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雷草太の抗弁



宣言します。



CO :雷草太は、悪魔憑きである。



これは、システムメッセージです。










雷 草太「ある時から、自分の嗜好する娯楽作品に、必ず鬼や悪魔が登場することに気がついた。鬼は英語でデーモン。因みに、堕天した天使をサタンと呼ぶこともある」

彼はそう切り出すと、キリスト教の関連する新約聖書の内容について語りだした。

雷 草太「一見理由の無い選択こそ、その人の本質が色濃く出る。私の師の言葉だ。今でもこの言葉の正否を私は疑っていないよ。君は自分の人生を振り返ったことは?」


雷 草太「無いだろうな。クックッ…反省など、間違ったことのある者がする行為だ。君はそれに能わず、私は当てはまる。同様に、迷い、惑い、それでも駆けることでしか辿り着けない領域がある。猟奇的な事実だ。残酷であり、慈愛に満ちて、諧謔的な茶番劇」

雷 草太「悪魔は家族愛の深い存在だ。連中は、遊びの中に仲間内にのみ伝わる暗号のようなものを紛れ込ませる。それは様々な副産物と共にプレゼントされ、覚醒に導き、発狂に導き、死に導き、生に導く。認識出来ないものは存在しないので、人間には気付かれない。僕らの存在が明るみに出ることはない。何故なら」

西ノ宮玖「既に明るみに出ているから、だろ」


西ノ宮玖「話がなげーんだよおっさん。ぽっと出の癖にべらべらと詮の無いことを。暇人か?」


雷草太「ハンデなんだがね。君は断定の魔法を使うんだろう?その為にこっちは話を伸ばして、選択肢を増やしてあげているんだよ。私ほど親切で、倒されたがっているラスボスはそうそういないよ?」

西ノ宮玖「嘘つけ。隠したがっているんだろうが格下が。一月近くも全力で逃げ回りやがって」

そう。この男、邂逅するや否や窓から飛び出し、全速力で逃走を始めたのだ。物語は登場人物が同じ場所に揃うか、少なくとも対話が可能な状況である必要がある。西ノ宮が1人で演説したところで、相手が聞いていないのでは意味が無いのだ。

それからと言うもの、世界を股にかけた本気の大人の鬼ごっこが始まった。それはそれは凄惨なもので、既に事務所の予算は尽きている。こちらが現実逃避したい。

雷草太「楽しかっただろう?」

西ノ宮玖「うん♥️」

この女、大の旅行好きである。

雷草太「まあ、旅はいつだって良いものだ。新しい価値観を受け入れることは時に苦痛を伴う。しかし、実りも大きい。やはり、美人は旅をして大きくなるものだ。それに、私はどちらかというと旧約聖書の方が好きだ。ユダヤは旅人の血だからね」

西ノ宮玖「げ。夢野、ヤバいかも。このおっさんやっぱりモノホンっぽいわ。覚悟はしてたけど、骨が折れる訳だわ」

西ノ宮玖は不敵に大胆に、

──口の端を歪めた。


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