはファンドごとに手数料がかかる。出金時手数料も投資家負担。

●デザインで輝く美しいものづくりファンド ~デザインを通じて社会での相互理解や共生を推進する力の発信を行う ➡400万円(107人投資)
●南阿蘇村 みんなに優しいスープファンド ~南阿蘇村の無添加オーガニック野菜を復興のために活用し、農業再生も図ります!【半分寄付】 ➡500万円(76人投資)
●RATTA RATTARRアートファンド ~人の「繋がり」から誕生したデザインブランドの拡大を目指します ➡1,020万円(65人出資)
※規模の大小問わず、様々な地域起業への投資実績があります。林業や造酒など特徴的な取り組みも多いです。

②CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)
https://owners.camp-fire.jp/
株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITALが運営するクラウドファンディング。2019年9月11日より投資家登録受付開始。1万円から投資可能。投資家の口座開設および融資に関する手数料負担はなし。出金時の振込手数料は要負担。

●【別府発 先端バイオ技術を用いた温泉微生物研究企業の新たな挑戦】アルコール除菌剤開発ファンド ➡1,032万円(72人投資)
※地域起業に関する実績は少ない印象です。

③Sony Bank GATE(ソニーバンクゲート)
https://moneykit.net/visitor/sbg/
ソニー銀行提携の「資産運用」×「共感・応援」がコンセプトの投資型クラウドファンディングサイト。2019年6月10日よりファンド申込み開始。口座開設・分配金受け取り(出金)手数料は不要。※運用手数料は記載なし

●ニットが紡ぐあたたかい社会の実現へ 循環型ものづくり応援ファンド ➡3,000万円(315人出資)
●TASUKEAI 0 PROJECT アパレル廃棄0を目指すshoichi応援ファンド ➡1,700万円(340人出資)
●環境・地域・人にやさしい新食材 規格外野菜から生まれた野菜のシート(ベジート)ファンド ➡9,800万円(1,960人出資)
※全体的に金額規模が大きいプロジェクトが多い印象です。


5.まとめ

ここまで見てきて、やはり地方のプロジェクト数が圧倒的に多いのが「Readyfor」でした。支援金額の幅も数十万~数千万円と幅広く、取り扱っているプロジェクトのテーマも多岐にわたります。

また、地方のプロジェクトに特化していた「FAAVO」が「CAMPFIRE」とシステム統合したことで、「CAMPFIRE」の利便性が一機に高まってきていましたね。

次回はクラウドファインディングシリーズの最終回。あなたの事業でクラウドファンディングが本当に有効なのか?クラウドファンディングのメリットを享受するにはどんな条件が必要なのか?というあたりを、掘り下げていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?