夏休みのともだち / 自選短歌
新しい顔はもういい バタコさんきちんと死ねる心臓をくれ
動物を模したビスケットの中に見慣れぬかたち humanとある
砂浜のSOSを踏み潰しここは異常のない無人島
防弾着、かならず買って。街中の銃はスマホのかたちをしてる
こんにちはーいちおう声をかけてから土足で部屋に押し入っていく
A HAPPY NEW YEARって書き続け生きてきたのに(Aは要らない)
ドリンクバー押すと交互に降り注ぐコーラとコーラではない何か
まだ何かあるんじゃないかと期待するエンドロールの後の一瞬
水切りの石もおそらくそうだろう 着陸前に見る走馬燈
水底の石をとるため視界からきみが消え去り 永い静寂
絶滅の鳥の姿で現れていちばんほしいことばをくれる
欠片でも残れ残れと心臓のところをパンチしてくる花火
夏至過ぎて時は短くなっていくきみのまんまで(急行)いてね
町中の線香花火買い占めてそれでも夜は、季節は、君は
何度でもめぐる真夏のいちにちよまたカルピスの比率教えて
月光のエリアをはみ出ないように君はゆっくり鋏を入れた
いつか死ぬ道の途中で私だけ渡れたんだね みなが手を振る
ほんとうの記憶.zipをひらくとき さようなら夏休みのともだち
またあしたまたあしたって手を振って疑わぬのだ 打ち水に虹
3、2、1、ぱちんでぜんぶ忘れるよって今のは説明だから泣くなよ
岡本真帆 @mhpokmt
読んでくださってありがとうございます!