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「もぬけの考察」村雲菜月

 最寄りの図書館で群像が借りれることを、引っ越してから初めて知って借りた。2023年6月号に文学賞作品が載っていたのでその感想について。

 わからない世界にいるわからない自分が、言葉や絵という誰かの方法を使って記録しているような、自意識や人との結びつきを取っ払った、誰目線でもない目線での話を思い浮かべた。各章で共通して、対峙する人対人、もしくは人対クモや人対文鳥は、そうだよなぁ正体不明同士だもんなぁ、と読んだ後に、片一方から見た側面だけでは掴みきれていない相手に触れることの危うさが印象に残った。なのでメインで語っていない側の背景の想像が膨らむのが面白かった。何となく欲得に対する警鐘を感じた。一度読んだきりでは話の捉え方をこうだとは決められないように思った。

 今日運動しに行ったジムにちょうどクモが這っていて、読後のゾッとした感じを思い出した。

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