見出し画像

Just Like Honey①

本題に入る前に当時の私のバックグラウンドというか、自己紹介的なのを。

若さもあったのかもしれないけど、あの頃の私は思い出したら恥ずかしくなるほどに、精神的に未熟で他力本願で空っぽだった。

優しくしてくれる友達にも、ひどいことをたくさん言ってしまった。思い出すだけで最低で恥ずかしい。
もちろん自分のことだって全然大切じゃなかった。だって何も持ってない人間なんて、無価値だと思ってたから。

仕事もなんとなくで選んでてやりがいも無く(一応好きな分野ではあったけど)、稼いだお金は全部好きなことにつぎ込んで、将来も未来も考えられなかった。

自分で探した楽しいこと、のめり込むことも、一生懸命取り組んできたことも無いくせに、いつかきっとスパイダーマンのように颯爽と現れる恋人が、楽しいところへ連れて行ってくれる、なんて思ってた。人生なめすぎ。

そんな人間に好かれても、依存される未来が手に取るようにわかるから勿論恋愛もうまく行くことは少ない。
で、余計に依存するっていう悪循環。

そこから少しは成長したのかって言われると、、、うーん、どうだろう。
時々丸くなったとは言われるけど、自分ではよくわからない。

反面、自分から行動するにもなってるし、転職して仕事にもそれなりにやりがいは感じてる。
なんてったって長年吸ってた煙草も辞めて、お酒もあまり飲まなくなった。
年齢を重ねて、体が楽な方を選んでる感じ。

あとは、家を出たことで幼い頃から囚われてた、親に植え付けられた価値観のようなものは少しずつ薄れてきて、ずいぶん生きやすくなったとも思うよ。
そのおかげなのか、やっと人の痛みを理解しようと思えるようになってきたかもしれない。
まだまだ真人間には遠いけど。

片思いの彼と出会う前の年、あることがきっかけで露見した家庭内の問題で、ばらばらになって行く家族を傍目に、半ば無理やり家を出てった。
両親ときょうだいのことは愛しているけど、離れないと私の人生まで壊れてしまう、そう思ったから。
ちなみにこの時の出来事は、まだ解決できていなくて、今でも悲しみや虚しさの根源になってしまっている。


さて、いざ一人暮らしとなると、なにぶん無計画に生きてきてしまったせいでお金も少なく、仕方なくルームシェアで家を探すことにした。
しかも友達や知り合いの伝手ではなく、ルームメイト募集掲示板で。

今から考えるとかなり賭けに出た家選びだったけど、結果的には良いシェアハウスとルームメイトに出会えて良かったな。
普通の4LDKのマンションを利用した一室に女4人が暮らして、別に住んでいる管理人さんがいた。
みんな常識と定職を持っていて快適に生活できてたよ。

何よりよく遊びに行っていたところへも職場へも、30分足らずて行けて、自転車で帰れるから終電を気にしない無敵の身になったことが嬉しかったんだよね。

ルームシェアを始めた当初は、とにかく自由が嬉しくて夜中まで遊んでは、または夜中から遊びに出ては、家族間に起こった辛いことを忘れようとしてた。

既に一人暮らしをしていた友達のハナは、学生時代からの付き合いだけど実際仲良くなったのは卒業後で、仲良くなって以降はしょっちゅう一緒にいた。
そして可愛かったので結構モテていた。そのことに本人は全然気付いてないみたいだったけど。
ハナの家へ泊まりに行ったり、映画やらライブやらクラブに出向いたりはもちろん、一泊旅行へも行っていた。休みの日に古着屋へぶらっと出かけて、喫茶店でその時それぞれが気になってた男の子のことをあれやこれや話したりして。
しばらくするとハナに彼氏ができた。タニ君という映画オタクで、笑えるぐらい綺麗な顔をした男の子。
2人揃うとパーフェクトなカップルなのに、本人たちはそれを全く鼻にかけずとても気さくだから、いつも周りに友達や同僚が集まって楽しそうだった。
あの頃何度か、ハナとタニ君と一緒に3人で遊びに行った記憶もある。

そんな日々を送ってた2月に、片思いの彼ことケイトと出会った。
あの日のことは今でもかなりはっきり覚えてる。
それぐらい楽しい日だったし、ありきたりな言葉だけどなにか運命というか縁のようなものがあったのかなって思ってしまうんだよね。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?