見出し画像

さよならはどこかへ 1

2020年3月12日

横浜駅から東横線で渋谷に向かう。新型ウイルスによって電車に乗っている人が少ないのは最初の1週間だけで、また今週から混んできた気がする。危機感が薄れてきていると日々感じるけど、自分も通勤ラッシュの時間に毎日乗っているから何も言えない。小売はリモートもできないし、フレックスにもできない。たくさんの人と毎日接触するから自分で自分の身を守るしかない。

仕事が終わって帰り際、上司から私の文章が載っていた雑誌の記事について話しかけられたので、他にも一緒に載っていた人たちの話をすると全部聞いた後に「興味ない。」の一言で一蹴。じゃあ何で聞いたんだよとか、話広げんなよとかいろいろ考えて反抗しようと思ったけど、この人に何言ってもしょうがないからぐっと黙る。帰り道にさっき話していたことを思い出すと、怒りより傷ついたという気持ちの方が先行していた。

家の前にある階段の途中で腰が痛くなって歩けなくなる。

2020年3月13日

半休をとって整形外科へ。小学校の通学路を10年ぶりぐらいに歩く。秘密基地にしていた空き地、駐車場は変わらずにあった。けれど派手な色の屋根の家、草で覆われていた平屋、大きなイチョウの木は無くなっていた。変わらない風景と変わってしまった景色を同時に見て、もうこの道は歩かないだろうなと思う。来月引越しをするからだ。

病院が終わって一旦家に帰ることに。途中の分かれ道で小学生の時に探検しなかった道が気になり始める。Googleマップで見て、実は家の近くの道に出ることに気づいたけど、地図上だとどの辺りに出るのかわからないので行ってみることに。通学路に使っていた道と比べて急勾配が続く。腰が痛い。坂を登りきったら家からもの凄く近い道に出て、10年越しに近道を見つけてしまった。私が小学生の頃はもちろんガラケーだったし、Googleマップなんてない。自分で探検していた道が全てだったけど、今の小学生は気になった道をその場で検索して調べることができて、自分の頃とは全然違ってしまうことをひしひしと感じた。

腰はヘルニアだった。

毎月1回、25日ごろに配信される『イエローページ』というメルマガに寄稿した文章です。最新のメルマガを読みたい方はこちらのフォームよりお申し込みください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?