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この世から無くなって欲しくないもの(昭和のにおい)

本当の『鳥瞰図』って見たことありますか?

タケコプターを頭にのっけたクロネコさんが宅配便を持ってくる時代がすぐそこに来ています。

スマホで衛星写真を誰でも見ることが出来て、ドローンも当たり前になった現在、この『鳥瞰図』なんて面白くないもので、その気になれば素人の私たちでも簡単に作れるものかも知れません。


昭和60年に社会人となり、営業に移ってからのことです。

建築雑誌でこの『鳥瞰図』を描いた石原正さんのことを知りどうしてもこの『鳥瞰図』をプレゼン資料に使いたくてアトリエのバーズアイを訪ねました。

たまたま会社から歩いて行けるところで仕事をされていました。

いろいろお話しを伺えたと思うのですが詳細には覚えてません。

とても個性的な方だなという印象だけだが残っています。

大阪城、OBP界隈のものと、大阪駅周辺のものを売ってもらいました。

航空写真と、町を隈なく歩いて調べて描くと言ってました。

驚くばかりでした。

当時私が在籍した会社の大阪支店はこの冒頭の『鳥瞰図』の写真から少しはみ出したあたりにありました。

下記掲載の全体図『鳥瞰図』の制作が1984年、まさにこれからOBP大阪ビジネスパークの建設に着手するところでした。

のどかな風景がここには残っています。

もともと勤めていた会社もこのOBP建設用地であった大阪陸軍造兵廠跡地の土地を持っていました。

建設前のこの頃は半ドンの土曜日の午後にみんなでソフトボールをやっていたと先輩から聞いていました。

いろんな思い出のあるこの界隈です。

今でこそこの『鳥瞰図』で見る角度の風景はなんてことはない平凡な風景です。

でも40年前には衝撃的でした。

そして、私の記憶に残る風景です。

航空写真の手写しだけでない人間の力でおこした絵です。


私が仕事でお付き合いした『建築白模型屋さん』がいます。



彼の仕事も同じです。

厚紙やボードに設計図を貼り付け、それを刻み組み立て、立体化する、簡単に言ったらそれだけの作業で作り上げる立体模型です。

でもその裏には驚くほどのたくさんの技術が隠れています。

3Dプリンターも一般の手に出回るこの時代に、と考える方がいるかも知れません。

でもそんなこだわりを持った方がいてもいいと思います。

自宅の立体模型が机上にある、それも生を感じさせない機械の生産したプラスチックではなく、手作りで作り上げられたこの世に一つしかない白模型です。


私には無くしてもらったら困るのです。

紙の新聞も、本も、万年筆も、鉛筆も、電池で聴けるラジオも、街の喫茶店もです。

世の中に万人向けなんて無いと思っています。

その良さが分かる人間だけで享受出来たらいいんだと思います。

それが本当の良さだと思います。

目まぐるしく変わっていく世の中であるからこそ残しておきたいものって誰にもあると思います。


昭和の世に、私はこの鳥瞰図界隈に間違いなく生息していました。

仕事の苦悩を中心に喜怒哀楽が、私の人生がこの紙の上に散らばっています。

紀元を飛び越してパピルスは現代まで当時の情報を、人の生きた証を伝えます。


私にとってこの世から無くなって欲しくない、昭和のにおいの残るものの一つがこの『鳥瞰図』です。

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