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「気にかけてくださりありがとう」という言葉

私は趣味として演劇の役者をすることがあるので、よく自分の出ている演劇を観に来てほしいとお誘いをするんですけど、
時間を割いて観に来てくださることもあれば、断られることもあります。
そして(私の周りの)役者の方が、終演後のあいさつとしてよく使われる言い回しとして「観てくださった方はもちろん、気にかけてくださった皆さまも、どうもありがとうございました。」というものがあります。
今回はこの言葉について、つらつらと私見を述べていきます。

まず前提として演劇やライブというものは場所と時間が(基本的には)決まっています。
なので、観に行きたいなーと思うものでも、何かの都合で観に行けない、ということは往々にしてあります。
私用で遠出しなければならないとか、仕事のシフトが入っていてもう変えられないとか、あるいは役者仲間の方であれば本番中はもちろん無理ですし、本番直前の追込みの稽古期間と被っていても行くのは難しいなあ、となると思います。
何が言いたいかというと観たいけど物理的に(あるいは精神的に)観に行けないということはよくあることだし、仕方のないことだということです。
それで、じゃあ実際誘われて行けないなーと思った時にどう断るかという話になるんですが、まず人として無視は良くないと思います。(自分もしてないか不安になってきましたが…)
なので何かしらの断り文句を考えるわけですが、今月飲み会多いからパスで、とかこの劇団の前作微妙だったんだよな、とかストレートに理由を言うと色々と角が立つので、予定と重なってて〜とか当たり障りのない理由で返信することになります。(いつもこんなこと考えているわけじゃないです、あくまで例示です)

で、ちょっと話は逸れるんですけど私がここで話したいのが、Twitterの引用ツイートや何かで「これ行きたいけど行けない涙涙、行ける方絶対面白いと思うのでぜひ観に行ってください!そして感想を私に教えてください炎」のような発信をどう思うか?ということです。
私はこれについてはむしろ応援としてとらえていたのですが、役者さんの中には「行けない旨をわざわざツイートしないでほしい」と思う方もいるようなんです。
私はそれを聞いて、うーんと考えてしまいました。
まあ、確かに「行けない」ということをわざわざツイートするのがどうなのか。行けないなら黙って次のチャンスを待つべきじゃないのか、という意見もあると思うのですが
でも、ツイートの中で観に行く人が増えますように、と応援してくれているわけですよね。なので、私はありがたいことなんじゃないかなと思うんです。
ただ、さすがにどうなんだろうと思うのは「行けないわ〜」「仕事だわ」「今回も無理だわ」みたいなツイート。いや別に何をツイートしようが自由なんですけど、なんていうんでしょうか、これ見た人がどう感じるのかとか考えたら、もう少し違う表現になるんじゃないかなと思うんです。飲み屋でチラシ渡したら「ありがと〜」って受け取って飲み屋の机に置いて帰られたとか、案内ありがとう日程確認するね〜って言ったきり返信してこないみたいな、いやそれ大して行きたいって思ってないでしょそもそも?みたいに思ってしまうんですよね。(ヤバいこれ過去にやってたかも、その時の方本当に申し訳ありません)

これに関してもう一つ、どうしても最近気になったことがありまして。
というのも、脈絡無くてホント申し訳ないんですが私VTuberの配信をよく見るんです。それでこの前「ライブ直前告知だよ!」みたいな内容の配信があってそれを見てたんですね。私はその配信者のところではコメントは打たず聴いてただけだったんですけど、そこでまあ「ライブ行けない〜」みたいなコメントの多いこと。優しい配信者の方だったので「次やるときはまた告知するから来てね」とかって返すわけですけど、なんだか見ていて胸が痛くなりました。
これはライブや演劇に限らずイベントごと全部がそうだと思いますが、こういった場所や日程の決まってて晴れ舞台!って感じのものは、かなり前もってしっかりと準備されます。ライブならセトリをどうするか考えたりダンスや歌のレッスンをしたり、演劇だったら何度も繰り返し稽古をしたり舞台の仕込みを考えたり。
それで、本当にその日その時観に来てくれる人のことを楽しませたい、感動させたい、何かを感じてほしいとかそういうことを考えてひたすら試行錯誤をしているわけなんですね。
それで、「行けない〜」ってさ。まあ実際行けないんだろうけどさ。なんかさ、もっとないのかよって思ってしまいました。「行きたかったけど仕事が…涙 次は絶対行くよ!!」みたいなさ。じゃないとライブする側も、せっかく告知して頑張ろうってしてるのに気持ちがなえちゃいますよね。

だいぶ脇道にそれてしまったんですけど何が言いたいかというと、やっぱり気にかけてくださるというのはありがたいと私は思うんですよね。中には気にかけてもらうだけじゃ意味ない、来てもらえるかどうかが全てだという価値観の方もいるかと思いますが、実際問題私だって観たい舞台人生で見逃したことないかって言われたらそりゃ嘘になるし、色々な都合で断ることだってあるから断られること自体はよくあることで仕方ないよねと。ただその「行けない」ということをどう言うか、どう伝えるかというのはこのSNS全盛時代にはよく考える必要があるんじゃないかなと思います。直接誘ってくれた相手に返す時も断り方考えて返すわけだし、基本的にはそれと同じで、これを言ったら相手はどう思うだろうかなという想像力が必要なんだろうなと思います。



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