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アンチョビ入りポテトサラダ、年末のフツーの日

二日前の記事を書いてからこのポテトサラダが気になっていた。
29日の昨日はすでに大晦日、正月に向けての買い物客であろう、近所のスーパーはいつもと違う活気を呈していた。

キタアカリとアンチョビだけを買って自転車で帰る。陽射しは暖かさを感じるが時折吹く風は北風、やはり肌を刺す。散髪も済ませたく散髪屋の前を通るがここも同じ考えの男たちでごった返しているようであり諦めた。途中歳暮でヤマサのちくわを贈った奈良に住む大先輩から電話があった。「帰省する娘たちと食べるよ、ありがとう」と来年早々に梅田で一杯飲む約束をしてまた自転車を走らせた。気になり少し遠回りをすると黒猫プースケはいつもと同じ陽だまりで幸せそうに居眠りをしていた。この年末年始は兄に会いにも行かない。施設内、支援員さんに陽性の方が出たと連絡があった。大きな声では言わないが私には小さな幸いで、愛知行きを先に延ばす言い訳が出来た。「兄貴済まんな」と心の中でそう思い自転車を漕ぎ続けた。

家の中は最近いつも暖房で温かくしている。ばあちゃん猫ブウニャンもやはり寒さに弱く、最新式『5枚パネルヒーター』の中で今は寝ている。なんとなく気になり、指で突いてみる「ブニャン」と返事があり生息の確認をする。まだミイラにはなっていなかった。それくらい強力な最新式『5枚パネルヒーター』である。

寝ているブウニャンを横目にしながら冷水でキタアカリを洗う。タワシでゴシゴシ土を落とす。皮も捨てずに食べるから北の大地の土も食べるんだな、と思いつつゴシゴシ洗った。冷たい水は手には冷たいが手には優しいなと思った。介護の現場で仕事を始めて生まれて初めてハンドクリームを手に塗るようになった。一番悪いのはどこでも湯の出る便利な蛇口だと思った。キタアカリの切り口は黄色できれいだ。皮をむき終わりガラスのボールの水中に転がるハダカン坊のキタアカリを見ていたら、黒胡椒のミルが壊れていたのを思い出し、再び手袋をはめ自転車にまたがった。そして、近鉄八尾駅前まで行った。高架下の椅子のある立ち食いうどん屋からは美味そうな出汁の匂いと温かそうな茹で湯の蒸気が流れ出ている。カレーうどんを食べたかったが、あきらめ通り過ぎる。駅前の商業施設の百均でミルを買う。どこもワンサカ、人でいっぱいであった。

キタアカリ6個をテキトーに切り分けテキトーに塩をつまみ入れ茹でる。串が通る頃には回りが煮崩れ始めた。慌ててフライパンにドボドボとオリーブ油を入れてアンチョビを2枚だけ入れて炒め、練りニンニクを2cm、加熱したところに湯切りしたキタアカリを投入した。キタアカリには塩味が染みていた。テキトーに潰しテキトーに入れ過ぎないようにマヨネーズを入れて混ぜたら出来上がった。

厚くむいた皮はテキトーに刻みグラタン皿に敷きオリーブ油と塩コショウ、カットチーズをのせてオーブントースターで10分ぐらい、テキトーに。
おいしいチーズ焼きが出来あがった。

2022年年末、フツーに時間が過ぎていく。人生百年などといい加減なことを言い国は我々を働かせようとしている。ま、それは構わないが、まずは心身ともの健康である。健康であるから働き、幸せを享受できるのである。過去、多くの先輩方が私の今の年齢で仕事を辞めている。人は人、それぞれの事でありとやかく言うつもりはないが、私はそんな立場になったら退屈を感じるであろう。
今日のようなフツーの一日は仕事や何かをする普通の一日があるから感じることの出来る幸せなんだと思う。
毎日を仕事や何かをする時間があるから、休みを休みと感じ享受できる。
毎日が盆と正月ばかりであったら、たぶん私の身体も心も10日と持たないだろうと思った。

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