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1日目 古町どんどん(前日)2023年春


例によって、古町どんどん自体の事はあまり書いておらず、旅で行った場所や出会った方とのお話です。あしからずご了承ください


伊丹空港で

明日は新潟の古町で開催される地域活性イベント「古町どんどん」でRYUTistの無料ライブがある。今から新潟へ向けてのフライトだ。

カードラウンジ

少し時間に余裕がある。起きてから何も口にしていなかったので、ラウンジでコーヒーだけでも飲みたかったのだが「手荷物検査で大混雑」と言う予感がしたので急いで向かった。が、その予感は外れた。十分コーヒーを飲めたじゃないか。
「いや、搭乗ゲートまでが遠かったので、時間が無ければ焦っただろう。ラウンジ行かなくて正解だ」と自分を慰めながら歩いていた。しかし本当に正解になろうとは。

9番ゲート

9番搭乗口に着いたが様子がおかしい。近くで待っている人は殆どおらず、ディスプレイに表示されている行き先も新潟とは異なっていた。(たしか仙台だった)
確かめたいが周りにスタッフの方はいない。失礼ながら近くのゲートで待っていた無関係な旅行会社の方にお聞きすると、よく分からないがここで合っているのではないか?という答えだった。

9C

15分前になった、もう優先入場のアナウンスが始まっていなければおかしい。冷や汗が出てきた。スタッフを探すがどこにもいない。
このまま入口(手荷物検査)まで戻らないといけないのか?時間が無い!と走っていると、運よく移動中のアテンダントの方が見つかった。聞くとゲート9と9Cは別物で、階段を降りた先だと教えてくれた。

大急ぎでゲート9に駆け戻り、階段をかけ降りるとそこはバスの乗車口だった。もうバスへの搭乗が始まっており、ギリギリで飛び乗った。後から調べると「9A、9B、9Cは1Fのバスゲートへ」と書いてあった。完全に自分の不注意だ。幸先の悪いスタートになった。

バスと飛行機

大雨の新潟空港

新潟空港に到着した。大阪はギラギラと眩しいくらいの晴天だったが新潟は大雨だ。外からは太鼓を叩くようなドドドドという凄い音がしていて、屋根のあるところにまで雨のしぶきが飛んできた。
なんてこった、今日は自転車で色々周るつもりだったのに。何のために前日入りしたのか。全然いいことが無い、僕はバスの中で大きな溜息をついた。

新潟空港

雨だからか停留所の度に多くの人が乗り込んでくる。新潟の交通は自動車がメインなのかバスはご老人が多い。混んできたので席を立った。

雲ったガラス窓から外を見ていると、友恵さんのインスタグラムに載っていたハンバーグのお店「ちびたんく」が目に入った。
インパクトのある写真だったので覚えていたが、デミグラスたっぷりで湯気の立つハンバーグを思い出してお腹が鳴る。ここで途中下車もありかな?と浮気心が芽生えたが、ボタンは押さなかった。バスは新潟駅へ向かって進んでいく。

今回の旅行の目的は明日の「古町どんどん」だが、乃々子さんの足跡を辿るために前乗りしていた。WEBサイトのSCRAMBLE WEB(CHEERZ)で連載されていたお食事処を巡るつもりだ。
同じ場所に行って同じものを食べたい。ネットの海から乃々子さんのかけらが消えてしまう前に。それに何の意味があるかは分からないけど。

Cセット

前回の新潟遠征と同じ朱鷺メッセ近くの停留所で降りる。傘を取り出したが小降りになっていた。ついさっきまであんなに大雨だったのに?
また乃々子さんのおかげかもしれない。僕の事なんていいのに。でもありがとうね。助けてもらってばっかりだ。

まずはピア万代にあるお寿司屋さん"弁慶"へ向かった。ここが今回1つ目の乃々子さんのかけらだ。
今日は平日で開店してそれほど時間が経っていないのに満席で10組もの待ちが出ていた。いつものハイテンションで近くの人に話しかけると、いつも大人気の店でこんな感じとの事だった。

一人だった為か思っていたよりも早く呼ばれた。残念ながら「もずく」 や「しらす」 は売り切れだったが、同じCセットを注文した。
普段は回転寿司やスーパーの特売しか食べていない自分にとって、とてつもなく美味しいお寿司だった。もちろん味だけではなく、それ以外の意味も含めてじっくり味わった。

