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スターとは

三島由紀夫さんの著書で、最も繰り返し読んだのは「太陽と鉄」
筋肉と自意識が露骨に描かれている名著だと思う。
さらに、「剣」そして「スタア」
「剣」は武道家、「スタア」はぼくの天職である役者の美学が描かれている。
三島さんは、映画「からっ風野郎」に出演した経験から「スタア」を書いたと言われているが、映画全盛当時の撮影風景が興味深い。
技術の進歩と映像作品の多様化で現在の撮影とは必ずしもイコールではないが、監督や他のスタッフ、現場の空気など良く伝わる内容だ。
幾分…というか、かなり偽悪的に描かれている主人公の映画スター水野豊(三島由紀夫と同じイニシャルでニヤリとしてしまう)の虚構に生きる姿勢は、ある意味で全ての俳優の共感する部分でもある。
尤も、「スターという貴種になってしまった若者の悲劇」を多少シニカルに伝えることにより、三島美学の一環と評価されることになった。
三島作品として成立していながら、製作現場の細やかな部分も親切に教えてくれる著書としてぼくのバイブルとなっている。

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