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読書記録|青年期境界例 成田善弘

天気が悪いので一日中、読書してました。

「青年期境界例」成田善弘著 金剛出版

専門性 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
読み易さ ⭐︎⭐︎
役立ち度 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

※勝手な感想です

一般向けではないので、専門性高めで読むのは少し難解です。精神分析の基礎知識が必要。

いやはや、驚き。

1989年発行なんだけど、すんごい。

境界例の患者さんの実際の精神療法の場面が、ありありと伝わってくる。

境界例の方は治療者の関わり方が、非常に難しいと言われてます。

治療者側の戸惑い、後悔、恐れ、、。

精神分析の大先生なんだけど、偉そうじゃなく、自身の関わりを振り返って考察されてます。

成田先生がスーパービジョンを受けて、この場面ではこうすべきだった。と指摘を受けてる。

それが赤裸々に記されている!

行動化の意味、対応、贈り物は受け取るの?等、とっても勉強になります。

特に第五章 精神療法「覚え書き」が、”現場”で使えるヒントが詰まっている。

治療者は患者に、(1)一体どういうことがあなたを精神科にこようと決意されたのか?そして、(2)なにゆえもっとまえでなく、あるいはもっとあとでなく、今やってきたのか?こういうふうにごく自然にきいてみるのがよい。そして(3)ここにどういうことを期待してきたのか?ときく。

第五章 精神療法「覚え書き」一.出会い より

成田先生は精神療法を行う医者の立場から書いていらっしゃりますが、上記の引用箇所はカウンセリング場面でも大切なポイント。

来談目的、主訴をうかがうために、とても洗練された言葉だと感じる。
「どういうことがあなたを精神科にこようと決意させたのか?」という言葉の選び方が秀逸。

なぜ来たのか?そこには並々ならぬ決意があるはず。
それは一体何なのか?

<感情と行動の区別>
感情と行動を区別して、感情には賛成し行動には反対する。「死にたい気持ちも無理もないが、しかし死んではいけない」と。親への暴力にしても、「殴りたいぐらい憎らしい。そういう気持ちにはそれなりの意味や歴史があって、もっともな点もある。しかし絶対に殴ってはいけない」と制止する。
               ー中略ー
親もこの区別ががしばしばむずかしくなる。「親を殴るなんて、なんという恐ろしい気持ちなのだ」と反応してしまう。患者は恐ろしい気持をもった悪しき人間と定義づけられる。こうなると患者はますます自己を恐れざるを得なくなり、絶望的となり、一層の行動化に走る。

第五章 精神療法「覚え書き」二.行動化に対して

本当にこの部分は首がもげるほど頷く。

行動化している本人は問題行動を心底望んでやっていることは、ほとんどないと思う。それしか無いから、ということが多い。

それなのに、「こんなことをするなんて、なんて恐ろしい」と反応されてしまうと絶望する。誰もわかってくれない、自分は恐ろしい存在なのだ、と追い詰められ、さらに行動化が激しくなる。

感情と行動を区別して対応することが大切。

さらに、感情の言語化について進んでいく。

治療者は患者の観察自我の代理として、患者に内在して(したつもりで)発言する。

第五章 精神療法「覚え書き」三.感情の言語化について

この部分ちょっと難しい。
成田先生曰く、一体なぜ行動化してしまうのか、「不思議がる」ことが大切と。
患者自身が本来なら不思議に思うはず。(だって自分にとって結局は有害なことを繰り返してしまうのだから)
でもそれが出来ない本人の代わりに、まず不思議がるのだ。
なぜだろう?と。

その姿勢を繰り返すと患者自身が不思議だな、と思えるようになってくる。

そうしたら、その行動化に至る直前の感情に目を向けるよう促す。患者が感情を自覚し言語化しにくい場合も多いから、治療者が多少リードすることもある。
                ー中略ー
治療者は自分の感情、体験、歴史をいったん土の中に埋める。自己表出を断念する。そして患者に内在しようと努める。その過程で、いったん埋めておいた土のなかから、患者によって触発されて芽を出してくる感情を生かして発言するのである。

第五章 精神療法「覚え書き」三.感情の言語化について

この部分に感動して鳥肌が立った。
患者に内在しようと努める。かぁ。
それだけではなく、「患者によって触発されて芽を出してくる感情を生かして発言する」って。しびれました。

その人の内側からその人の感情をとらえる。つまりはメンタライゼーションなのだけれど、この表現が素敵すぎて、そして内側からとらえるだけでなく、そこで動いた自身の心、感情を生かすって。

うわわ、そうですよね。
このすごい作業をカウンセリングではやっていくんだよなぁ。

こんな先生に会ってみたい。受診したい。。

引用したい箇所が多すぎて引用しすぎてしまいそうなので、もうこの辺りにしないとですかね。

「青年期境界例」にはこういった超重要なポイントがぎっしり詰まっている。

間違いなく名著。

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