弁慶 Cセット

食後はレンタサイクルを借りた。まず向かったのは朱鷺メッセ、前回撮り忘れていた佐渡島の応援パネルのためだ。真横を歩いていたのに気づかなかったとは我ながら愚かすぎる。
引き続いて4人を使ってくれてありがたい。こちらは結果的に滞在中に見る唯一の乃々子さんになった。

朱鷺メッセ

小雨の沼垂テラス商店街

予定より時間が掛かってしまった。急いで沼垂テラス商店街へ向かう。
こちらはシャッター通りになっていた古い商店街を、近くの料理店の店主が買い取って再生させたものだ。
まだ僕がRYUTistを知るよりもずっと前に、テレビのドキュメンタリー番組で見たのだが、まさか自分が行く事になるとは夢にも思わなかった。
雨という事もありそれ程の活気は無かったが、ちらほらお客さんも入っていて、のどかな平日という感じだった。

Ruruck Kitchen

ずらっと店が並んでいる中で目的はRuruck Kitchenさんだ。米粉の生地にいろいろな具材が入った「沼ネコ焼き」が名物で、乃々子さんが食べていたカマンベールミックス味を注文した。福を持った猫が描かれていて、とてもかわいい。猫好きの乃々子さんにぴったりだ。
冷凍で保存されているが、お店で解凍してくれて程なくアツアツを持ってきてくれた。もちもちした生地にチーズが相まってとても美味しい!

椅子に座って同じものを食べながら思った。乃々子さんも何年か前にここに座って同じ景色を眺めていたんだ。

沼ネコ焼

ALIVE

雨粒が大きくなってきた。合羽を出す程でもないので濡れながら次へ向かう。
しばらくのどかな住宅地を走り、着いたのは「新栗の木(しんくりのき)緑地」。こちらはRYUTistの「ALIVE」というミュージックビデオの撮影地だ。ネットに情報は無かったが、映像を見て「川沿いの緑地」「2つの線路(路線)が重なっている」という2つをヒントに見つけた。

新栗の木緑地

映像では桜が舞う公園で楽しそうな雰囲気だったが、今は似ても似つかず薄暗くて足元はぬかるんでいた。それでもこのあたりから撮影したのかな?とあちこち眺めながら思いに耽った。歌詞どおり「今ここにある景色を、スワイプして重ねる」ように。

この頃には雨が止んでいた。

予定を1時間ほどオーバーしている。このまま「ALIVE」2つ目の聖地に向かうか?次に向かうか?
しばし悩んだが予定どおり聖地に向かう事にした。「カナール」近くの新潟県スポーツ公園だ。

ケイバッカからスポーツ公園へ

行く途中にメンバーの横山実郁さんがTVでCMしている「ケイバッカ」の目の前を通った。実郁さん・・・いやケイバッカ星人の旗がたなびいている。こんなに近くで見れるとは思わなかった。こちらを選んでよかった。

ケイバッカ

裏道に入りしばらく走っていると、道の真ん中に大きな石のようなものを見つけて急ブレーキをかけた。亀だ!
顔が出たり入ったりしているので元気なようだ。通り過ぎようと思ったが、このままだと車に轢かれると思い、草むらに移動させておいた。

信号が少なかったからか、想定より早く着いた。
芝生は湿地のようにぬかるんでおり、靴が半分くらい埋まった。
濡れないように滑らないようにそろそろと歩いて写真を撮った。聞くところによるとミュージックビデオの撮影時には臨場感を出すために、撮影状態にしたスマホを天高く放り投げたりもしたらしい。この状況ではそんな気になれない。

新潟県スポーツ公園

白山公園

この後、乃々子さんが食されていたラーメンを食べる予定だったが、あまりお腹が空いていないため飛ばす事にした。
次はりゅうとぴあ(白山公園)を経由しての関分記念公園だ。信号の多い街中を四苦八苦しながら走り、りゅうとぴあにたどり着いた。

りゅうとぴあ

川辺からの広い階段に興味があったので、今回はそちらから行ってみた。こちら側から自転車で来る事は考慮されておらず、エレベータにも乗せれなかったので階段を担いで登った。
周りの回廊も手で押せばOKと書かれていたので押して回った。

