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Vol.3 滋賀 羊毛を洗う
羊毛の選り分けの続きです。
毛糸になるべく選ばれた2.7kgの羊毛たち。今回はこれを洗います。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85565960/picture_pc_e72d5dbb588cb165f29274347248c719.jpg?width=1200)
洗いの作業は天気の良い日に。室内にこもって作業すると、むせ返るほど羊の匂いが充満します。決して嫌な匂いではないのですが、とにかく濃い生きものの匂い。窓を開け放し、風が通る日に作業しています。
はじめに、羊毛の汚れをお湯につけて落とします。羊毛は揉むと毛が絡み合い、硬く縮んでしまいます。このフェルト化を防ぐために、大きめのネットに入れて、できるだけ羊毛を動かさないようにします。作業しながら、羊毛を観察。ひと房ひと房(ステイプル)がしっかり残って良い状態です。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85565977/picture_pc_e071bf6306bce2df503e6b3022b2ae65.jpg?width=1200)
羊毛が擦れ合わないように、やさしくゆっくりお湯につけてしばらく置きます。動かさず、ふわっととろけるように。これだけでだいたいの汚れが落ちますが、再度、石鹸水を入れたお湯につけ、少し脂分を落としました。
実は、洗う前の羊毛は、ベトベトしています。これは、貴重なラノリンという成分で、良質なクリームや化粧品に利用されているもの。保湿保温を高める効果もあります。毛糸やニット製品にしたときに、抵抗なく身につけられる程度に、ほどよく脂分を残す、洗い具合がポイントです。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85565982/picture_pc_96ed1d6c32982544cb6e372e42f07765.jpg?width=1200)
「洗う」と言っても、ほとんどお湯につけ置きするだけ。これで、真っ白な姿が現れます。数回すすいで、お湯が透明になってきたら水気を切って、こんな仕上がりに。全く違う羊毛になったような白さ。ステイプルの先が黄ばんで見えますが、このあとほぐすと不思議と真っ白になるので大丈夫。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85566004/picture_pc_337c21211d480c8a530f7f272d490f09.jpg?width=1200)
できるだけまとまりを崩さないよう羊毛を広げ、風の当たる場所に干します。ふわっと柔らかな羊毛たち。そして、お湯洗いでは取りきれなかった、羊小屋の藁や、牧草地のさまざまな植物がついています。羊毛の利用を前提にされた羊は、カバーで覆われ、毛に汚れがつかないように飼育されますが、この羊はあるがまま、あちこち飛び回って暮らしていた生後1歳の男の子。その痕跡を見たと思うと、ゴミを取り除く作業も少し楽しくなりそう。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85566019/picture_pc_142c78b4480166fb8a5ea68eb76c1ab8.jpg?width=1200)
藁などを指やピンセットで一つずつ拾う作業は根気が要ります。もうこの位でやめようかと何度も思いながら、あとちょっと、あとちょっとと、とにかくがんばります。細かい汚れは、この後のほぐす作業で取れるので、このあたりで完了です。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85605371/picture_pc_9697e9491ec0800d17ffa52e80f31439.jpg?width=1200)
真っ白のふわふわに膨らんだ羊毛の姿は感動もの。次は、羊毛をほぐし繊維にする作業です。
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