見出し画像

スタートアップに必要なのは大人の意見であって大人気ない意見ではない

はじめに

先日のTwitterのTLに流れてきた記事を読んで、久々に反論記事を書きたいと思いました。筆者に対して悪意はありません。


反論1、フレームワークやマニュアルはどんどん使うべき

<本文抜粋>
・すべて「インターネットメディア事業」、同じWordPressテーマ使用、そして内容がすべて一時期流行った低品質キュレーションサイト。

・①人に言われたことをマニュアル通りにやるのが起業?
支援しているというポート株式会社のマニュアルあるいは指導に従って、その通りにやった結果でほぼ間違いないでしょう。
一介の学生が保険や探偵、債務、交通事故、さらには終活なんかにそれほど詳しいとも思えないので、トピックすら指定されたのかもしれません。

黎明期や創業期などはほぼマニュアル通りで良いことはたくさんあります。
私は自社の法人登記は司法書士さんにお願いしてマニュアル通りにやりました。現在も財務諸表の作成、決算のやり方などは税理士さんにお願いして、マニュアル通りにやっています。
優れたマニュアルは生産速度を上げてくれますし、商売をやり始めた時期に何もかもをオリジナルにすることはオススメしません。
それよりもマニュアルを使って捻出することができた時間を使って、自社の商品のオリジナル性や品質を高めることができます。

商売の基本は「あるところから、ないところへ」です。
モノがなければモノがあるところから持ってくる、情報がなければ情報があるところから持ってくる。キュレーションメディアは情報を届けるというビジネスモデルなので基本に則っています。他人がやっているから二番煎じなものは商売として取り扱うことはダメなことなのでしょうか?

答えはNOです。
例えば松屋は黎明期に吉野家の味に感動し、吉野家のスタッフと仲良くなり、同じ材料を使っていたのに完全に企業としては別の道を歩んでいます。
例えばYahoo!オークションというサービスがなければフリマアプリであるメルカリはありませんでしたが、Yahoo!とは反対に日本からアメリカへと羽ばたいています。
以上を踏まえて専門家以外がキュレーションメディアビジネスをやってはいけないのでしょうか?


反論2、キュレーションサイトって大企業じゃないと作れないものなの?

<本文抜粋>
・大手企業が多大なマンパワーをかけて一気に作り込むのでもない限り、サイトを作り始めたからといって一朝一夕で得られるものではありません。
・一説に個人事業主から法人化する境界線であると言われる「売上1,000万円/年」を突破するのは至難の技で、もし到達できるとしても何年かはかかるでしょう。
※アフィリエイトマーケティング協会の調査によると、全アフィリエイターのうち月100万を超えるのは6.7%

キュレーションメディアビジネスは大手企業が多大なマンパワーをかけて一気に作り込むものでもないとダメみたいなことは誰が決めたのでしょう?
私の友人にもキュレーションメディアを運用している人たちは何人もいますがそれぞれ大手企業ではありません。

必要とする人に必要とされるものを届けるのが商売の根幹です。
手段はキュレーションサイトなのかもしれませんが、必要としているユーザーを特定した後に、ECサイトの運用に切り替えるのも手だと思います。
富士フィルムという会社はカメラのフィルムを作っていましたが、今は衣料品メーカーとして活躍しています。
Pixarという会社はスティーブ・ジョブズが買収した当初はコンピュータを販売していましたが、今ではアニメーション映画制作です。
商売は柔軟で、後に変更することは可能なのです。

また記事内で引用されていたアフィリエイトマーケティング協会の資料は法人と個人の区別がついた資料ではありませんでした。
個人と法人が区別されていない資料を使用するのはちょっと強引なリードだと思います。


反論3、キュレーションサイト作るのに起業する必要は全くないこともない

<本文抜粋>
・設立費や決算書をつくるコスト、法人税の均等割など個人事業なら払う必要がないコストが無駄です。

法人と個人では社会的信用力が圧倒的に違います。キュレーションサイトの記事用に取材をするのにしても法人の方が有利です。
社会的信用能力においては個人事業主<法人と断言します。

コスト面においても個人事業主を3年やった私にとって確定申告を自分で作ることは存分なコストでした。
法人を経営するようになってからも決算書を作るコストは大きく変わりませんでした。税理士さんにお願いしている分、費用的なコストは増えましたが時間的なコストは減りました。
何をするにしても商業活動はコストは掛かります。
このコストを時間なのか、お金なのか、人的なのか、どうやって支払うかを考えることが経営です。

また法人税の均等割はそんなに高くありません。
自治体によって違いますが、九州大学のある福岡市の場合は資本金1000万以下で従業員数が50人以下であれば年額で50,000円程度です。
12ヶ月で割れば月に4,200円ほどです。この4,200円をコストと考えるのであれば、筆者の言う通り法人を設立することは向いていないと思います。

税金に対する考え方としてはコストではなく社会貢献に属する費用と考えましょう。無駄に多額の税金を支払う必要はないと思いますが、かと言って支払うことから逃げていては本末転倒です。たくさん稼いでたくさん税金を納めることは悪ではありませんし、素晴らしいことです。


反論4、起業体験の質は体験した本人がどうにかするものなのではないの?

