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読書の友に持っておきたい地図帳2冊。それはネットでは調べられないんです。

本を読んでいると、小説でも、歴史書でも、地図帳で調べたいときが度々あります。

先日、江國香織「彼女たちの場合は」(集英社,2019) を読んでいました。この小説では、主人公たちがアメリカ各地を彷徨います。さまざまなところに行く訳です。途中、ナッシュビルに寄りました。
さて「ナッシュビルってどこ?」※オチがあります。(後述)
いまでは、テネシー州の州都であると知っています。状況を把握するのにやはり地図帳は必要と感じたシーンでした。

ちなみに、わたしはiPadで読書することが多いです。Google MapやGoogle Earthではアプリを切り替えが必要になります。それは避けたいがため、本の地図帳を使っています。わたしは調べる辞書・ツール類は、物理的に本などで持っておくタイプです。

書籍の地図帳には大きな利点があります。Google MapやGoogle Earthで補えない情報が載っているんです。これについては後述します。さすが、地図メーカさん、タダの地図は作りません!というところでしょうか。

1冊目

地図帳といえば帝国書院さんの「地歴高等地図」です。この地図帳では、現代の地図に、歴史事項もマッピングされているんです。イタリア北部カノッサであれば、「カノッサの屈辱1077年」とカノッサの場所に添えられています。欄外には、テーマごとに細かな地図が配置されています。主要都市のアップであったり、「○○の変遷(矢印などで進出が表示されている)」。ロンドン、ローマ、パリモスクワ、また京都や奈良、これら地域はこの地図をみることで、歴史も見えてきます。このような工夫は、Google MapやGoogle Earthではできないですよね。

残念な点が、2つあります。

  • イタリアの取り上げられている地名が少なすぎる。

    • イタリア全体が見開きであったなら、他の資料にあたる必要がなかったのですが。

  • 綴じ部ギリギリまで印刷されている。

    • 見づらいんです。どうして、地図の本は綴じぎりぎりまで使い切ってしまうのでしょう。中には、綴じられて見えなくなっている本もあります。

とはいえ、地図全般の完成度は高いです。この地図帳だけで、歴史と現代とで使用できます。一冊持っておくと、読書のサポートに役立ちます。

2冊目

吉川弘文館さんの「標準世界史地図」です。テーマ別地図をあつめた本です。年代順に並んでおり、"バビロンのネブカドネザルの宮殿"なんてことまで載っています。ともかく弩級に高密度な地図帳は、A3サイズで販売されてもおかしくない微細な書き込みで、しかも手書きです。1955年に出版されて以降、現代のDTPで改訂されることなく、版を連なることからして、もはやロストテクノロジーなのでしょうか。しかも、それぞれに歴史的検討がなされての地図なのだから、驚くしかありません。あまりに微細なため、視力に関係なく、ルーペが必ずいります。わたしはしっかり調べたいときはPDFを使っています。使いこなすには、結局、スキャンして、PDFにするしかなかったのです。何年かごとに増版していますが、その際の追加は現代部に限られているようです。どの年度のものを買っても、ほとんど違いがありません。

最後に

挙げました2冊は、地図としては特殊な部類になると思います。この地図帳を眺めるだけでも、さまざまな思考や思いが沸き起こり、ふと時間が経っていることもあります。

もしよろしければ、参考にしてみてください。

オチ

上記した、江國香織「彼女たちの場合は」(集英社,2019)のオチです。
じつは見返しに地図が載っていたのです。読み終えて、随分経ってから気付きました。
なーんだ。

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