時間を守れない私が失ったもの
「私は時間が守れません」
もし私が最初からこのように自己紹介をしていれば、他の人に迷惑をかけることは無かったのかもしれません。
少し長くなりますが、私の話を聞いてください。
うちは父子家庭です。
物心ついたときから私は非常にずるい子供でありました。
父の財布からお金を盗み、ゲームに課金しました。
スーパーで万引きをして、警察に捕まりました。
周りの大人たちはそれはそれはこっぴどく私を叱りつけてくれました。今となってはそれは幸せなことだった、と思います。
中学校はほとんど不登校で週一で相談室登校をしていました。
特に虐めをうけたわけではありません。陰口や無視はありましたがその程度です。休み時間は教室の隅で机に絵を描いている…そんな子供でした。
たた面倒くさいことに暗く陰気な性格でしたが、プライドだけは一丁前でした。
大好きだったアーティストをクラスメイトにバカにされたとき、鉛筆で彼の手を刺しました。
夢見がちな子供でもありましたので、
学校に不審者がきたらみんなを守ろうだとか、妄想ばかりして中学〜高校は過ごしました。(不登校なのに)
高校生活は正直思い出したくありません。
入学して最初の頃は同級生にも恵まれ、毎日が本当に楽しかったです。
初めて友達に「可愛いね」と褒められ、正直浮かれまくっておりました。
ただ高校2年生の所に事件は起こります。
当時好きだったアニメキャラがフードを深めに被って、ヘッドフォンをして、猫背で歩いてる姿に酷く心を打たれてしまったのです。
それからの私は目も当てられませんでした。
まずg○でデカめのフード付きパーカーを買いました。
iPodにお気に入りの曲をバカスカ入れて、常にヘッドフォンをしました。
前髪を伸ばしました。フードを被りました。
友達全員に「私は1人で過ごしたいのでこれからは関わらないでください」とメールを送りました。めちゃくちゃ最低ですね。
皆様お気づきかと思いますが、
「中二病」です。
今思い出しても、内臓がひっくり返るような気持ち悪さに襲われます。きつい。
正直どうやって中二病から卒業したのかはいまいちよく覚えていないのですが、友達が泣いたことがきっかけだったと思います。
それからの私は徐々に人並みの優しさを覚えていったと思います。
そんな頃です。初めて、アルバイトを始めました。学校の近くの牛丼屋さんでした。
まだ若く、可愛げのない高校生を先輩や店長は優しく指導して下さいました。
ここから徐々に私の悪癖が出始めました。
「ごめんなさい。寝坊しました。」
寝坊。初めてバイトのシフトが入っている日に寝坊し、1時間ほど遅れてバイト先につきました。
その時は謝罪をし、「次からは気をつけてね」と優しく言われました。
正直私はこの時、「謝れば許してもらえる」と考えてしまったのだと思います。
それから数ヶ月後。
高校の友達とトラブルがあり、学校へ行かなくなりました。
バイトには行かなければ……と思っているのに身体は重く、鉛のようです。
その日初めて、バイトをすっぽかしました。
店からはずっと電話がかかっていました。
出れませんでした。ただ一通、メールを送りました。「ごめんなさい。しばらく無理です。」
長くなってしまうので簡単に言うと
この後同じ牛丼屋で働いている恋人が私を説得して3ヶ月後くらいにお店に復帰します。
そして大学生の先輩兄さんにゲンコツを喰らいます。
それからは真面目に、真面目に、店が潰れるまで働きました。
その後店長の紹介で入ったカツ丼屋も真面目に働いていましたが、潰れました。
その頃、初めて漫画で有名な某クリニックにて「うつ病」と診断され、投薬を始めました。
働き口に困っていたところ、最初の牛丼屋で潰れる前に一緒に働いていた仲良しの主婦の方が一緒にカフェのバイトをしないか、と誘ってくれました。
この方は一回り以上歳は離れていましたが、同じく精神系の病を患っており、何かと相談にのってくれました。ちなみに今でもとても仲良しです。
そして紹介もあって、すんなりカフェでの仕事が始まりました。
よく見かけるチェーン店のカフェです。
最初はメニューやレシピ、レジの操作、覚えることが多すぎて大変でしたが徐々に店長や先輩に頼られるくらいには成長しました。
多分まだそんなに生きてはないけれど、一番輝いていた時期だと思います。
見た目もそこそこ気を使っていたので、可愛い時期でした。
そしてまた事件が起こります。
その日は17時頃にバイトを終えてサッサと帰る予定でした。だけどスマホを見るとLINEの通知がえらいことに。
開いてみると、高校時代の男友達からでした。連絡取り合うほどの仲ではありません。
LINEを送ったところすぐに折り返し電話が来ました。
「今、Aちゃん(高校時代の友達)と飲んでるんだけどえらく酔っ払ってしまって、みー子(私)を呼べ!!って騒いでてさ。今から来てくれない?」とのこと。
えーーーー疲れてるのにーーーーと思いつつ、友人のピンチとあらば……と思い急いで向かいました。
友人のAちゃんは見たことないくらいベロンベロンに酔っていました。