やっぱりここに来てしまうんだ。
僕にとって一番の「乃々子さんのかけら」だから。

白山公園

僕は丁度その時に流行っていた、米津玄師さんのLADYという歌を口ずさみながら走っていた。
「LADY笑わないで聞いて、HONEY見つめ合っていたくて、君と二人行ったり来たりしたいだけ」サビで韻を踏む軽快なラブソングだ。
その時は何も思わなかったが、帰ってきて歌詞をじっくり読むとなんとなく今の状況を感じさせる歌詞があった。

「例えばどっちか一人ひどい不幸が襲い、二度と会えなくなったら
考えた矢先に泣けてしまうくらい、日々は続く一層確かに・・・」

乃々子さんは体調不良で惜しまれつつRYUTistを卒業された。
ステージの終わりにふらついて倒れそうになっていたのを見たことがある。そんな中でも、集まったみんなの為に無理して特典会に出てきてくれた。
それが乃々子さんとの最初で最後の会話になった。もう二度と会うことはない。あの時の笑顔は一生忘れない。

次は関分記念公園へ向かう。僕はここで失敗をした、自転車だ。
新潟市のレンタサイクルは2種類あり、今借りている「にいがたレンタサイクル」と、RYUTistメンバー横山実郁さんが広告の「にいがた2kmシェアサイクル」がある。
前者は普通のママチャリだが、後者は電動自転車だ。ここから先は上り坂が続く。両方が置いてあるサイクルステーションの確認に寄ったので、このタイミングで電動に乗り換えておけばよかった。

時刻は15時半。太い国道116号をひたすら西に走り、途中から北への坂を上る。ギア無しのママチャリはきつい。
ふうふう言いながら海岸線を登り切った。着いたのはRYUTistの「青空シグナル」ミュージックビデオ撮影地の1つ、関分記念公園だ

関分記念公園

展望台に登りぐるっと周りを一望する。あまりの絶景に思わずうわぁと声が出てしまう。
北を向けば綺麗な砂浜と果てしなく広がる水平線が、中心部にはビル街が、西には古き良き古町が、そして中心には遥か広大で美しい信濃川があり、それらがコンパクトにまとまっている。
景色を眺めながら新潟市は本当にいいところだと思った。RYUTistに出会わなければ、この事を知らずに人生を終えていただろう。

展望台から

旅程で絶対に行きたかったのはここまでだ。もし時間があれば、と思っていた"最終目的地"は、この先の小針浜海水浴場だ。
「センシティブサイン」の最後で、全員が旗を持ってはしゃいでいるのがそこになる。ミュージックビデオの動画だけでは場所が分からなかったが、取材のサイト画像の石畳からたどり着いた。

ただ、どうして撮影に小針浜を選んだのかが分からない。記事からすると、時系列的に次の撮影場所はさっき寄った白山公園(上に書いている りゅうとぴあ)との事だが、それならそのすぐ近く「黄昏のダイアリー」で使った日和山浜海水浴場でも同じものが撮れたと思うのだが、撮影許可とかいろいろあったのだろうか。

少し話がそれたが、展望台から見ると小針浜はすぐ近くに見える。Yahoo!カーナビで見てもそれほど距離は無いようだ。
おかしいな?以前調べた時はもっと遠くだったみたいなんだが、これなら行けそうだ。あまり深く考えずに走り出してしまった。

小針浜?

ここまでの上り坂で太ももが限界に近い。途中に山越えがあったが最後の力を振り絞って上った。海側は防風林が続き海岸が見えない。あと少し、あと少しだ、、、

ナビが示すポイントに到着した。やっと着いた!

が何もない。海岸側は木が生い茂っていて何も見えない。海へ出る道があるのかと探したがそれっぽいものはない。スマホを取り出して僕は肩を落とした。2つ大きなミスをしていた。

  1. さっき展望台から見えた海岸は、小針浜ではなかった。
    この近辺はずっと砂浜が続いていて、展望台から見えていたのは手前の砂浜だった(青山海岸か、新潟砂丘)

  2. 今いる位置は確かに小針浜だ。しかし僕の目指しているのは「小針浜海水浴場」である。さらに先だった。

思わず「マジかー」と声が出る。もうへとへとだ。落ち込んでいても始まらない。今度はGoogleナビで小針浜「海水浴場」をセットして走り出した。

小針浜海水浴場

やっと着いた。
さっきのところからそれ程の距離では無かったが、一度到着したと思った後だったので精神的にきつかった。転げるように座りペットボトルの水を一気に飲んだ。
落ち着いて周りを見渡すが、古町近くの日和山浜海水浴場とそれほど変わり映えしない。達成感はあるが景色にあまり感動はない。

