ワームホールを使って過去に行くための前提は?
ワームホールが存在する。
そのワームホールが通過可能である。
負のエネルギーが安定的に存在できる。
人類がワームホールを通過可能な技術を持つ。
人類がワームホールを制御可能な技術を持つ。
一方の出口を光速近くに動かすことができる。
旅行者が別ルートで同じ場所へ戻られる。
という仮定が整えば、「ワームホールで旅行を始める時点の過去」まで戻ることができる。
出典は真貝寿明「タイムトラベルの数理」
過去へ行くための状況設定は、
光速近くまで加速できる宇宙船があるとする。
ワームホールは宇宙船が旅した先に入口があり、出口は地球近辺にあるとする。
宇宙船は光速で旅した後に、ワームホールで地球まで返ってくる。
このため、行くことのできる最も過去は出発時点の過去(地球から出発した時)です。100万年前や1億年前へのタイムトラベルまでは言及していません。この過去へのタイムトラベルでは、相対論的時間、つまり時間軸の伸縮を利用しているだけであり、時間軸の方向、計測時点の移動といった、時間操作をしていません。この状況では「親殺し」パラドックスが起こらず、因果律が保たれています。
詳しくは記事を読んでいただければと思います。
※ いまここで書いている内容もうろ覚えだったりと。
ともかく7以外は無理なんじゃないか?
ワームホールの存在自体が未確定であり、存在しない可能性も十分にある。
わたしは、ワームホールは存在しない、と考えてます。(根拠なし)
※ 『宇宙論入門(原著第2版):宇宙の力学からインフレーション、構造形成まで』といった専門課程の教科書にはワームホールが扱われていません。
過去についても、現在が生成されたのち、過去の時は消滅していく、と考えています。過去としての物理世界は存在していない、ということです。
カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』では、ループ量子重力理論の見解で時間の実在性を議論されていました。ループ量子重力理論は超ひも理論とは異なる量子重力理論です。ループ量子重力理論では、世界はスピンネットワークを所与とし、時空(時間と空間)は相互作用により生成されるとします。この立場をとる日本の学者さんは吉田伸夫先生です。
ループ量子重力理論も超ひも理論も、いずれも仮説にすぎません。時間に関する物理学を人類は、いつになれば構築できるのでしょうね。
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最近、時間に関するエッセイを読みました。この本は、上記のタイムトラベルに関係なく、哲学・社会科学・神経科学(脳科学)寄りの内容です。みすず書房さんが、あまりにも売れなさそうに、こっそりリリースしてました。ここ数年、みすず書房さんは多くのジャンルの良書を翻訳されています。高価すぎるのが難点です。
「生物学、文学、哲学、精神分析などジャンルを横断しながら、時間に対する万能感と人間的な時間への軽視に警鐘を鳴らし、ポストヒューマンの時代に人間はどう生きるべきかを問いかける、根底的かつアクチュアルな書」
第一章 時間と身体
第二章 時間と心
第三章 時間と文化
第四章 私たちの時代の時間
著名な哲学・思想家から科学、現代医学での見解を知ることができます。下記のようにホフマンさんは雑誌編集者ともあり、さまざまな知見をこの本に集約されています。人類が「時間」について、どのように思考して、現在ではどのように扱われているのか、「時間論」のような重いアプローチではなく、インデックス的にオールジャンルで把握できます。
エヴァ・ホフマン(Eva Hoffman)
1945年、ユダヤ人の両親のもとにポーランドのクラクフに生まれる。13歳でカナダに移住。アメリカのライス大学で英文学を学び、ハーバード大学大学院で博士号を取得。1979年より1990年まで『ニューヨーク・タイムズ』の編集者として活躍。
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