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だ。です。を考え直した話。

第57回宣伝会議賞、先日、協賛企業賞およびファイナリストの発表がありましたね!
受賞・ノミネートされた方、おめでとうございます!
(この記事がそんなすごい方々の目に触れているとは思いませんが、笑)

僕は今回から初参加したのですが、1次通過2本、2次通過1本と、なんとも情けない(初参加らしい?)結果となりました、、笑

湧き上がる「だ。です。」のギモン

悔しさ半分、勉強半分で、受賞・ファイナリストとして掲載されている作品群を何度も何度も見返していると、気づいたことがありました。

『語尾が「です。ます。」のコピーが、かなり少ない。』

ファイナリストのキャッチコピー29個のうち、「です。」スタイルのものはわずか5個。
協賛企業賞に至っては、35個中3個です。

なんでだろう?と、素朴なギモンを解決するため、勝手に考えてみました。

です。は独り言でいられない。

いろんなコピーを拝見しながら感じたのは、『「だ。です。」が、コピーのスタンスを定義する。』ということです。

ここで僕が考えたスタンスは3つあって、「独り言」「自然な会話」「強いメッセージ」と呼ぶことにしました。

このうち、「だ。」が作るのが「独り言」と「強いメッセージ」、「です。」が作るのが「自然な会話」です。

「自己完結か?誰かに向けているか?」×「だ?です?」の組み合わせによって、スタンスが決まります。

だです

駅のホームで酔っ払ったオッチャンのセリフから、考えてみます。

■「独り言」

オッチャン「あ”〜、めっちゃ飲んだ〜!」

これ、オッチャンは誰かに向けて話しかけているわけではなさそうなので、特に誰も見向きもしません。(オッチャンが大暴れしていない限りは。)
でも、同じく「めっちゃ飲んだ、、」と思っている人達の共感をひっそりと得て、不思議な連帯感を芽生えさせることはできるかもしれません。

→「独り言」は、似た境遇の誰かの共感を誘う。

■「自然な会話」

オッチャン「あ"〜、めっちゃ飲んだんですぅ〜!」

いかがでしょうか。先ほどの独り言より、ちょっとだけ気になりませんか?
「あれ、僕、話しかけられてる?」なんて思って振り返る。まではいかなくとも、「え、あのオッチャン、誰かと話してる?」って、耳をそばだてたりはするかもしれません。
これは、「です」という丁寧語が、誰かに向けて話しかけることを前提として存在しているからなのだと思います。好きに独りごちる分には、わざわざ丁寧な言葉を使う必要はありませんからね。
"丁寧語が使われている時点で、それはきっと独り言ではない。"
そんなセンサーが働いて、読み手、聞き手の存在が意識された結果、「僕に言ってる?」なんて風に感じるのかもしれません。

→「です。」は、「自然な会話」を作る。(独り言ではいられない。)

■「強いメッセージ」

オッチャン「あ"〜、俺はめっちゃ飲んだんやぞ!」

言い様から察するに、これはきっと、誰かに向けて発された言葉です。
が、駅のホームにいる他人や、顔も知らないコピーの読み手に向けた言葉としては、一見不自然でもあります。
特に親しくない関係性の中での会話は、「です。ます。」の形で行われることが普通だからです。

ごく自然な「です。ます。」の様式を放棄してまで言葉を研ぎ澄ますからには、この言葉の裏にはきっと、オッチャンの強い感情があるのだろうし、何かしらの主張やメッセージが含まれているように思えてしまいます。

→誰かに向けた「だ。」は、強いメッセージになる。

だから「だ。」

キャッチコピーの狙いって様々あるとは思うのですが、ざっくり言うなら、誰かに共感してもらって好感度を高めたり、インパクトによって行動を促したりということだと思います。

だから、コピーのスタンスとして目指されるのは「共感を呼ぶ独り言」か「強く刺さるメッセージ」であることが多いのではないのでしょうか。

そういう意味で、丁寧語の性質故に独り言にはなりきれず、物腰柔らかく刺さりづらい、「です。」のスタンスでキャッチコピーを作るのって、意外と難しいのかもしれません。

もちろん、世の中には「です。」スタイルの素敵なコピーがたくさんありますし、今回受賞・ノミネートされた「です。」スタイルの8作品も、『これは「です。」だからこそだろうなぁ。』と思うものばかりです。
今度はそんなコピーたちを紐解いて、「です。」スタイルの攻略法を考えてみようと思います。

勉強を少しずつ積み上げて、今年こそは受賞できるように頑張るぞー!

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