奥では結婚式の前撮りをしていたようだ。朝は大雨だったのに晴れてよかったね、と少しだけほほえましい気持ちになる。下の写真を拡大してもらいたい。
少し休憩して時刻は16時40分。早く帰らないと夕食の時間だ。またあの山を越えて帰らないといけないのか、ああ

小針浜海水浴場

大人気の焼肉屋さん

帰りは海岸通りではなく内陸を通ったが相当楽だった。行きも海岸には出ずに、ぎりぎりまで内陸を走ればよかったのかもしれない。もう済んだ話だが。

古町に着き、自転車を返却して夕食に向かう。
店は既に決めていた。焼肉屋「マルモ」さんだ。こちらは乃々子さん、かつ友恵さんご紹介のお店だ。頼むメニューも決めてある。もちろん乃々子さんと同じもの。値段も計算済だ。

口コミを見ると、焼肉屋さんなのでガッツリと肉の匂いが服についてしまうそうだが、明日のどんどんは屋外なのでちょうどいい。開店時刻ぴったりの17時半にお店についた。我ながら素晴らしいタイミングだと思いつつお店に入ろうとすると扉に張り紙があった。

「本日は予約で満席です」

思わず「マジかー」と声が出る。お店の方が出てこられたので一人席でも空いてないか聞いたが、完全に満席との事だった。

ラーメン 古町 浦咲さん

気を取り直して乃々子さんの記事が載っているSCRAMBLE WEBで近場のお店をいくつか選んで前を回ってみた。
そのうちの一つ、ラーメン古町浦咲 の前を通った時、開店前にお店の方が周りの掃除をされていた。休憩しながらしばらく見ていると、自分の店の前だけでなく離れた道のところまで綺麗にされていた。”開店前に周りの掃除をしっかりする店に外れがない”と僕は思っている。ここに決めた。

「もう開いていますか?」18時の開店と同時にお店に入った。深夜から早朝がメインのお店だからか、少し驚かれたような気がする。
客はもちろん僕だけだ。カウンター上を見ると友恵さんのサインがあった!お店の方に許可を頂き撮影した。しかし、どこを見ても乃々子さんのサインが無い。

我慢できずお店の方にお聞きしたが意外なことが分かった。
そもそも僕が巡っているのは、乃々子さんが連載されていたSCRAMBLE WEB(CHEERZ)というサイトで紹介されているお店なのだが、このお店は案件では無かったそうなのだ。(載っている店すべてがそうなのかは不明)

女性二人でふらっと来て「ラーメンの写真を撮ってもいいですか?」と聞かれ、その数日後にあの人がアイドルだったと分かったそうだ。サインをもらっておけばよかったと悔やまれていた。(ちなみに友恵さんもプライベートとの事。)

「乃々子さんはこちらの席に座られてましたよ。」
親切な定員さんのご提案で席を移動させてもらった。頼んだのは焼きあご潮ラーメン。さっぱりした中に旨味のある "あご出汁" とつるつるした細麺だ。旨い!
2玉分の「特盛」だったが、するっとお腹に吸い込まれた。なるほど飲み後の締めにいいと言われるだけの事はある。出汁もあまりに美味しくて飲み干してしまった。
まだお腹に空きがあったので、チャむすび(チャーシューおむすび)を追加した。香ばしい海苔とチャーシュー+マヨネーズの甘味で食が進む。最後に一口海老餃子。プリプリのエビがゴロッと中に入っておおり、食べ応えがありながらもさっぱり頂け、満腹で大満足の夕食となった。

一口海老餃子

「乃々子さんは今どうされているんですか?」お店の方に聞かれた。
「芸能活動を引退されたので、どうしているか僕たちにもわからないんです」そう答えることしかできなかった。
本当にどうされているのか分からない。時々更新される猫スタグラムが唯一の繋がりだ。こちらが更新されるたびに、よかったと胸をなでおろす。

ホテルに戻って、乃々子さんのお話ができたことに喜びを感じつつ、もしかすると明日、古町どんどんに来てくれるかもしれない、と淡い期待を持ちつつ就寝した。


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