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回教徒は現代社会に通用しない教義(習慣規定)でも実行を固守する

前回は、回教イスラム教の経典について、大雑把に説明した。経典には、回教徒が規範とすべきクルアーンコーランとハディースがあった。また現実社会で従うべきイスラム法、すなわちシャリーア(クルアーン、ハディース、イジュマー、キヤース: これらに基づく)があった。クルアーンとハディースの解釈の違いを合意したものと、類推解釈した書がイジュマーとキヤースである。

実際の現代回教徒が従うのは、イスラム法、すなわちシャリーアである。このシャリーアは、クルアーンとハディースの解釈によって国、地域、組織によって異なる。トルコ、アフガン、イラン、サウジ・アラビア等の国の事を考えると分る。同じイスラム法による統治でも人々の生活は随分と異なる。

回教の最も根本となるクルアーンコーランとハディースは、この1400年余りの間、一切変更されなかった。実はこの事が回教が危険な宗教に成りうる要因である。古来からの宗教は全て始めは習慣規定を宗是とする。「あれせよ、これせよ」「あれしちゃいかん、これしちゃいかん」と言うやつだ。

回教も同じ、と言うよりは最も習慣規定が厳密な宗教で、今もそれは変わらない。現代のキリスト教や仏教は、習慣規定より精神性が強調される。「汝の敵を愛せよ」「神は自ら助く者を助く」「色即是空、空即是色」等だ。

一般に回教イスラム教でよく知られている習慣規定は、ラマダーン(ある一ヶ月の間に日の出から日の入りまで、飲食を一切しない行事、しかし、日の出前と日の入り後に大量に食うので、他の月より太るらしい)、豚肉食っちゃいかん(回教徒でなくて良かった)、酒だめ(猛烈に回教徒でなくて良かった)、女性はヒジャーブ(スカーフ)を被れ、一日5回メッカに向かって祈れ、異教徒とは結婚するな・・・などだろう。

回教の習慣規定は単なる題目だけでなく、事細かに規定されている。結婚なら支度金額(結納のようなもの)の決め方、離婚の仕方と慰謝料の決め方(結婚する時に既に決めるのが驚き)等、と微に入り細をうがつが如しである。1400年以上も前の単純生活と、現代の科学・情報があふれる自由だが複雑な生活とは全く異なるのに、古来の生活規範を現代で守らせるのがクルアーンとハディースである。常識的に考えれば無理が生じ不合理である。

しかし、クルアーンとハディース習慣規範の変更は許されない。何故なら、クルアーンは神聖かつ不可変の神の言葉で、ハディースはムハンマドモハメッドの神聖かつ不可変の言葉だからである。回教徒にとって最も神聖な事はクルアーンを正しい発音(アラビア語)で間違い無くそらんずる事である。

吟味することもなく創造性の欠片かけらもなく、ただひたすらに朗読して暗唱するのだ。クルアーンを暗記することはハーフィズと呼ばれ、回教徒の間では威厳、尊厳を得ることになり、これを成し遂げた者は大きな名声を得る。しかし、この事が民主主義、自由国家にとって危険をもたらす温床となる。

これを理解するには上述したイスラム法、すなわちシャリーアを作る時、拠り所とするクルアーンとハディースの解釈において、回教徒の宗教上の思考方法を知る必要がある。これは次回とする。

次回は、一般にも良く知らている回教徒の豚肉食禁止を例にして、回教徒の宗教上の思考方法を解析する。

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