土屋礼央著「ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。」と私
土屋礼央著「ボクは食器洗いをやっていただけで、家事をやっていなかった。」
という本が出たので、読書感想文を記す。
私は2001年にアカペラバンドRAG FAIRがデビューして20年、一度もよそ見することなく土屋礼央氏のファンだ。
RAG FAIRヲタクではなく土屋礼央ヲタクだ。
彼の初のレギュラーラジオであったオールナイトニッポンはMD(!)に録音して今でも大切に保管しているし、RAG FAIRもインディーズバンドのズボンドズボンもCDはコンプリートしている。
地方民なので、かなりの無茶をして東京のライブに通った。ありがたいことに全国ツアーをしてくれるグループだったRAG FAIRは地元の公演に参加すればよかったが、ズボンドズボンはインディーズバンド。東京の小さなライブハウスで1公演しかライブをしてくれない。
来てくれないなら行くしかない。仕事をして新幹線に乗ってライブハウスに行き、ライブ終了後に夜行バスで帰って翌日そのまま出勤したりもした。
まさに、ライブの合間に仕事をしていた。
そんなに愛していたRAG FAIRは活動停止(のちに復活)、ズボンドズボンは解散した。
愛する推しを失ってこれからどうやって生きて行こうかと絶望していたら、土屋礼央氏のソロ活動TTREが始まった。
氏の結婚も発表された。
ソロ活動の土屋礼央氏は、音楽活動で食べていこうとは考えていないようだった。
他に職を持ちながら、音楽活動を続けるようなスタンスだ。
雑誌にコラム等の連載を持ち、帯番組のラジオパーソナリティを担当し、鉄道好きを生かしてタモリ倶楽部に出演し、単発の鉄道番組に呼ばれるタレントになった。
JリーグFC東京のサッカー番組のMCをつとめ、たまにプロ野球埼玉西武ライオンズのラジオ解説席に呼ばれた。
マルチな活動を認められたのか、テレビの情報番組のご意見番的曜日レギュラーの仕事もしていた。
病気で声が出なくなりなかなか思うように歌うことが難しくなった時期もあり、死ぬほど心配したが、すっかり「ラジオパーソナリティとちょっとしたサブカル文化的タレント」になっていた彼からは、仕事がなくて餓える気配はなかった。ファンとして安心した。
私は土屋礼央氏の華やかで艶のある唯一無二の歌声が大好きで、彼のつくるキングオブカリスマインチキポップスが大好きだ。
しかし何が一番好きかって、彼の考えている事、思考回路、つまりは脳みそが好きだった。
音楽活動が彼の満足のいくようにできなくても、最悪生きていてくれるだけで、何かを発信してくれるだけで幸せだった。
そんな土屋礼央氏が、エッセイ本を出した。
土屋礼央氏の中の核。私が一番愛している土屋礼央氏の考え方。脳みそ。
それが、この本の中には書かれている。
2002年10月23日に発売されたRAG FAIRの4枚目のシングルに「あさってはSunday」という曲がある。作詞作曲を土屋礼央氏が手掛けている。
「当たり前の事だけど僕が素敵な瞬間をつくるから」
2番の歌詞だ。
土屋礼央氏の喜びは目の前のあなたが素敵だと感じてくれる瞬間をつくること。
「あなたのハッピーが僕のハッピー」
ズボンドズボン時代、土屋礼央氏が言っていた言葉だ。
この本は、その精神がふんだんに含まれたエッセイだ。
土屋礼央氏に寄せられた夫婦や子育て問題の相談に、土屋礼央流の人間の愛し方を示しながら生活をハッピーに、楽しく前向きにする方法を答えていく。
人類がすべて土屋礼央氏の考え方をしたならば、世界は平和になる。
大真面目にそんなことが思えるような内容になっている。
読んだあなたに楽しんでもらえたならば、私も幸せだ。
ああ、土屋礼央イズムがこんなところに。
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