<本文抜粋>
・もしかすると、今回の11社起業は『失敗してもいいから、とりあえず起業を体験させてみる』という目的のために行われた可能性もあります。
・少なくとも、言われたとおりにネットの情報をつまんだキュレーションサイトをつくるだけで良質な体験が得られるとは思えません。
・自分でブログ書いて運営した方がまだいい。

言われた通りにネットの情報をつまんだキュレーションサイトを作るのと、自分でブログ書いて運営するのと起業体験としては何が違うのでしょうか?

正直なところ、こういう体験をしないでも起業する人は勝手に自分で起業していきます。仮にきっかけが他人に与えられたものであったとしても、そのきっかけをどうやって活かしていくのかは自分次第だと思います。

私も会社を立ち上げてからというもの様々なセミナーに参加しています。
そしてまずはセミナーで教えてもらった通りに実行してみます。実行しても効果の出ること出ないこと、自分の会社や事業に得するものもあれば損するものもあります。
実行してみるから結果が出て計測することができるのです。
Amazonのジェフ・ベゾスだっていつかAmazonは潰れるかもしれないと心配をして、それを回避するために行動しています。
この世の中に絶対に儲かることなんてないからこそでしょう。

キュレーションメディアというのは情報を取り扱います。
特定の界隈の情報を取り扱うことによって一般の人よりも詳しくなります。
一般の人よりも手に入る情報によって自社で取り扱う事業を考えるチャンスが多くすることができます。
そういう意味では大学生が起業の題材として取り扱うことに向いてるのではないでしょうか。


反論5、お金出してから言おうよ

<本文抜粋>
・ポート社は、1社あたり50万円の出資をしたとのこと。
・50万円は一般人の家計からすれば大きな額ですが、会社としてはほとんど何もできない程度の金額にすぎません。
・株式会社の設立に約20万かかるし、ブログ書くためのパソコン買ったら15万くらいかかるかな?
・たとえ学生社長さんが儲けたとしても会社はほとんどポート社のものなので以下略。

11社に対して50万ずつ出資したのであればポート社の総額出資550万は中々のものだと思います。
ポート社の宣伝広告であっても経営指針上は間違っていないと思います。
商業活動は慈善事業ではありませんので、お金を出すからには得をするように仕組みを作ることは普通のことです。
550万以外にも学生に起業させるための面倒も見ているのでしょうから、この企画だけでもポート社がどれだけのリソースを割いているのかわかります。

出資したポート社に対して、11社に筆者はいくら出資したのでしょうか?
お金の使い道にしても株主が口出すのであれば道理がありますが、株主でもない外野が推測と憶測で文句を言っていいものじゃないでしょう。
株式会社は株主のものです。
たとえ上場企業が儲けたとしても上場企業の社長のものではありません。
会社の仕組みとしては正しいものです。

また「ブログ書くためのパソコン」なら15万も出す必要もありません。
ブログを書くための環境であれば今の大学生はスマホやタブレットを駆使していますし、授業で必要でしょうから会社のために買い換えることも考えずに開業費用に自分のPCの時価を計上しても良いと思います。
記事を書くと言うことであればライターに依頼して書いてもらったものをアップすれば他のキュレーションメディアを運営している企業と同じです。
ブログを書くためにパソコンを買う必要すらないでしょう。


正論:指摘は真摯に受け止めましょう

<本文抜粋>
・② キュレーションサイトのレベルも極めて低い
・大した考察もなくネット上の情報を組み合わせただけのサイトなので、各キュレーションサイトのレベルも極めて低い。

筆者が記述した提供しているキュレーションサイトのレベルが低い理由は以下に要約できます。
・オリジナルの画像は無し、あるいはフリー画像のみ
・サイトの信頼性を上げるために会社概要くらいは載せておいた方がいい
・始めたばかりの時点ではとりあえず書かないと

指摘通りユーザーが求めるキュレーションサイトビジネスにおいて必要なものは何かわかります。商売というものは上手くいかないことの連続です。ユーザーが求めているものを提供し続けることで商売も会社も成長していきます。
筆者の言う通り指摘は真摯に受け止め、何から改善するかを選択して行動しましょう。それが商売です。


まとめ

スタートアップや起業はハードルは高いと思われがちですが、そんなことはありません。副業で始めて法人成りされる事業も世の中にはたくさんあります。デジタルビジネスでなくても、喜んでくれるお客さんはいます。
そんなスタートアップや起業を抑圧するようなことは、好ましくないと考えているため反論させてもらいました。
私には取り扱った記事に対して悪意はありませんし、おそらくPV数を稼ぐための論調なのでしょうから、私のような人間も釣れるんでしょうけどねw
個人的には追記が多いのでちゃんと調べてから記事出そうよって思いましたし、積極的に他人の力をアテにするのは読んでて気分の良いものではありませんでした。

私はスタートアップや起業される方々を応援しています。
個人的にも会社としても何名もの方々の相談にも乗っていますし、実際にお金を出してヘルプをしていることもあります。
困難な問題に対して知恵を使って解決するのは楽しいですね。
もし起業やスタートアップを考えている方、現在挑戦中の方で問題など抱えているようでしたら毎週土曜日に開催している弊社のイベントに起こしください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?