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[LUKU/講読6] JÄNIS TA PAKKAISUKKO - Ukrainalaini starina(うさぎとサンタクロース-ウクライナのお話)

カレリア語で書かれたウクライナのお話を見つけたので、訳してみます。サンタクロースが出てくる季節外れのお話ですが、ご容赦を。


カレリア語のうち、本カレリア方言-ヴィエナ方言を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。


JÄNIS TA PAKKAISUKKO - Ukrainalaini starina

 Kerran lumi šano jäniksellä:
-Miula on ikävä.
-Višših šentäh, kun šie šuluat, vaštasi jänis, istuutu kannon piällä ta itkeyty:
-Suali on lunta... Mie vet' lumeh peittäyvyin revošta, hukašta ta mečäštäjistä. Mitein nyt rupien elämäh? Miut nähäh ta šiepatah pevot. Lähen Pakkaisukon luokši ta pyritän, jotta šäilyttäis lumen!

 Päiväni nousi jo ylähäkši ta paisto lämpimäšti. Lumi šuli ta šuli, purosilla valu. Hermoštu jänis, vielä lujempah itkeyty. Pakkaisukko kuuli jäniksen itun. Kuunteli pyritykšen ta šano.

 -Mie en rupie kiistämäh kevyän kera. En voi lunta šäilyttyä. Ka šiula, jänöni, luajin viimesen uuvvenvuuvven lahja, potarin toisen harmuan turkin. Rupiet kevyällä, kešällä ta šykyšyllä heinäššä ta penšahissa peittäytymäh. Kenkänä šilma ei huomua.

 Ihaštu jänis. Nyt joka vuosi, konša lumi šuluau, še muuttuau valkien turkin harmuakši.

単語

suali [副] 気の毒だ, 悲しい, 惜しい, 残念だ
vet' [接] …ので, …だから, だって…, なにしろ…, だって…じゃないか
mečäštäjä [名] 猟師
šiepata [動] ひっつかむ, (ぱくっと)くわえる
peto [名] 獣
šäilyttyä [動] 保存する, とどめる
puroni [名] 小川, 流れ
valuo [動] 流れる
hermostuo [動] 神経質になる, いらいらする
lujempah [副] ますます, いっそう強く
itku [名] 泣くこと, 泣き声
pyrityš [名] 頼み, 願い事
kiistyä [動] 論争する, 争う, 闘う, 抵抗する
viimeni [形] 最後の, 最終の, 最近の, この前の
potarie [動] プレゼントする, 贈る
turkki [名] 毛皮
penšaš [名] 低木, 茂み

[日本語訳]

うさぎとサンタクロース - ウクライナのお話

 ある時、雪がうさぎに言いました。
-寂しいな。
-君は溶けてしまうものね。
うさぎは答えると、切り株の上に座って泣きはじめました。
-残念だよ、雪さん…。だって僕は、キツネやオオカミや猟師から雪に隠れてきたんだもの。今やどうやって生きていけばいいんだろう?僕は丸見えになって、獣たちは僕をぱくっと捕まえちゃうよ。サンタさんのところへ行って、雪をとどめておくように頼もう!

 太陽はすでに高く上がり、暖かく照らしています。雪はとけて、とけてしまい、川のように流れています。うさぎはいきり立って、ますます激しく泣き始めました。サンタクロースはうさぎの泣き声を耳にしました。頼みごとを聞くと、言いました。

 -私は春と争おうとは思わない。私は雪をとどめておくことはできないよ。けれど、うさぎくん、お前に最後の新年のプレゼントをこしらえよう、もう一つの灰色の毛皮を贈ろう。お前は春や夏や秋には、干し草や茂みに隠れるようにするんだ。誰もお前に気づかないだろうさ。

 うさぎは嬉しくなりました。今でも毎年雪がとけると、うさぎは白い毛皮を灰色の毛皮に変えるのです。

学習後のつぶやき

自然に生きる動物たちの世界は、ときに人間よりも過酷な環境下で、自らをまもるために適した形態へと進化してきました。

冬の間、身をまもってくれてきた雪がなくなってしまうことを惜しんで、サンタさんにお願いするうさぎ。自然には逆らえないことをよく知っているサンタさんは、雪の代わりに身をまもる新しい毛皮を贈ります。

身をまもる手段は、それぞれ。
本来であれば必要のない武器を手に取り、自国や家族をまもるウクライナの人々に心からの敬意と、安寧の願いを。

>> カレリア語【ヴィエナ方言】独学記録 - もくじ

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