出ていった母が現れたクリスマスの夜
日付を超えて
今さっき日付が変わった。
布団の中で居心地の良い夢を見ていたはずの私は何故か涙が止まらなくなった。どうしても、悲しくて。どうしても。
気持ちが抑えられなくなって苦しくなった。
だから、今は起きてリビングでこの文章を書いている。
夢の中で
昨日は疲れて21時には布団に潜った。
いつもより早い眠りについた私は、心地の良い夢を見ていた。
私は夢の中で楽しくお出かけをしていた。
そして、何故か夢の中の出かけた先で私は抽選をすることになった。ガラガラくじのようなものではなく、何故かスマートフォンでの抽選で景品が当たるようなものだった。
そこで私は旅行券が当たった。1万円分。
だから誰と行こうか夢の中で一生懸命考えて、電話したのが母だった。
思い出した過去
夢は母に電話するところで終わった。
夢の中で旅行券が当たった後、母に電話した理由は旅行をプレゼントしたかったから。
1年に数回も考えないようにしていた母が出てきて、私はハッと目を覚ましてしまった。そして、過去を思い出して涙が止まらなくなった。
夢なんていつもは鮮明になんて覚えてもないし、自分の感情なんてそこまで響くことも無いのに今日だけは違った。
クリスマスの夜に何か意味があるのか。そうとも考えてしまった。
私の母
私の母は私が高校生の頃家を出て行った。
不倫とかそんなのではない。父と合わなかったのもあるし、私を育てることに限界を感じたのもあると思う。
母は私や父のいる家庭にいることに限界を感じてある日出て行ったのだ。
母は家事ができない人だった。料理をちゃんと作れなくて私も弟も小さなころからやせ細ってしまっていた。栄養失調だった。母は働くこともできるような人ではなかった。横になって寝ていることがほとんどだった。
だから、家庭というよりはそんな自分に限界を感じてしまったのかもしれない。今でも自分を責めて母が生きているのは知っている。
それは、父が仕事ばかりで母を支えられなかったのもあるかもしれないし、母の両親が難しい人で母の心や体が小さな頃から弱っていたせいなのかもしれない。私が小さい頃からわがままで幼かったせいかもしれない。私が母を困らせ過ぎたのかもしれない。
出て行ったことは考えたけれど答えは無くて、私も母もよくわかっていないと思う。
ただ、母が苦しんできたことだけはよく知っている。
許せないのは自分
でも、それでも、母がいくら自分を責めていても私は母を許せない自分がいる。
母が辛そうに生きれば生きるほど、自分はもやもやして苦しくて涙が出てきてこう思う。
「自分で出て行って自由になったんだからもっと楽しく生きてよ」
出て行ってから久々に会った母はうつ病で苦しそうな生活を送っていた。働きたいのに働けなくて、食事ものどを通らなくてやせ細っていた。私はそんな母に腹が立った。
「会いたい」
そう、母に言われた時は出て行ったくせに何言うんだとムカついた。
いっそ私の事なんか忘れてしまってほしいと思ってしまった。
出て行ってからはもっと幸せになって自由になって欲しかった。
腹が立ちすぎて感情をどうコントロールすればいいのかわからなくなった。
何もできない癖に、どうして離れてからも私や弟の事ばかり考えているのか疑問ばかりだった。
私は今でも母のことを考えるとどんな感情になればいいのかわからずただただ涙が出てきてしまう。
私が母を許せないと同時に、私が幼さから母を困らせた過去を思い出し私は自分で自分をいつも責める。
「あの時困らせなければ家にいてくれたかもしれない」
そう思ってしまう。
そして、もっと幸せに生きて欲しいともどかしくなるし、悔しくなる。
母はもう、精神的に落ち込む状態が続いていて私がいくら言葉を投げても届くことがあまりない。届いても、私が思うような解釈をしてくれないし、考えてることがよく分からない。
昔から、矛盾ばかりで言っていることもよくわからない人だった。人間関係も下手で、何をするにも知識もなくて失敗ばかりの人だった。すぐヒステリックを起こして混乱していた。私にいろんなことを押し付けてきた。物事を冷静に考えることができない人だった。
そんな中で私や弟の事だけはいつもいつも一生懸命考えて縛られて生きているように見えて、責めたくても責められなかった。だから、余計腹が立った。
でも、周りがどんなに批判して育児放棄と言おうが私はそんな母が好きだった。きっと今も好き。
私はもしかしたら、何もできない母を困らせて責めて追い出してしまった自分を許せないだけなのかもしれない。
想っているから
私は夢から覚めて、日付が変わってクリスマスになっていることに気が付いた。
夢はとても幸せな夢だった。それは旅行券が当たって母と一緒に楽しい旅行をしようと考えている夢だったからだ。
そして、起きた時、母の喜ぶ顔が頭に浮かんで本当に当たっていればいいのにと枕もとを探した。
私は母を想っているから、辛いし腹が立つし涙が出る。
それは仕方がないことだ。
わかっている。
私はいつも宝くじを買うと考えることがある、それは1億円当たったら母に家を買ってあげよう、母に暮らしやすい地域を教えてあげよう、母が食事や生活に困らないようにしてあげよう。
たくさん考える。
もし、今自分に1億円くらいの資産があって経済的な余裕があったら母を救えるのだろうか。いつも考えてしまう。
でも、現実的には私は自分のことだけでも精一杯で母のことはできるだけ考えないように過ごしている。
考えれば考えるほどどうにもできなくて辛くなってもどかしくて涙が止まらなくなるだけだから。
でも、いつか私に心の余裕ができて笑って会えることを願う。
経済的余裕もできて何かできることを願っている。
私の母は私を産んでくれた素敵な母だから。
私は母に幸せになってほしくてただただ腹が立ってしまうだけだから。
クリスマスの今日くらい連絡してメリークリスマスを言っておこう。
(※カクヨムで私の家族とのことや人生について書いてます)
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