春のとまどい 揺らぎ -桜ソング-
季節のもつ、冬と春の表情が重なり合うこの頃。
揺れ動く心を歌うこの作品のなかで
かたちのない、曖昧なものについて思いをめぐらせた。
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わたしたちの感情は、いつだって目に見えない。
"ことば"という共通のツールに従って、どうにか表現している。
わたしたちが常に
ことばにできない曖昧な感情を抱えて生きているのなら。
揺れ動く感情をいつだって
自覚していることになる。
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人が「桜」を想い、春の歌に引き寄せられるのはなぜだろう。
蕾が花となり、散っていく。
その一連の現象に
心のなかの浮かんでは消える想いを重ねているのかもしれない。
気持ちの移ろいは春に限った話では、ないのだけれど。
それでも、「春」という季節は特別だと思う。
寒く厳しい環境から
あたたかい場所にすすむことは
いつだって不安が伴うものだから。
あたたかい春の花びらのように
心惹かれるものに気づいてしまったとき。
それに手を伸ばしていいのか、
どこかでとまどい、揺らぎを感じているのかもしれない。
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春のとまどい 揺らぎをテーマにしたこの作品の中で、そんなことを考えていた。
あいまいな感情を、いつも感じていたい。
見えないものを無いものとしないように。
移ろいゆく季節に想いを馳せていたい。
めまぐるしい日々のなかでも
木々のつぼみに気がつけるような。
ささやかな心の内側の変化を喜べるような。
そんな人でいたいと思った。
まだ咲かない花の蕾を
心に抱きながら。
あなたとわたしの間の
見えない思いを肯定したい。
もうすぐ、春がくる。
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