Vol.2 滋賀 羊毛を選り分ける
羊の毛刈り見学の続きです。
熱気むんむん、刈り取られたばかりの羊毛を、台にのせて状態を見て行きます。左が頭、右奥がお尻です。この子は、日本コリデール種の男の子。生まれて初めての毛刈りで、生後1年目の毛です。羊は若いほど、繊維が細く柔らかいそう。この子の全毛量は2.7キロでした。
羊毛は生えている場所によって、毛質が全く違います。背中は直射日光を浴びてチリチリに、お尻まわりはやっぱり汚れています。首まわりはよく動く場所なので、毛がこすれてフェルトのように硬く縮んでいたり。脚のあたりは、毛の色素が抜けて強くなったケンピ(ヒトの白髪のようなもの)が混じっています。羊の暮らしが毛に現れているのが、とにかくおもしろい!
汚れやゴミ、傷んだ毛を注意深く、必要最小限取り除きます。どこまでやるかは、判断の分かれるところかもしれません。
選り分けた結果がこちら。中央の一番大きな山が、肩と脇の一番柔らかくきれいな毛(ショルダー&サイド)です。山の右は、お尻から脚にかけて(ブリッジ)で、毛が太くしっかりているのが特徴。山の左は汚れやゴミが多い毛、傷んだ毛たち(ベリー)。ベリーは、そのまま堆肥にしたり、建物の断熱材に使ったり、根気強く洗って使うこともできるかも?という毛です。
全毛量2.7kgの内訳は、ショルダー&サイドが1.8kg、ブリッジが0.35kg、ベリーが0.55kgでした。毛刈り職人の技術のおかげで、きれいな羊毛が2.15kgとれました。これを、コットンの風呂敷に包んで、持ち帰らせていただきました。うれしい…ほくほく…。これから、洗って、紡いで、毛糸にする、という楽しい工程が待っています。続きは次回。
ところで…
滋賀県畜産技術振興センターの羊たちは、日本コリデール種(少し雑種)です。日本では、主に食用肉として飼育されるサフォーク種が多くなり、日本のコリデールは、希少な種になってきたとか。ザ・羊の顔(私の勝手なイメージ)をもつコリデールの羊たち。日本の牧場に、いつまでもいてほしいなと願います。