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上司Wさんとの出会いで「扱いにくい部下代表」だった私が変わった理由

“mezame”キャリアコンサルタントの東 公成です。

さて突然ですが、ご自分の部下が

- 好きな仕事はやるけど、嫌いな仕事はあまりやらない。
- プライドが高く、変に自信を持っている。
- 進捗報告しない。
- 締め切りを守らない。
- 反抗的。

だったらどう対応しますか? 扱いにくいですよねぇ。

実はこれ、サラリーマンの頃の私なんです。

サラリーマンとして過ごした30年の間に、日本人、外国人を含めたくさんの上司にお仕えしました。こんな私ですから徹底的に衝突した上司もいましたし、うまく私を飼い慣らした上司もいました。

そこで、誠に僭越ではございますが、扱いにくかった部下の観点で、私をうまく飼い慣らした上司の皆さんのスキルを振り返り、ありがたい上司の皆さまを代表して、もっとも恩義を感じているWさんのことを書いてみます。

無条件に絶対の信頼をおいてくれたこと

Wさんに私が感謝している最大のポイントは、ひと言で言うと「心理的安全性」を感じさせてくださったからなのだと思います。

こんなダメダメな私を振り返ってみると、心の中に自信を持てない自分がいたように思います。

自信が持てない自分を見透かされたり、その部分を指摘されたりされることを実は恐れていた私。
好きなことはやるけれど、嫌いな仕事はやらない。マイナス面を指摘されることを極端に怖がっていた私。
だからこそ、ヨロイを着て振る舞っていた私…。

30代でお世話になったWさんは、私より15歳上。
初めて会った時から、なぜか私を褒めてくれ、武装を解除してくれました。そして同じ週には飲みに誘われ、私の話をいろいろと聞いてくれました。

Wさんは上司としてではなく、一人の人間として人生の先輩として私と同じ目線でいろいろな話をしてくれました。
自分の弱みも隠すことなく話してくれましたし、仕事での愚痴まで私に聞かせてくれました。

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そんなWさんの前でなら、私はヨロイを着る必要もなく、自分らしく振る舞うことができました。

上司と部下には信頼関係が必要だと思いますが、「Wさんから無条件に絶対的な信頼をおかれている」と感じたことは、出会って間もない私がWさんを信頼し、かつヨロイなんか着なくても仕事ができたという点で、非常に大きかったと思います。

仕事を任せ、話をじっくり聞いてくれたこと

やがて、私はWさんの部下になりました。

Wさんの管理スタイルは「部下に任せる」というもの。
Wさんの部下になるまでは、自分のやっていることを報告することが苦手なダメ社員だった私ですが、Wさんに任せていただいてからは、なんと!自分から積極的に報告をするようになりました。

その理由は、Wさんが私の報告にじっと耳を傾けてくれたからだと思います。

Wさんが私においてくれる信頼を、その傾聴姿勢から強く感じ、Wさんの期待に応えようとしたのだろうと振り返っています。

組織人としてレベルの高い働き方を見せてくれたこと

そんなWさんでしたが、Wさんなりの仕事に対する基準があり「ダメなものはダメ」と明確でした。

Wさんと出会ったことで、仕事のしかたや日頃の振る舞い方などを改善できた私ですが、年末調整など仕事に直接関係ない提出物や、仕事でも自分の仕事に直接関係のない依頼については、相変わらず締め切りを逃していました。

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でも、Wさんは感情的に叱るのではなく、笑いながら「まったくいつも遅れやがって。俺も怒られるんだぞ。次回からちゃんと出せよ〜」と伝えてくれただけ。

ある時、Wさんからこんな話を聞きました。

「俺はいつも、部門予算を〆切の10日くらい前に経理本部に提出するんだよ。そうすると経理のTがものすごく感謝してくれるんだ。
部門予算って〆切ぎりぎりに提出する部門や、Tが催促してようやく提出する部門が多い中で、俺みたいに10日も前に提出すると本当に喜ばれて、いろいろといい情報を教えてくれるんだよ。俺がTの仕事をやりやすいように助けてやっているようなもんだな。これは大事なことなんだよ」

この教えはまさに私にとって金言でした。

日頃から譲れない軸をはっきりと見せてくれたことも大いに勉強になりましたが、〆切を守れない私をただ叱るのではなく、組織人としての高いレベルの仕事をする方法を具体的に教えてくださったのです。

上司Wさんが教えてくれた「心理的安全性」

最近夢中になって読んだエイミー・C・エドモンドソンの『チームが機能するとはどういうことか』という組織論の本。

この中にイノベーションの話が出てきます。

イノベーションとは無から生み出すのではなく、皆が見放したような失敗事例から丹念に学んで誰も考え付かなかったようなことを生み出すことである。
誰でも失敗は怖い。しかしリーダーが失敗を罰するのではなく失敗から学ぶ姿勢を見せれば、そのチームは卓越した仕事をし、イノベーティブになる。

このくだりを読みながら、Wさんのことを思い出していました。

サラリーマン生活30年のうち、朝起きて会社に行くのが楽しかったのはWさんの部下だった頃でした。

『チームが機能するとはどういうことか』の中にこんな情報がありました。

心理的安全を高めるために有効なリーダーの行動
1. 直接話のできる、親しみやすい人になる
2. 現在持っている知識の限界を認める
3. 自分もよく間違うことを積極的に示す
4. メンバーの意見を重視していることを示し、参加を促す
5. 失敗は学習する機会であることを強調する
6. 具体的ですぐ行動に移せる言葉を使う
7. 望ましいことを明確にすることで、境界を設ける
8. 境界を越えたことについてメンバーに責任を負わせる

ほとんどがWさんが身をもって教えてくださったことでした。

Wさんの部下だった時に、私がもっとも創造性を発揮して仕事ができたと思います。

扱いにくかった私をここまで導いてくださったWさんには感謝の言葉しかありません。

■ 文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、DiSC認定トレーナー、プレゼンテーショントレーナー、女性の健康経営アドバイザー


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