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人類が劇的な終焉を迎えるなら、この眼でそれを見てみたい 【ブックレビュー】伊坂幸太郎『終末のフール』(集英社、2006年)

著者:伊坂幸太郎 書名:終末のフール 出版:集英社  本書と出会ったのは、私が高校生のときである。当時の恋人は読書が趣味で、高校入学以来、ずっと図書委員を務めていた。彼女とは別のクラスで、特に希望があった訳でもない私は、同じく図書委員を務めるようになった。  高校2年生のときであっただろうか。同じ地区の高校の図書委員を集めて、読書会をするという話があり、それに誘われた。各学校の図書委員を数名派遣して、いくつかのグループを作り、課題図書について話し合うというものだった。そのと

    • 簡単ではない人生に 【ブックレビュー】又吉直樹『火花』(文藝春秋、2015年)

      著者:又吉直樹 書名:火花 出版:文藝春秋  今更、書評をするまでもない。「文學界」に掲載された当初は、史上初の増刷がなされ、即単行本化。2015年、第153回芥川賞を受賞したときには、テレビなどでやたらもてはやされていたなと思う。お笑い芸人として新人文学賞を受賞したという衝撃は、驚きをもって受け止められていた記憶がある。   「読書が趣味です」といえるようになった私は、無難におもしろい作品に出会うには?と考えていた時期があった。本屋大賞の受賞作を読んでみるのも一つの選

      • 多様な「幸せのかたち」 【ブックレビュー】三浦しをん『愛なき世界』(中央公論新社、2018年)

        著者:三浦しをん 書名:愛なき世界 出版:中央公論新社  小説を2冊くらい買って帰ろうと思いながら、書店をウロウロしていたときに見つけて手に取った一冊。三浦しをん先生のことは、『舟を編む』で知っていた。当時の恋人の影響で読書がマイブームだった高校生時代、『舟を編む』が本屋大賞を受賞した。その後今に至るまで、小説『舟を編む』は読めていないのだが、映画化された作品が素晴らしかったことが思い出される。本書の帯に記載された「草食系恋愛小説の名手」という謳い文句から、『舟を編む』の主

        • 想像の上をゆく伏線回収 【ブックレビュー】辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社、2017年)

          著者:辻村深月 書名:かがみの孤城 出版:ポプラ社  本屋大賞の受賞作は、おもしろいだけではなく、読みやすい作品という印象がある。「趣味は読書です」と言えるようになった頃、無難におもしろい本に出会うには?と考えた私は、とりあえず直近の数年分だけでもいいので、本屋大賞の受賞作・ノミネート作品からいろいろ読んでみようと考えた。本書は、2018年の本屋大賞を受賞した作品である。しかも、過去最高得点で受賞した作品らしく、ブックレビューは軒並み高評価である。そんな口コミを受けて、この

        人類が劇的な終焉を迎えるなら、この眼でそれを見てみたい 【ブックレビュー】伊坂幸太郎『終末のフール』(集英社、2006年)

        • 簡単ではない人生に 【ブックレビュー】又吉直樹『火花』(文藝春秋、2015年)

        • 多様な「幸せのかたち」 【ブックレビュー】三浦しをん『愛なき世界』(中央公論新社、2018年)

        • 想像の上をゆく伏線回収 【ブックレビュー】辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社、2017年)

          真夜中の恐怖体験 【ブックレビュー】道尾秀介『いけない』(文藝春秋、2019年)

          著者:道尾秀介 書名:いけない 出版:文藝春秋  本書は、道尾秀介先生によるミステリー小説である。帯には、「体験型ミステリー」などといった宣伝文句が記載され、いかにも「どんでん返し」系の小説であることがうかがえる。この種の、物語に張られた数々の伏線が、物語の終盤で見事に回収され、読者の思い込みを一気にひっくり返す作品は、個人的な好みである。書店で見かけ、帯に記された謳い文句に惹かれ、ネット上のレビューも悪くなさそうであったため、購入することとした。  物語は、以下の4章か

          真夜中の恐怖体験 【ブックレビュー】道尾秀介『いけない』(文藝春秋、2019年)