寒の戻り

あの子はいつも星を見てた、今はたぶん月と遊んで違う星であらゆることから超越して、自分だけの国を作ってる。文字に引っ張られる言葉の裏側、ドキドキする心臓が孤独を乗っ取って、すべてをたのしく書き換えるあたりから、あらゆる法律は無意味になって、ただ誰かを愛することだけに専念して、前衛的に今を駆逐した。チクチクしたセーターを脱いで、自分の背丈ほどある草花を押し除けて、遥か無知な幼少期の健気な告白の後から押し寄せる清々しい青空、神々しくまじわる月日にリアリティーすら損なわれ、同じような理由を波及させながら、朴訥になだめる日々、うなだれた伴奏が流れる深夜の藻屑、この次元ではないどこかで反芻され、反響するイマジネーションがなびかせる音韻的な永遠から現れる定位置を破壊するために存在する神たる私を乗り換え、あらゆる銀河が閉塞感から解き放たれるための力の関係と、あらゆる平衡から離れるために逃げ惑う宇宙の先や端々からあふれる綸言や輪廻や、先頭では全くの無が無であることすらも理解できずにひろがるということに疑問や疑念すらなく、全くの新しさがすぐさま使い果たされ、そこには目一杯の闇がひろがり、君の退屈すら快活にするようなまばゆい光があるのに、君たちは今というものを薄汚く感じてしまうらしく、のんきに今をすなどり、意識下で昇華されるものにより上昇することをしらないから、君自身の退屈に押しつぶされてしまうのであり、こんな混沌として、人の顔すらまともにわからないような時をも超越する。自分と他者とは絶対的に違うのだ、ということを理解しない限りは、偏りが生まれる。他者と自分との間には埋められない溝が際限なく現れ、今に自分自身を貶め、おとしいれてしまう。際限ない憧れや、醜い憎悪は惑星の外にまで飛ばしてしまい、今一度、自分自身を本質的に愛するべきだ、と高次に至るまでの軌跡を憤怒で搔き毟る高機能的な鬱を孕んだ約束も果たせない世界などは破棄して、概念にたらい回しにされるより、いっそこの身を粉砕して、高らかに笑う。

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