なんだかんだ3人で飲み、男がAちゃんを送っていくことになりました。
「本当に私が送っていかなくて大丈夫?」と私が聞くとAちゃんは「みー子うるさい!!!来なくてよかったのに!!ジャマ!!!」という感じのことを言われました(正直よく覚えてはいない)
ショックでした。
高校時代に私もこういう感じで友達を傷付けていたんだな、と思いました。
その日は終電を逃し、カプセルホテルに泊まりました。次の日もバイトです。
そこでやらかしました。
昨日のショックか、慣れない環境で眠れなかったからか、私はバイトでミスを連発し、優しい先輩や店長からも呆れられてしまいました。
休憩中に汗と動悸が止まらなくなりました。
なんとか、なんとか今日を乗り切らねば………。トイレで吐きながら泣きました。
それからです。
私はバイトに行くのが怖くなってしまいました。
父との喧嘩、友人関係、あまり覚えていませんがゴタゴタが重なっていました。
死のう、と思いました。
私は生きていても迷惑だ、と。
思えば昔から変に希死念慮がある子供でした。
私は心療内科で貰った薬をたくさん飲み、ODをし、意識を失いました。
それからはほとんど記憶にありません。
意識を取り戻し、私はしばらく入院することとなりました。
開放的な綺麗な病院で、丸一日ネットでアニメを観ていた気がします。
それからも何度かOD、入退院を繰り返し、
カフェでのアルバイトに復帰しました。
もう私を見る目は変わっていました。
なんだかみんな変に優しいのです。
腫れ物に触れるかのように扱われました。
ああ、私が死のうとしたことバレているんだな……と思いました。
そこで、新たな出会いがありました。
カフェに新しく入ってきた後輩ちゃんは私よりもひとつ年下でした。
少し毒を吐くけど可愛くて、嫌なことは正直に言う性格でした。
そして何より趣味が同じで、ゲームの話をたくさんしました。
ゲームに関連する展覧会には一緒に行き、ライブにもミュージカルにも行きました。
そういったやり取りも何回目かのこと。
後輩ちゃんは私の行きたがっていたミュージカルのチケットを取ってくれました。
正直めちゃくちゃ楽しみにしていました。
ですが、「実はチケットを取ってくれた友達も一緒に行くことになっている」と言われました。他の人がいるのかーとは思いましたがみんな同じコンテンツが好きなんだし仲良くなれるだろうと思って承諾しました。
前日の夜、初対面の人と仲良くなるには、そつ無くこなすにはどうしたらいいんだろうと悶々と考えながら眠りにつきました。
結果、私は当日その約束をすっぽかしました。
直前まで私を心配してくれているLINEがきていました。
私はベッドから立ち上がれず、返信もできずにいました。(しようと思えばできました。)
ただ、漠然と、またやってしまったなあ…と考えていました。
数日置いて、後輩ちゃんに謝罪のLINEを打ちました。
「あなたがしたことは最低なことです。
みんな心配しました。もう二度とあなたとは関わりたくありません。」
ざっくり言うとこんなLINEが帰ってきました。
私はいつも人を待たせ、謝れば済むだろうと軽く考えていました。
連絡もせず、心配だけかけて、最後には怒らせて、縁もなくなってしまいました。
私は今まで人生を舐め腐って生きてきたと思います。謝ればすむ、なんて。
それに初めて気づいたのがこの時の後輩ちゃんのLINEでした。
彼女は怒っていたし、悲しんでいたし、その苦しみは私が生み出してしまったものです。
後輩ちゃんとはもう一切の連絡もとらなくなり、後輩ちゃんと共通の友人で同じカフェでバイトしていた友人ともそこから疎遠になってしまいました。
私はここで2人、友達を失いました。
それから、私はカフェを辞めて地元で働き始めました。
1年も経たずして、またバイトをすっぽかし、信用を失くし、実質クビになりました。
私のことをよく思ってくれていた人達のことを盛大に裏切り、私は働けなくなりました。
その後通っている心療内科でADHDの検査を受けました。結果ADHDでした。
障害者手帳を取得し、障害年金を貰えるようになったので生活できています。
父は働かない私を、怒ることもなく悲しむわけでもなく、「しばらく休みなよ」と言ってくれました。
ここまで親不孝しかしてなかったのに。
朝起きられない。
準備ができない。
外出できない。
電車に乗れない。
時間を守ることが出来ない。
私が思ったよりも失ったものはまだまだたくさんあるんだろうな、と思います。
私は今もまだ働けず、過去に縋っています。
時間を守れず、約束を守れず、惨めに楽な方へ逃げ続けた私はこんな大人になってしまいました。
取り返しがつきません。
私はもう動けません。
人の信用は一瞬で崩れ去ります。
私が言えたことではありませんが、
どうか人との約束は大事にしてください。
私のようにならないでください。
拙い文書を長々とここまで読んでくださってありがとうございました。
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