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おねショタ108式の90『ホーム・メイド・アイ』

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住宅のインフラ、セキュリティ、そして住民の健康管理まで一手に引き受ける、高度なAIによるホームシステムが住宅に行き渡った、近いようで遠い未来のはなし。

主人公の少年が、今どき希少とすら言える紙袋に包まれた何かを、大事そうに胸に抱きながら帰宅する。
それを迎えるのは、ホームシステムの化身とも言える女性型アバター。
彼女は少年の第二の母であり、姉であり、そして忠実なメイドである。
今日も無事に帰った少年に対して、心からの丁寧な挨拶をするが、少年の反応は上の空である。
そしておやつを食べるのもそこそこに、足早に自分の部屋へと急ぐ。

暫く後、ベッドの下に何かを隠したところに、アバターが現れる。
彼女は家の中ならどこにでもホログラム体を出現させることができるのだ。

何を隠したんですか?
彼女の簡潔な問いに答えることなく、ベッドの下を背にしてひたすら少年は言葉を濁すが、詳細の知れない物を部屋の中に置いておくことは許さない。

……その一心だったのだが、管理者権限でもって、ハウスキーバーロボ全員を動員して出てきたものは、いわゆる一つのエロ本。
とうに絶滅したはずのハードコピー……紙に印刷された女性の裸体の写真本は、駅の近くにある雑貨屋が扱っているのだという。

ひとしきりお説教をした後、その雑貨屋を社会的にか物理的にか潰すことを決意したアバター……おねえちゃんは、ふとつぶやく。

「もう、興味が出てくる年頃なんだ」と。

資料費(書籍購入、映像鑑賞、旅費)に使います。