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圏論的量子力学? 図で量子論を線形代数するString Diagramというあたらしい量子論

出会い

先日、量子コンピュータの記事を書いた際に、noteホーム画面に自分の投稿の近くに、次のような記事が出てきました。

“書籍「図式と確率で学ぶ量子論(仮題)」を今秋に出版する予定です。本書の紹介を兼ねて,量子論を学ぶ際に役立つ線形代数の基礎を数回に分けて紹介したいと思います。線形代数に対して広く使える内容になっていますので,量子論に興味がない人にも役立つと思います(ただし,最終回は量子論に特化した話が中心になる予定です)。”

note: 図式で学ぶ線形代数 #1 ~図式の基礎と線形代数の基礎~by Kenji Nakahira

こちらは、玉川大の中平健治先生という量子情報の専門の方による記事で、今秋に出版もされるようです。

※今回の記事で何人かの先生を挙げさせて頂いていますが、いずれも面識はありません。

これはなに?

String Diagram(Wikipedia)と呼ばれています。
比較的新しい手法で、正式名称が定まっていないはずです。
少なくとも日本語名称は決まっていません。

起源は、Bob Coecke氏によって、10年ほど前に発明されました。

この経緯は、

YouTube 量子コンピュータをやさしく学ぶための三つの方法(丸山不二夫)

で紹介されています。

そして、創設者による書籍が出ています。

お値段が原著も翻訳書もそこそこしますね😓

翻訳書では、タイトルが改題され、原著表紙のドードー鳥が消えてしまいました。堅苦しくなってしまって残念です。

本来は、量子論を描画でアプローチできないかという、ライトな新しい試みなんです。

たしかに圏論的アプローチともいえるけれど、邦題も原題のとおり「量子過程の図解」が適切だったのではと感じます。

お値段が、「ちょっとチャレンジ・やってみようかな」な人にとっては、お求めにくいですよね。

ところが、丸山不二夫先生によるYouTubeでの

入門の動画があります。

YouTube Playlist:量子過程を図解するString Diagram入門(丸山不二夫)

こちらの動画をみていただくと、String Diagramの雰囲気は伝わると思います。

ただ、こちらの動画は、String Diagramを量子論で展開するまで、たどり着いていません。

もともとPicturing Quantum Processesは、原著844ページ、翻訳952ページ、専門書としてもかなり厚い本です。図が多く掲載されているため、思いの外、ぐんぐん読めます。
とはいえ、長丁場であるのは違いありません。

丸山先生の動画の続編が待たれます。
皆さんがたくさん視聴していただければ、アップしてくれるかもしれません。

String Diagramの書籍がもう一冊あります。

こちらは 原著324ページ、翻訳368ページと、Picturing Quantum Processesよりもページ数が減り、お値段も若干抑えられています。

わたしはコチラを読んでいる(積ん読)ところです。

個人的な願望を言えば、
名古屋大学 谷村省吾先生が、関連の書籍を出してくれないかと、

2022/10についに和書がでました。

期待しているのです。

現時点で圏論関連記事は先生のHPで一覧を知ることができます。

たとえば、

注意
サイエンス社 SGCライブラリは、アマゾンでも購入できる書籍がありますが、中には転売者によってプレミア価格に設定されているケースがあります。サイエンス社 SGCライブラリは、サイエンス社から直接に定価+送料で購入できます。送料は数百円で、電車代ほどで済みます。くれぐれも注意ください。
SGCライブラリに良書が多くあるのですが、amazon.jpで買えないため、レビューもつけにくい状況なのが残念です。

さて、この先、圏論によって

変わること。


圏論で数学を構築し直すという試み

数学原論,斎藤毅,東京大学出版会,2020

があります。
※こちらはわたしには硬派・高尚すぎて、いつ読み出せるか不明です。

圏論の持つチカラは、もともとは、このような数学の再構築にありました。

圏論の応用がさらに進み、量子論だけでなく、さまざま分野で従来と異なるアプローチが生まれていくのかもしれません。

そして、それらのアプローチが10、20年後に主流な方法になる可能性を秘めています。

少なからずString Diagramから萌芽を感じられます。

このような見解はさまざまな本で度々述べられています。
※  ref.「現代思想 2020年7月号 特集=圏論の世界

圏論から目が離せない。

しかし、難しいんですよね。
掴みどころがないだけかもしれない ?
ともかく、教えてもらえるシーンってないんです。

こう迷える中、なにか取っ掛かりにならないかと、

を見ていましたが、挫折気味。

中平健治先生の著作をお待ちしております。

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