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【活動報告】フェムテック振興議員連盟 第18回総会に出席しました(2023/11/30)

こんにちは。メディカル・フェムテック・コンソーシアム(MFC)事務局です。

今回は2023年11月30日(木)に行われた「フェムテック振興議員連盟(以下、議連)」の第18回総会についてご報告いたします。

2023年最後の総会は、「更年期の諸問題を解決し、社会・経済のリーダーとなる世代がより活躍できる社会に」についての議論の第4回目となりますが、厚生労働省、経済産業省、内閣府より、更年期をはじめとする女性の健康に関する施策の現状や、来年度の概算要求についての説明がありました。

冒頭に、議連会長である野田聖子議員から、ご挨拶と現在の課題について次のお話がありました。

◎経済産業省が開催する「女性のヘルスケア・フェムテック展示」に行ってきた。そこで実際にプロダクトを見て触って、進化していると知り、やりがいを感じた。
最初の頃は全く見えなかったものが、デバイスを通じて世界が見えてきた。経済産業省でもこのような取り組みを毎年続けていただきたい。

◎日本では、働く女性が7割と欧米に比べて高い割合を占めるが、賃金の差がある。その原因のうち生理、妊娠といった女性の健康課題に関することが人事の査定で吟味されていない。これをクリアすることが必要である。
更年期は管理職になることも多い世代であり、企業にとってもそうした人材を失うことは大きなダメージを受けることになる。企業経営者は男性が多いが、そういうことも意識してほしい。

◎フェムテックの担い手のワーカーの社会的地位と安定性を確保するため、経済産業省にもしっかりと評価してもらい、健康寿命の質向上のための担い手を育成できるようにしたい。

国会議員だけでなく、さまざまな立場の方が多数参加しており、関心の高さがうかがえます

続いて、各関係省庁からの報告がありました。


○厚労省健康課より

  • やせ、低栄養に関するスクリーニング、介入方法の検証を行った。健康情報の提供という介入方法については、有効性は示されなかった。どのような対象集団にどのような介入をするか検討が必要。

  • 月経随伴症状に関するスクリーニング、介入法の検証を行ったが、対象者不足のため検証できなかった。ただ、追加分析で、問診の質問を8問にまで減少できる可能性が示された。簡略化された問診の目安を示す可能性あり。

  • 更年期症状、更年期障害に関する意識調査を行った。8割以上の女性に更年期に関する症状が存在しており、更年期障害の可能性があると考えている人は3割。医療機関受診者は1割という結果であった。


○厚労省労働衛生課より

  • 職場の中における女性の健康課題について、前々回の総会でも研修の話を紹介した。産業保健総合支援センターにおいて、事業者、人事労務、産業医、産業保健スタッフを対象に、女性の健康課題について研修を行っている。全国のセンターで実施している。

  • 上記研修は令和4年度は138回開催し、受講者は令和4年度で2870人であった。来年度も拡充していきたい。

  • 産業保健活動総合支援事業についての令和6年度概算要求について:女性の健康課題、更年期、月経に関する問診を、事業主検診で問診項目に追加。女性版骨太方針、労働安全衛生法に基づく一般健康診断について、12月5日に検討会を立ち上げた。

  • 全般的な話になるが、その中で女性の健康課題についても労働者代表、事業者団体、専門家の医師に集まってもらい検討を開始している。


○経済産業省より

  • 令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の中で採択された事業のうち、更年期に関するものは8つであった。

  • 健康経営では、女性の健康課題に関する取り組みを問う設問を評価対象としており、今年度からは必須項目とし、認定要件を深掘りすることで企業の取り組みを促進した。

  • 更年期症状が及ぼす経済的影響は、令和4年度に8880億円と試算した。

  • 予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業で採択された事業のうち、東京医科歯科大学において、働く女性における月経、更年期障害の二次予防、三次予防について指針等の策定中である。


○内閣府より

  • 内閣府において新採用職員のヘルスリテラシーの向上を目的に研修を実施した。管理職含む全体向けにも近々実施予定である。管理職含む全体研修で、更年期も含めた女性のホルモンバランスの変化等を学ぶ。

これらの報告を受けて、議連事務局長である宮路拓馬議員より、下記のコメントがありました。

◎厚生労働省の取り組みについて
薬機法の承認もだいぶんスムーズになった。ヘルスリテラシーが高まり、自分の体を知る機会を得ることができる。しっかり検討していただいており、産業医のアップデートも図られている。これからも継続してほしい。

◎内閣府の取り組みについて
職員が研修を受けて、行動がどう変わったか追えるとよい。農林水産省や国土交通省等でも行われていくとよい。内閣府でぜひ、いかに広げるか検討をお願いしたい。

次に、参加されている議員の皆様はじめ関係者の間で、下記のとおり議論が行われました。

  • いいプロダクトを作っても、困っている人がその情報にたどりつけないといけない。インターネットでの検索等で情報にアクセスしやすいようにするべきである。

  • 更年期障害の治療に関する啓発活動も必要である。また治療の効果についても、意識調査の項目に入れるとよい。

また、産婦人科医師の知識のアップデートの状況について、宮路議員からの質問があり、これに対して、MFCの松本玲央奈理事長から以下のように情報提供をしました。

産婦人科の歴史では、もともと同じ領域だったのが、産科と婦人科という分野に分かれ、40年前から不妊治療の概念が入ってきて、最近女性医学という4本目の柱ができた。更年期は女性医学の中に入る。ようやく別枠の柱として認められたばかりで、専門家が少なく、治療法もばらばらである。そのため、確立されたものは少ない状況。
ピルの服用に関しては、医師の知識のアップデートも必要かもしれないが、世間の感情(受け止め方)の問題で普及しにくいという状況である。

また、出席議員、省庁から、以下のコメントがありました。

  • (厚労省雇用環境・均等局より)「働く女性の心とからだの応援サイト」は、月53万件アクセスある。検索ですぐにヒットしないことについては改善していきたい。

  • 外務省でも研修について取り組んでいる。霞ヶ関でやることによって、厚労省も率先して取り組むことで、民間にもお願いしやすくなる。あるいは民間のインセンティブを促すことになる。

  • ナショナルセンターについては、せっかく作るなら公にとどまらず、民間ともコラボできる形で運営をしていくとよい。

今回も、熱心な意見交換と建設的な討論が繰り広げられた議連の総会となりました。

今後は、ここで得た提言やアイデアを元に、議連から政府への提言書の具体的な内容を詰めていく段階に入ります。議員の皆さまのご意見が、より良い提案の形成に繋がることが期待されます。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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