2021年春ドラマ現時点でのベスト3


2021年冬ドラマでも発表した、現時点(1〜2話終わった時点)でのベスト3。冬は、「天国と地獄〜サイコな2人〜」「俺の家の話」「書けないッ!?〜脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活〜」を選出、どれもラストまで素晴らしい仕上がりで、そのまま2021年冬ドラマベスト3になりました。


さて、いつの間にか春ドラマがスタートして早1カ月。つい先日始まったばかりのものもあれば、すでに4話が放送されているものもあったりと、スタート時期がバラバラですが、とりあえず出揃ったので、冬ドラマ同様、ベスト3を書き残しておく。春ドラマは豊作なので3つ選ぶのが難しかったけれど、選んだのはどれもオススメなので、気になった方はぜひご覧いただきたいです!
※例にならって順位ではなく「ベスト3」というくくりで紹介していきます。



1、大豆田とわ子と三人の元夫(フジテレビ 火曜21時〜)


脚本家坂元裕二×プロデューサー佐野亜裕美×松たか子×松田龍平といえば!そうです、かの名作ドラマ「カルテット」。そのメンバーが再集結するとなったら期待値は限界突破するわけで。限界突破した期待に見事応えてくれた極上ドラマに仕上がっていました。

バツ3の主人公・とわ子(松たか子)が、とあるのっぴきらない事情から、元夫の八作(松田龍平)、鹿太郎(東京03・角田晃広)、慎森(岡田将生)と再会し、娘を交えて再び交流するようになったことで、それぞれの人生も交わるようになり……というストーリー。通称、まめ夫


坂元さん脚本のドラマは、軽快な会話劇が魅力的。彼が描く登場人物は、本当に存在しているかのようなリアリティーがあって。でもやはりファンタジーのようで。あるあるな会話が詰め込まれたシーンのあとに、心に刻んでおきたい至極の名言が盛り込まれたシーンが続いたりして。

でも坂元さん脚本のドラマがすべて自分に刺さるかといったらそうでもなくて、そこはやはりプロデューサーをはじめとする現場の製作陣の力も大きいと私は思っています。佐野さんは、TBSで新進気鋭のプロデューサーとして活躍なさっていたんですが、人事異動で現場を離れることになり、それでもやはり現場に携わりたいと、カンテレに転職したという経歴の持ち主なんです。そこまでドラマに対する熱い思いを持った佐野さんが関わるドラマ、面白くないはずがないんですね。それが冒頭の期待値限界突破につながるわけです。


まめ夫は、キャスティング、ナレーション(伊藤沙莉ちゃんのナレーションとってもいい!)、音楽、映像、衣装、インテリアなどなど、細部にまでこだわられて作られているのがひしひしと伝わってきて。その1つがエンディング。こちらお聞きください。

いやもうこれだけで、好き!STUTSくん天才!お松ラブ!ってなるんですが、この曲をベースに、毎週、アレンジバージョンが流れるんですよ。2話は岡田将生、3話は角田さんがラッパーとコラボしていて、4話はきっと松田龍平です。みなさん、生きましょうね……


いまをときめく人気俳優を起用!とか、キラキラ!ときめき!胸キュン!とか、ハラハラドキドキサスペンス!とか、そういうわかりやすいアピールポイントがあるわけではないので、万人受けはしないかもしれないんですが、見た人は心がグッと掴まれるし、何度も見返したくなる、本当にいいドラマなんです。ああ、このへんで止めないと、好きすぎてのえまる並みに書き連ねてしまう。

最後に、お松をとわ子にキャスティングしてくれてありがとうございます……。お松と深っちゃん(深津絵里)は私的永遠のベストオブ主演女優賞なので……。(永遠のベストオブ助演女優賞は水野美紀と小池栄子)


2、コントが始まる(日本テレビ 土曜21時〜)


売れないお笑いトリオ「マクベス」の春斗、潤平、瞬太、一流企業を辞めてファミレスで働く里穂子、里穂子の妹つむぎの5人による群像劇。毎回、マクベスが披露するコントで始まり、コントで終わる。しかもそのコントが実はストーリーにも絡んでいるという、まさにコントがカギになっているドラマ。


まずキャスティング。決まった当時、日テレ、本気出してきたな〜〜!!と上から目線で興奮してしまった。菅田将暉、仲野太賀、神木隆之介という実力派若手俳優の共演というだけで、私はもう大興奮だったんですよ。(同局のトリオ群像劇、「ゆとりですがなにか」も当時毎週楽しみにしていた人間です)そこに、有村架純、古川琴音。プラス、サプライズで、マクベスが所属する会社の社長が中村倫也、潤平が長年付き合っている彼女が芳根京子というのも私得✌


