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オカラをくらひ、かんがへた

スーパーで消費期限が近づき、値引きされたオカラが売られていました。
そのオカラを迷子になり見つかった子どものように大切に引き取ってきて炊きました。
私はオカラを炊くのが好きです。
母が作ったオカラの煮物には煮干しがそのまま入っており当時はあまり好きではなかったのですが、今では好物の近くまでやってきています。

サラリーマン時代、設計事務所に勤務していた時、豆腐工場から出て来る大量のオカラの廃棄の相談を受けた事があります。
あの時の相談は廃棄したオカラの腐敗臭の除去でした。

乾燥した大豆を水で戻して豆腐を作り、豆乳を絞った残りカスのオカラは水分を含んでおり、非常に腐り易いのです。

私はオカラが廃棄されている事実を知って少しショックでした。
しかし、市場に出しても売れぬオカラは廃棄物として処分した方が費用がかからないのです。
日本人がオカラを食べなくなったことが一番の原因だそうです。
豆腐のその栄養に引けを取らず、食物繊維は十分なのに嫌われ者のオカラです。

オカラハンバーグやオカラパウダーへと加工するには費用がかかります。
採算の取れない再加工より、廃棄へ向かうのは企業として当然かも知れません。
しかしながら、食料自給率の低い日本のアイテムの中でも大豆の自給率は10%を切っています。
SDGs の観点からも正しくはありません。

ハンバーガー各社が代替肉として大豆を利用したハンバーガーを開発していますが、オカラを利用するとはどこからも聞こえてきません。
推測ですが、他社を抜きんでるほどの美味しい代替肉がオカラからでは作れないのかも知れません。
仮に出来たとしても採算の合うコストでなかったり、安定した大量供給を可能にするだけのサプライチェーンが構築できないのかも知れません。

現段階ではオカラは処分される道をたどり、その処分費用が含まれた価格の豆腐を私たちは買うしかないのでしょう。



『素浪人 花山大吉』というテレビ時代劇が子どもの頃ありました。
主人公の花山大吉はオカラが大の好物、飲み屋では必ずオカラと酒を頼んでいました。
オカラと酒ってのは合うんだろうなと、憧れに近いものを持ちながら大人になりました。
でも飲み屋通いをするようになっても、そんなにお目にかかるものではありませんでした。
私も店で出すことがありましたが、あまり人気はありませんでした。
オカラの不人気は不思議です。
昔から不人気だったのでしょうか。
ひょっとしたら『素浪人 花山大吉』はオカラを日本人の食卓に根付かせる啓蒙番組だったのかも知れません。

だとしたら、もっと子どもたちが熱中する番組を利用しなければいけなかったのかも知れません。

花山大吉が啓蒙できたのは私だけかもしれません。

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