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はたらく女性が輝くために 〜つながっているあなたのカラダとキャリア〜 《第1回》

はじめまして。西岡笑子と申します。
防衛医科大学校で看護師のタマゴたちに、母性看護学という学問を教えています。
医療者としては助産師、看護師として産婦人科の病院に勤務していた経験があり、自分自身の研究テーマとしても、一般の方に女性の健康知識を伝えるために日々情報を収集したり、さまざまな形で民間のプロジェクトにかかわったりもしています。

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勉強と訓練を両立する女子学生の大変さ

防衛医科大学校とは、ひと言で説明すると医師、看護師、あるいは保健師となる自衛官および技官を育成する医科大学校です。ここに着任する前は、私も一般の大学で教員をしていたのですが、今では自衛官の制服を着て勤務しています。とはいえ、毎日の授業の中で看護学生に伝えることは普通の医科大学、看護大学と変わりはありません。充実した環境で授業や研究ができていると思います。

ただこの大学の学生たちは自衛官候補学生でもあり、勉強と並行して、自衛官候補学生としての訓練も受けています。ですから、一般的な大学生とはだいぶ違う環境の中で学んでいます。男女問わず、入学した日から学業と自衛官候補学生としての役割を果たしてしているので、とくに女子学生は、訓練等に影響をおよぼす女性ならではの健康問題について、早くから自分ごととして考える機会があるようです。

例えば、学生たちは入校後、山野で野営などの訓練を行います。現代の女性は高機能な生理用品や明るくて清潔なトイレ、ウォシュレットなどの便利な文明生活に守られていますが、そんなものとはほとんど無縁な生活が数日続くわけです。
私自身も訓練を受けましたが、最初はその日程がちょうど月経の時期と重なっていました。2日目には経血量が多い体質なので若干ゆううつな気持ちがありつつも、「まぁ何とかなるでしょう」と思い参加したのですが…。

・自分のペースでトイレに行けない
・トイレに男子用女子用という区別がなく、サニタリーボックスもない
・1日を通じて移動が続き、長時間荷物置き場などには戻れない

といった状況で、予想以上に大変な思いをすることに…。使用済みのナプキンは、悩みに悩んだ末、密閉式のビニール袋に入れて訓練服のポケットにしまいました。それを、訓練が終わるまでずっと持ち歩いていたのです。

訓練中、私の頭の中のかなりの部分は
「次にトイレに行ってナプキンを交換できるのはいつなのか?」
「知らないうちに経血がもれて、服が汚れていないだろうか??」
「使用済みのナプキンを持っているコトが誰にもバレませんように!!」
…という不安で占められていました。

それなりに社会人経験を積んだ私でもそんな状態で訓練期間を過ごしたのですから、20歳前後の女子学生にとっては、きっとものすごい心の負担だと思います。

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働く女性がカラダに向き合うヒントに

もちろんこれは、ある意味特殊な例ですが、働く女性なら誰しも、女性特有の体調の変化やリズムの影響で、100%仕事に打ち込めない、パフォーマンスが発揮できない、予期せぬ体調のトラブルで思い描いていたキャリアが実現できないといった経験をしたことがあるのではないでしょうか?

もし、あらかじめ女性(=わたし自身)のカラダについてもっと知識を持っていたら?女性特有の疾患や体調の変化に対応する方法を知っていたら?

―― このコラムでは、そんな後悔をする女性が一人でも減ることを願って、私が学生たちと過ごす中で若い世代の方に伝えたいと感じたことや、病院勤務時代に助産師としてであったケース、そして研究を進めていく過程でわかった新しい情報などを紹介していきます。

女性だけではなく、女性とともに働き共に生きていくうえで、男性にとってもヒントになるものにしたいと思っていますので、ぜひ気軽に読んでくださいね。

西岡 笑子(にしおか えみこ)

防衛医科大学校 医学教育部 看護学科母性看護学講座教授。順天堂大学医学部非常勤講師。順天堂大学医学部助教、神戸大学保健学研究科准教授を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。mezame女性研修の監修を行う。

【編集部よりおしらせ】
西岡笑子先生が、放送大学の母性看護学講座で講義を担当されています。女性のライフステージごとのカラダの変化やヘルスリテラシーについてわかりやすく解説されています。次回の登場は4月24日と5月1日!
放送大学の学生以外の方も視聴可能ですので、ぜひご覧ください(╹◡╹)
(4月3日~7月10日  毎週金曜日 16時30分~17時15分放送)


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