そして脚本。金子茂樹さんは「俺の話は長い」が大好きだったので、きっとあのドラマのように、なんでもないような会話の1つひとつに、人生のヒントが隠されているんだろうな〜と。実際に、ここまで放送された1〜3話、教訓にしたいハッとするセリフが散りばめられていた。

TVerで配信中の3話は、里穂子がなぜ一流企業をやめたのか、そして春斗の兄の苦悩が描かれています。ラスト、春斗の兄・毎熊克哉さんの演技がサイコ〜なので、明日また見返すと思う。


3、生きるとか、死ぬとか、父親とか(テレビ東京 金曜0時12分〜)


こちらのドラマは、ラジオパーソナリティやコラムニストとして活躍するジェーン・スーさんのエッセイをベースにしていて、彼女が感じる、人生の悲喜こもごもが描かれています。

ドラマの中でもラジオのお悩み相談コーナーがあって、ドラマなんだけど、ラジオを聴いているような、そんな心地良い時間が流れる。そして、リスナーさんからのお悩みと、そのお悩みに対する答えがまた沁みて。田中みな実アナの声も耳心地がよくて、アナウンサーってすごいなと改めて実感。


テレビ東京のドラマはね、いいんですよ。色々なしがらみがありそうな民放ドラマと違って、製作者のこだわりがつまった作品を届けたい、って気概が伝わってくるというか。このドラマも映画監督でもある山戸結希監督が携わっていることもあって、全体的に短編映画を見ているかのような気持ちにさせてくれる。テレ東は今期、「珈琲いかがでしょう」でも、荻上直子さんが脚本と監督を務めていて、テレ東すごい!これからも全力で推すね!という気持ち。テレ東が見られない地域の方も、TVerがありますので、是非に。


次点
半径5メートル(NHK 金曜22時〜)


つい先日始まったばかりのドラマ。
主人公の風未香(芳根京子)は、週刊誌の記者。とある失態を冒し、スクープを扱う花形部署・一折班から日常の出来事を扱う二折班に異動になってしまった主人公の、二折班での奮闘を描く物語。


雑誌って大体1折が8〜16ページで製本するので、前の方の特集ページというかカラーページは1折、その後ろが2折、3折、4折と続いてくから、三折班とか四折班とかもあるんだろうか??っていう素朴な疑問は置いておいて。

ポテトサラダおじさんって知ってますか?1話では、「母親ならポテトサラダくらい作ったら」で物議を醸したポテトサラダおじさんが、「おでんくらい作ったら」のおでんおじさんバージョンで出てきます。

そういう話題を扱うなら、おでんおじさんを糾弾する流れになると思っていた。でも違った。「半径5メートル」にある身近な出来事を、だれもが「自分ごと」として捉えられるようなストーリーになっていたのが新しくて。最近のなんでもかんでも問題提起する風潮に、叩けばいいってもんじゃないのにな、と辟易していた自分にはヒットしたわけです。


二折班のメンバーが、尾美としのり、北村有起哉、山田真歩と個性派揃いで、芳根ちゃんのお相手となりそうなのが毎熊克哉、脚本は橋部敦子、しかもチーフ演出に三島有紀子という、ドラマ好きにはたまらない役者&製作者となっているのもポイント。1話の再放送が、5月5日(水)午前1:47〜午前2:32からあるので、見逃した方、ぜひご覧ください!

余談。NHKのドラマといえば、「きれいのくに」「今ここにある危機とぼくの好感度について」も見応えあってオススメです!



このラインナップをご覧いただくとわかると思うんですが、私は人間ドラマが好きなんですね〜。
ラブコメも法律ドラマも医療ドラマも全部ひっくるめてある意味人間ドラマなんだろうけど、何気ない日常というか、人々が生きる上で感じるちょっとした「喜び」「悩み」「悲しみ」「幸せ」を丁寧に描いてくれるドラマが好きなんです。今回紹介した3プラス1作品とも、そんな私の好き!!!がまるっと詰まっています。

春ドラマは本当に良作揃いで、ほかのドラマも面白いな〜と思いながら見ているんですが、これらのドラマを見返したい欲も出てくるし、時間が本当に足りない!!!贅沢な悩み!!!頼むテレビ局!!面白いドラマは分散させておくれ!!なんて。最終回が今から寂しい。○○ロスが大量発生しそうです。