見出し画像

Just Like Honey ⑤

ケイトの話はちょっと休憩。
きっかけになったシマ君の事を。


某音楽雑誌が主催してたクラブイベントでシマ君と初めて会った時、お互いまだ二十歳ぐらいだった。
流行りのUK、USロックが中心に流れているそのイベントにはよく遊びに行ってて、そこでできた友達とは少ないけど今も仲良くしている子もいるほど、私の交友関係に大きな影響を与えたと思う。

シマ君を初めて見かけた日は、見た目、というか服装がすっごいタイプで3つ年上だった恋人と別れて間も無い時だった。
でも若さゆえかそこまで寂しさは無く、それよりも友達と出掛けて音楽掘って、と言うことの方を大切に思ってたりして。

それでもやっぱり別れた恋人の事を考えることもあって、その夜も彼の事を思い出して煙草を吸いながらフロアをボーッと見ていた。

ふと見ると彼に雰囲気がそっくりな人がいて、一瞬怯んだけどよく見ると違った。
それがシマ君。

初期のThe Strokes的ファッションがまだイケてる認識だった‘00年代も終わろうとしてる中、その時のシマ君も例に倣い、ほっそいデニムにコンバースのハイカットを履いてたように思う。
それが当初の私の心のひだにグッときて、バーカンに行くタイミングで何となく話しかけた。

話してみるとほとんどが年上だった中、珍しく同い年で好きな音楽が似てたり、ラリー・クラークやらガス・ヴァン・サントの映画が好きなんて事で話が盛り上がったり。

その時のシマ君が自分の地元について、何も無いところだって話してたのが、なぜだか今日までずっと記憶にある。

とりあえずまたイベントで会ったらよろしくって、ガラケーでメアドの交換をしたんだ。
シマ君は彼女と来てたってのもあって、恋愛発展は無いだろうけど、同い年って貴重だし嬉しー!って感じで。

そこからは年に数回ぐらい、今日のイベント行くかとかライブ行くかぐらいのやり取りをする程度だった。
でも連絡せずに行くライブの方が遭遇率が高く て、DeerhunterとかBlond RedheadとかAriel Pinkとかが出てた4ADのライブで、2回ぐらい会ってびっくりしたな。
お互い1人で来てたから、赤いランプが近くにあるソファに座って、それぞれラッキーストライクとセブンスターを吸いながらぺちゃくちゃ喋ってた。

知り合って何年か経った頃、結婚するなら飲食関係の仕事してて、昔から知ってる人がいい!なんて突然降ってきたようにぼんやり考えることがあったんだよね。
で、その度に勝手に想像してる条件にぴったりなシマ君のことが浮かんだりもしてた。

でも音楽関係の場以外で会うことも無かったし、普段の生活で何を考えて生きてるかとか、お互いの友達や家族、周りの環境だったりなんかも話したことも無かったから、ま、進展はないかって深く考えることもしなかった。

ただまあ何となく、全体の雰囲気とかは好きだなとは思ってたけど。


さて、回想は終了、で、元の話。

一応前から知ってる友達だしってすっかり安心しきってうとうと、、、し始めてたんだけどね。
そのまま安らかに眠って目覚めて、爽やかな朝に満員電車に揺られて家に帰って、何事もなく穏やかに連休を終える予定だったんだけども、ね。

多分、その時のシマ君は同棲解消したばかりな上、好意を寄せていたハナについさっき彼氏を紹介されたりして、寂しかったのかなって思う。
そして、嘘だぁ〜って思われるかもしれないけど、私はシマ君とは絶対に「そう」はならないって自信があったんだよ、ほんとに、まじで、根拠は無いけど、なんとなく。

でも、「そう」なってしまった。気づいたら「そう」されちゃってたよ、てへ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?