[大学]院卒が量子論,量子力学,量子コンピュータの本をオススメするよ。網羅系教科書(一般的な物理学科の量子力学)編(2022年版)
※ この記事は書名を著者さんの名前で記載します。その際に敬称を省かせていただきます。また、わたしは挙げた本をほぼ所持していますが、それら全てを隅々まで学んでいません。わたしの自身の経験から、できる限り苦労しないで、凡人が量子力学を学ぶ方法を提案する記事です。
イントロ
さて、続きです。
まず網羅系の本をピックアップします。対象は「一般的な物理学科の量子力学」です。1冊だけ「もっともコンパクトにした量子情報」に対応しています。
量子力学を学ぶには、
量子力学は1冊で終える分野ではなく、
分野は多彩に分科されており、
ときには本をつまみ食いする必要がある
結局、数冊持たないといけないのです。ご存知ですよね。
網羅系の本を早期に持っておいたほうがいいでしょう。各所で計算のテクニックを参照に使えるからです。持っている本に載っていないから、あれもこれもと書籍を買い漁る必要がなくなります。それぞれの書籍はそれなりに高価ですし。また、このように本を提示することで、網羅系の本を始めから終わりまで、読み進めようとする荒唐無稽な行為も防げるでしょう。
その1
おなじみの本です。凡人にとって、この本は解く演習書ではありません。計算テクニックを参照する本です。
裳華房「大学演習 量子力学」「大学演習 量子物理学」(出版社HP)もありますが、専門家、コレクターでないならば、所持するのは詳解だけで十分です。
大学院に進まない方は買わなくてもいいです。量子力学を学部で済ますのであれば、使いません。一般的な教科書で十分です。
現代的(モダン)とはいない箇所も多く、全面改訂してほしいです。
その2
こちらもお馴染みですね。これは教科書なのでは?と思われるでしょう。こちらも網羅系の計算テクニック、量子力学総まとめ集です。語学での、学習書ではなく、文法書に値します。問題をとおして、量子力学の理論体系の整然性を確認できるのが特長だと感じます。数理的には煩雑だけれど、量子力学として妥当であり、量子力学の強力さを導ける快感があります。
この本から量子力学を始められますが、初学者には難しすぎる内容が多くあります。2周目以降の参照に向いています。
大学院を目指す方は、この本を制覇しましょう。ただ、所々、非常に分かりにくいアプローチがあります。全部通すのは、とにかく時間が掛かるので、引っかかる箇所は、他書を参照して進めましょう。
一部の分かりにくい箇所、および最新事情を加味して、全面改訂してほしいです。
その3
石川健三,レクチャー 量子力学 II: 4つの基本原理から導く,2020
こちらも教科書です。全般的に計算過程が詳しく載っており、計算テクニック集として利用できます。この本から量子力学を始めようという方はいない(本がメジャーでないため)ので、網羅系として分類しました。構成および記述は丁寧なので、この本から学び始めるのも可能です。
上記の詳解、猪木&川合に比べて、この石川は計算方法がモダンなのが特長です。玄人好みの計算法といってもいいです。この意味で、猪木&川合が若干古いスタイルの量子力学なので、現代的な計算法を好むのであれば、こちらを持っていてもいいと思います。
その4
Claude Cohen-Tannoudji
Quantum Mechanics, Volume 1: Basic Concepts, Tools, and Applications
Quantum Mechanics, Volume 2: Angular Momentum, Spin, and Approximation Methods
Quantum Mechanics, Volume 3: Fermions, Bosons, Photons, Correlations, and Entanglement総ページ2400の事典?です。持っていません。見たことがあるだけです。なんでも載っており、しかも計算手法はモダンでかつ丁寧です。けっして事典な然としているのではなく、れっきとした教科書なんです。大学などに所属している方は利用できるかもしれません。見る機会を持てるならば、この本がもっとも有効な手段です。
その5
新装版 現代物理学の基礎 3 量子力学I , 2020
新装版 現代物理学の基礎 4 量子力学II , 2016
湯川秀樹先生を始めとして、錚々たる日本の物理学者の知を結集した「岩波 現代物理学の基礎 量子力学」、読み応えあります。難しいですが、量子力学を作ってきた方々の声を聞ける本です。量子力学を創る思考プロセスを体験できます。
院以上の方は持っていてもいいです。一般の方は不要です。
岩波さん、いくらなんでも高すぎですわ。いまの学生さんに可哀相ですよ。どの版でもいいです。
量子力学II (新装版 現代物理学の基礎 第4巻) ,2011
オリジナルは3分冊 I(1978年)、II(1978年)、III(1975年)です。
最後に
ぱっと思い出せる本を列挙しました。他に気付いた本がありましたら、都度追加します。
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